第3話 街道の道 運命の出会い

月日は流れ・・売られる為に風呂で磨かれ 薄い化粧

綺麗な衣装や飾りをつけられる


長い耳には細やかな銀の耳飾り 艶やかな黒髪には花を少々

ちょっとした平民の花嫁衣裳にも見える


綺麗な大きな青い瞳には微かに涙が浮かんでいる

「ふぅん…悪くないわ

さすがに黒の貴族の娘ね 綺麗だわ…高値がつくわ あはは」


「ほら店からの迎えだ 行くんだよ」


そうして アリシアは馬に乗せられ 街道を進んでゆく

街道の道の途中

すると…店の者が顔色を変えて、慌て言う


「向こうから来るのは 黒の王 アジェンダ王だ

恐ろしく残酷で冷酷な火焔の王達と鉢合わせた」



「道を開けて、失礼のない様にせねば…」

道の隅により、頭を下げるアリシアもそれに倣う



赤い印象的な瞳の黒髪の青年の王だった


火焔の世代と呼ばれる 

滅多に現れない炎の魔法と破壊の魔力を持つ 赤い宝石の様な瞳を持つ王 



黒髪は少々長めで肩より少し長い それを赤い布と金の留め具で縛ってる


ゆっくりとすれ違う

黒の王と部下達が乗った馬が立ち去ろうとする間際に


アジェンダ王がアリシアを見て、すぐ傍に来る


「あの…」店の者が声をかける


「そなた達は何者だ?それにこの黒の貴族の娘は

感じる王族の血だ  本来なら大貴族の姫だ」


「いえ…偉大なる火焔の王様 この娘は奴隷です」


「確かに黒の貴族の娘でしたが…

父親が先の黒の女王エルテア様や大貴族のルアン公爵の暗殺を企て…

本人は処刑され一族は皆、奴隷に落とされました」


「この奴隷の娘は高級娼婦館に売りに出され 我々が連れてゆく処です」

店の者達がアリシアを指さしてそう言った


「聞いた事がある 我が母 水の女王であるエルテアが存命中の事だ」


「ルアンか…腹黒い奴だ

いずれ化けの皮を剥がしてやる…娘の父親も無実かも知れないな」


「ずいぶんと優しい青い瞳だ それに愛らしく美しい…」


「その瞳は 敵国に毒殺された私の母、水の女王エルテアや惨殺された

私の哀れな愛しい妹シルフニア王女に似てる」アジェンダが呟く


「わかった…この娘は 私が買う…値段はそちらの言い値でいい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る