第21話 修行の始まり

「俺、そっち持つよっ!」


ツンとした感じで、セイラムがノア兄ちゃんの方の鞄を持とうとする。


「…、いや…。セイラム…。お前は、お前の荷物を持て…。」


セイラム行動に驚きながらも断る。


「どうせ、そっちの方が重いんだろ?あんたより、若い俺が重い方を持ってやるって言ってるんだ!」


ノア兄ちゃんを睨む。


「若いといっても4つしか違わないじゃないか。セイラムには、無理だ。砂漠を舐めるな!」


今までにない、厳しい口調でピシャリと斬る。


「あんたに出来て、俺に出来ない事はないっ!」


「だから!砂漠は危険なんだっ!変な意地で無理するなっ!」


「俺があんたに負ける訳には、いかないんだっ!」


キッと、睨む。


「………、わかった。ならこれをお前の荷物に入れてくれ…。まずは、そこからだ…。それ以上は、了承出来ない。」


そう言って、折りたたみ傘より、一回り小さい物を鞄から取り出し、セイラムに投げる。

セイラムも慌ててそれを受け取る。

あれは…、扇風機だ…。


「これだけ…。」

「これだけでも、俺は助かる。無理はするな…。今は、これだけだ。いいか…。、だ…。」


不満そうに反抗しようとするセイラムを諭した。


「……。」


大人しくなったセイラムを確認すると、


「さぁっ!出発しようっ!北北星も見えて来た!」


辺りは紅く染まり、前方の空をよく見ると、キラリと光る1つ星が見える。

北北星だ。




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