第10話 残酷な償い

「この手は姫よ 酷い有り様だ」


「あの、私は七歳の時から下働きとして働いていました」おずおずと話すアリシア

「どんな仕事を?」アジェンダが問う


「洗濯に料理の下ごしらえ ジャガイモや人参の皮むき パン作

御部屋のお掃除に風呂を沸かすなど」


「暴力はなかったか? どんな服を与えられた?」

心配そうにアジェンダはアリシアに問いかける


ボロボロの服に 鞭に暴力 まともな食事もなく

一日中朝早くから夜遅くまでこき使われて

まともな教育も受けられなかった事を聞きだしたアジェンダ


どんなにみじめな思いをさせられていたかを知る。



「我が母、優しき水の女王であるエルテア女王は 奴隷とて まともな食事に

最低限の勉強をさせる事を法で定めた」アジェンダ


「特に子供の奴隷の虐待を禁じた 

今後は安心して過ごす事を約束しよう まずは湯浴み(ゆあみ)に食事や服だ」

「後で 我が姫」アジェンダ王


「・・あ、ありがとうございます」涙ぐむアリシア



アリシアが他の女官たちに連れて行かれた後

不気味な笑みを浮かべるアジェンダ


「クイン」アジェンダ王、残酷な王の顔がそこにある


「はい、我が王」クインは にこりと当たり前のように微笑む


アジェンダを始め黒の王族

特に火焔の者達は 愛する者を熱愛するが


決して敵には容赦がない それは火焔の王である彼の戦の有り様のごとく

クインも代々の王に仕え 良く知っている


アリシアを酷使した者達への残酷な身の毛もよだつ長い時間をかけた罰が待っている

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