第7話 おとぎ話の王子様


「で、アンタ誰? ヘンタイ?」


 ハクロが鋭い眼光で王子にたずねる。赤松もプンプン丸と化している。


 今となっては否定し難い。だが正統派イケメンキャラというのは、変態行為を黙認される傾向にある。

 王子はダメもとで言ってみた。


「見ればわかるだろう、私は王子だよ」


 とびっきりの王子様スマイルを添えて。


「知るか。変態コスプレイヤーにしか見えんわ」


「もしくは、ただの変態だな」


 あえなく撃沈。


「仮に王子だとしても、名前くらいあんだろ」


 いや、ない。


 おとぎ話の王子というのは、特定の名前を持たない。


 最近になってフィリップとかエリックとかいう名前をもらっているケースもあるようだが、あれは親心によるものではない。商魂だ。


 おとぎ話とは、そういうものだ。わかりやすさ第一。

 桃から生まれたなら「ジョン・ピーチ」。ジョンは太郎で、ジェーンは花子の意味だ。日本語式表記なら前後が入れ替わる。


 彼を育てたおばあさんの名前はトメ子さんだったかもしれないし、シャーロットだったかもしれない。


 おとぎ話とは、そういうものだ。夢があっていいじゃないか。




 というわけで、出揃いました。こちらの三人が本作のメインとなります。


ハクロ:姫こと姫路ひめじ 白鷺はくろ。見た目は美少女。性別は男。

赤松:見た目は小人こびと。中身は大人おっさん

王子:名前はまだない。ニャー。




 ~第一章・白鷺姫しらさぎひめと一人の小人 おわり~


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