第4話 追憶 出会いの時に

ベットに横たわり アジェンダ王と出会った あの運命の瞬間を思い出す

アリシア

まさか 罪人の子とされ、奴隷となった私に こんな運命が待っていたなんて


短い時間だったかも知れない でも、私は幸福だった

様々な事件があったれど・・側室でも幸運と思っていたのに まさか王妃に・・


出会った あの時 人買い商人たちが私を高級娼婦にする為に

連れてゆかれる途中だった


あの13歳の時の出来事を思い出すアリシア


そう・・あの時


13歳のアリシアは驚きの表情で黒の王 火焔の王アジェンダを見つめていた

「え!」人買い商人や店の者達が 王の言葉に戸惑う

「黒の王が この奴隷の下働きの娘を・・」 「まさか、そんな」

小さな呟きが ざわめきが漏れる


「い、いけません王様 罪人で奴隷の娘を王宮に入れる気ですか?」

付き従っている部下の一人が慌てて止めに入る


「私に逆らわない方が良いと思うがな…

気質は誰より激しい火焔の世代 この冷酷な火竜王、火焔の王アジェンダに…」

赤い瞳が燃え上がるように輝き 恐ろしい形相で睨みつける


「は、はい 我が主」勢いに飲まれて 小さな声で答える部下

「あ・・はい、わかりました」店の者達も慌てて言葉を口にする


今度はアジェンダ王がアリシアに話しかけた


「そなた、名前は?」優しい表情で問い掛ける アジェンダ王

「あの、アリシアです」


「そうか、良い名前だ」


「今、王命を下す…彼女は奴隷の身分から解放して 黒の貴族の姫の称号を与える」


「私は急ぎの要件がある

お前達…それに私の部下の一人タルスよ」


「この愛らしい姫を王宮に連れてゆけ 部屋に衣装など必要な物を用意せよ」

「ああ、アリシア姫付きの女官達も・・」


「では、また後でなアリシア姫よ」

「は、はい…」頬を赤く染めて アリシアはアジェンダ王の後ろ姿を見送った


突然の出来事

美しい火焔色の瞳の素敵な青年の王が私を美しいと…


ああ、信じられない


街道を高級娼婦館から王宮に到着先を変更して進みゆく

だが、そこに思わぬ危険が待ち受けていた


「あれがアジェンダか・・」「まだ子供といえる女だが 気に入ったようだ」

「ぜひとも、あの少女 女を殺して、アジェンダに思い知らせる」

物陰から暗い表情の男達が話をしていた


それとは別に木の上で様子を伺う者達

「ふむ、あの二人が出会ったか・・」「そうだな」


二人の少年たち よく似た二人

一人は長い黒髪をして 髪が風に揺れていた


アジェンダと同じ赤い深紅の瞳が輝く 稀有な この時代に持ちえない

宝石のような瞳


「奴らは・・どうやらアリシア姫に危害を加える気か?」




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