第九話 宣戦布告

「それじゃあまた。」


「うん。」


 そう言って僕らは互いを玄関で送り出した。

 組出席番号の確認が終わったら、首席と次席は体育館に、他の生徒は教室に向かうことになっているため花音さんとはここで一旦お別れだ。


 ちなみにこの高校は一学年三百名一クラス五十名で、名門私立としての規模は小さい方かな?質は全国トップクラスだけど。

 校舎は校門から見て生徒玄関や窓口のある職員棟、一年棟、二年棟、三年棟。それぞれに化学や芸術の教室などが用意されており、多目的などの部屋もあるため全て五階構成だ。周辺を所有しているのも学校で、そこには生徒用自転車置き場や職員・保護者用自転車・車置き場、あとは寮があったり農芸部や化学実験部などが使う土地があったりする。


 さて、体育館の場所は・・・


「西か。」


 手近な校内案内板で現在地と体育館の位置を確認する。


(・・・こうしてみると校門が南に一つしかないの不便だな。)

 

 そんな感想を抱きつつ、僕は体育館へと向かうのだった。


◆◇◆◇


 体育館に入ると、途端に爆音が聞こえてきて思わず僕は耳を塞いだ。


 聞こえてきた方向を見ると、体育館の片隅で吹奏楽が練習していた。

 顧問と思われる教師は来賓と思しき人物と話し込んでおり個々人が好き勝手に練習しているようだ。

 

 そんな情報過多な空間を、僕は生徒会役員の案内に従って端の方へと移動する。するともう次席の生徒は来ていた。


(まだ三十分あるのに・・・いつから来ていたんだ?)


 生真面目そう。そんな印象を受けつつ僕は眼前の男子生徒を観察する。


 背は百七十程だろうか。青みがかった髪に眼鏡をしており真面目そうな——同時に冷酷そうな印象を受ける。


 鋭い目線で彼が僕を舐め回すように見る。

 居心地の悪さを感じつつ、僕は静かに腰を下ろした。


「『新入生』と言われた時は指示通りに動いてください。『新入生代表』と言われた時は、静かに壇上に上がり、椅子に座ってください。音羽さんはその後名前を呼ばれるので、マイク前に立ち一礼。その後挨拶をしてまた一例の後座ってください。そして『在校生代表挨拶』との指示が出された際に降壇して下さい。分かりましたか?」


「「はい。」」


 果たして次席は上がる意味があるのだろうか?

 理解はしたので返事をすると、何やら体育館の外からここにまで届く大声がした。


「・・・から・・・なら・・ふさ・・・・・だろ!!!」


 子供が我儘を何がなんでも通そうとしている、みたいな声が断片的に耳へと届く。何だろう?


「はぁ。・・・それでは仕事があるのでこれで。」


 頭に手を当て、嘆くように言うと生徒会役員は去っていった。目指したのは他の生徒会役員のところ。トラブル解決に行かなくていいのかなとか思っていると急に怒鳴り声が止んだ。


(入学式から何だこの展開・・・。まっ、まさかまだ僕のところに疫病神がついているのでは!?正直音羽家の方々に関しては幸運だったけどこれ以上の不幸、僕はいらないぞ!?)


 とある憶測を出し内心あたふたしている僕へ隣の生徒がぽつりとこぼす。


「・・・僕はお前が嫌いだ。」


 唐突な嫌い宣言に僕は一旦思考を隅へと押しやり勢いよく左を向く。


「貧しい思いも苦しい思いもせず生きてきたお前のような人間には絶対に負けない。・・・入学後のテストは覚えておけ。」


 好き放題言った後、彼はくるんとそっぽを向く。

 どうしてそう思ったのか気になったが、嫌われたようだしいつの間にか五分前になり在校生が入って来ていたので、スピーチと先程の注意点を脳内で復唱し出番に備える。


 こうして僕らの入学式は始まるのだった。


—————————————

あとがき

「ことは」ではありません「ことのは」です。どうも琴葉刹那です。

 さて、やっぱり入学式総カットで。理由は初投稿作品が、「彗星と流星の交わり」の入学式という黒歴史が蘇るからです。ああぁぁ!?もうやだ忘れたい!いやでも花音視点でやるのは良いかも・・・いやでもなぁ。


 さて近況はもうすぐ中間テスト。死ぬ。超死ぬ。スマホゲーム楽しいぃぃしている場合じゃない!死んでしまう!誰か英単語と生物化学助けて!

 悲鳴をあげている馬鹿「自分のことだよね!?」を尻目にそれではまた次回。ばいばーい。

 








 


 


 


 

 


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