第35話 世界の成り立ち 後編

私達の顔色が変わったのを見て、


「とは言っても、その目的が必要になるとは限りません。今のところあなた達が悲観するような予定は、皆無です。」


付け足すように、彼女は述べた。


「私達は、どうなるんですか?」


「どうなる?とは…?」


「…私達、3人は、ドームを出ています。私達は、この星の先住民ではありません。あなた達のいう保護団体の規則であれば、ドームに居なければならない存在なのでは…?」


「そうですね。原則は、他星から入って来たあなた達は、ドーム居住です。……ただ、物事というのは何事にも例外というものがあります。」


彼女は、テーブルの上に軽く手を置き、少しの間、目を閉じる。

一つ一つの彼女の動作は、優雅で、気品が溢れている。

カミラ先生と同じというが、こんなにも行動一つ一つ違う。

見た目は確かにそっくりだけど…。


「れ…、例外…?」


セイラムがたまらず、問う。


「あなた達は、例外でこの星の住民として、住むことを許されたのです。」


「住民…?」


セイラムが、更に問いかける。


「そうです。……。ただ、話が長くなりそうですね…。時間はあります。立ち話もなんですから、座ってお茶でもしながら、説明させて頂きます。ノアさんも限界でしょう?」


いきなりノア兄ちゃんの話になったので、ノア兄ちゃんの方を見る。

!!

ものすごく青い顔で、フラフラして今にも倒れそうなノア兄ちゃんの姿があった。


「ノア兄ちゃんっ!」

「ノアさんっ!」


セイラムと私の声が重なる。


「大丈夫です…。お二人は落ち着いて下さい。」


そう言うと、彼女はノア兄ちゃんの元へ行き、壁際にある近くの長椅子に横たわらせる。


「点滴、しますね…。」


「あぁ、頼む…。」


そう言って、彼女は隣の部屋へ消えていく…。

う…ん…?

隣の部屋?

??

何であるの?

そう、この小屋、外から見た時めちゃくちゃ小さい小屋だった。

西側にドア、南側と東側に小さな窓しかない小屋だった。

なのに、今この小屋…いや、この家は、西側にドア、南側と北側に大きな窓、東側にドアがあり、部屋が続いている事を示している。

ど…、どういう事?

セイラムを見る。

セイラムも目が点な感じで私を見てくる…。

そ、そうよね…。

どういう事?…よね…。

そう、二人で心の中で会話する。


カチャ…。

彼女が東側のドアから、入って来た。

手には、点滴セットがある。

私達は、彼女をじっとみる。


「あ…っ。この小屋は特殊な技術で建てられています。私の案内で入った場合のみ、本当の家の役割を果たします。普通に入れば、ただの小屋ですよ…。」


私達の疑問にさらりと答えながら、横たわっているノア兄ちゃんのところに行き、手慣れた様子で点滴の処置をしていく。


「ドームの事は、この星の住民にもトップシークレット事項なので……。さあ、どうぞ、お座り下さい…。」


セイラムと私は、部屋の真ん中にあるテーブルにある椅子に促される。

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