第六話 制服を買おう
あのあと僕らは本来の目的である制服を買いに来ていた。
「空いてる。」
やはりというか案の定というか。みんなもう制服は買い終わっているようだ。むしろ残り一週間で買いに来たなんて僕らだけでは?
「早く着てみよ!」
手を引かれ、促されるままについていく。他に客いないのに手を繋ぐ意味とは。
「制服のお買い求めでしょうか?」
こちらに気づいた店員さんが言う。
「はい。久遠高校の制服を買いたいです。」
「それではこちらに。」
名だたる名門校から近隣の公立校まで制服が置かれている。それらの隙間を縫うように僕らは奥へと進んでいった。
案内された場所には群青色のブレザーと白いスクールシャツが置かれてあった。これに男子はネクタイ、女子はリボンを組み合わせるようだ。
「どっちから試着する?」
「じゃあ僕からでいい?」
「どうぞどうぞ。」
えーと今着ている服が百五十、か。なら
「百六十、これにしよう。」
高校生だからねもっと大きくなるだろうし、それに今着てるの買ったのだいぶ前だし。
シャッ。
しっかり閉めてから着替え始める。スクールシャツ、ズボン、ネクタイ、ブレザーと、色合いや大きさなど若干の差異はあるものの中学と同じだったからか簡単に着替えれた。
試着室のカーテンを開ける。
「わぁ。似合ってるよ!」
花音さんが熱弁。うん、いつも通りの花音さんだ。
「サイズはそれでいい感じ?」
「うん。」
「そっか。それじゃあ交代ね。」
僕はせっせと着替える。
「ふう。」
私服に戻ると思わず息が漏れた。中学卒業以来久しぶりの制服だからね仕方ないね。
試着室を出て花音さんにバトンタッチ。僕は自分の分をしっかりたたみ花音さんが出てくるのを待った。
パチンパチンパチン。
・・・苦戦する音が聞こえる。どうやら最後の挟み込むタイプのリボンに苦戦しているようだ。
「これどうやってするの?」
それ以外は(恐らく)完璧にできた花音さんが僕へと問う。
「えっとー。出ている部分を上手く制服の裏に引っ掛けてすればいいと思う。」
パチン。
「あっ。出来た!ありがとう!」
「どういたしまして。」
———次の瞬間。
シャッ、と音を立て姿を露わにした花音さんに、僕は思わず見惚れてしまった。
可憐さ、とでもいうのだろうか。長い黒髪と群青色のブレザー、白いスクールシャツがよく似合う。それに蒼いリボンが加わり最早可愛さが滲み出ていた。
「ど、どうかな?」
花音さんが少し凝縮したみたいに聞いてくる。
その言葉に僕はハッとし、少し視線を逸らしながら
「似合ってる。とてもよく。」
何故か倒置法になる僕だったがそこまで気が回るはずもない。
「あ、ありがとう!」
ほんのり顔を赤らめ華のような笑顔を咲かせる花音さん。
そんな中、僕は夕焼けのように顔が火照っているのを「気のせいだ。」と言い聞かせながら時間が過ぎるのを待つのだった。
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あとがき
初めましての方ははじめまして。そうじゃない方はお久しぶりです。琴葉刹那です。
さて今回は制服買いでした。服装とか無頓着なのですっごい書くの苦労しました。自分の高校の制服見て、Wikipediaで調べて。頑張って記憶の片隅から表現引っ張り出してきた僕を誰か褒めてください。
星&応援ありがとうございます!モチベーションに繋がります!
少し私語を。前回のあとがきにあった若干のネタバレ?は書いた後の恥ずかしさを隠すためです。気にしないでくれると助かります。あと本作品のジャンルを現代ドラマからラブコメに変えようか迷っているんですけどどう思いますか?よろしければどこかの近況ノートに意見をお聞かせください。
さて、最後に近況を。他シリーズ、特に「演劇部」に関しては現実の記録みたいなものなので忘れる前に投稿しなきゃと思っているのですが、現実のことって言い表すのすごく難しくてあまり進まないです。落とし所見つけないと。じゃないとどんどん進む(現実が)。高校に関してはまだだ。まだ中学と同じ生活ができるはず。(おい!)
とまぁそんな感じです。もう二学期入ったのに何してるんですかね僕は。長くなりましたがそれではまた次回。ばいばーい。
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