第八話 初登校
僕らは少し早めに学校に向かっていた。・・・というのも
「お姉ちゃんなのに負けたお姉ちゃんなのに負けたお姉ちゃんなのに——。」
・・・隣から何やらボソボソ呪文のようなことが聞こえるが気にしてはいけない。
答えは単純明快僕が入学成績首席だったからだ。
首席は新入生代表として何やらめでたい言葉を言わなくてはいけないらしい。(ちなみに首席であることは、昨日突然高校から電話が来てそれで知った。)
故に僕らは今学校へと道を行く。
入学式は九時からで今は八時。大体音羽邸から三十分ほどの距離にあるため余裕を持って到着できるはずだ。
「ちょっとそれ怖いからやめなよ。」
道行く人が義姉の整った顔立ちと恐怖しかない言葉攻めに目を見開いている。
先ず義姉は美人だからか目立つ。凄く目立つ。見た目からして深窓の令嬢だ。しかしそのお姫様が呪詛のような言葉を言っている・・・。
一緒に歩く僕には「嬢ちゃんに何をした?ああん?」と言った視線が突き刺さり一部の人は「あれって音羽家の娘さんよね?」と言ったこそこそ話が聞こえる。
僕知ってる。今僕が浴びているのって殺気って言うんだ。
僕としてはいつ背中を刺されるか分からないこの針の筵から一刻も早く抜け出したい。——普通に考えれば狙われることになるのは社長令嬢の花音さんなのに何故一介の執事に過ぎない僕が身の危険を感じているのだろう?——そのためには早急にいつもの花音さんに戻ってもらわなくては!
「うぅ。・・・でも義弟に負けちゃ義姉としての威厳が。」
「僕としてはよく手伝ってもらうからあると思うけどね。ほら。今回だって一緒に挨拶考えてくれたし。」
「その行為が威厳を落としている。」。喉まで出かかった言葉を飲み込み威厳を証明する実例を口にする。
僕の本音半分くらいの言葉に花音さんは少しばかり気を持ち直した。そこを逃さず他の実例を耳障りの良いように言葉を選んでは告げていく。
「そうよね。うん。そうだよね。」
自己完結し、完全復活。その上鼻歌混じりでスキップしだすお嬢。
それを見たご近所さんは僕の急所を貫かんとしていた矛を急速に収め笑顔をつくる。
そんな周りに十数秒たっぷり口を開けると、僕は置いて行かれまいと急いで後を追うのだった。
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あとがき
最近あとがきで一人称が時々僕に戻っていることに気づいた。琴葉刹那です。
今回短いのは投稿期間が空いたからですねはい。遊んでいました。スマホゲーム初めて入れたんですけど楽しいですね。次回こそは入学式です。
少し立ち直りが早いと思うので(お嬢の)後で付け足すかもです。
それではまた次回。ばいばーい。
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