あなたは冒険者であり、現在は街から離れた場所にある地下遺跡の探索を行なっていた。

 この地下遺跡は床のスイッチを踏むと矢が飛んできたり、通路を巨大な岩が転がってきたりといった様々な死の罠デストラップや、岩人形ロック・ゴーレム骸骨兵スケルトン・ソルジャーといった無機物・アンデッド系の古代から存在しているモンスターが行く手を阻む、なかなかの難関ダンジョンである。

 単独ソロでそんなダンジョンを進む、そんなあなたの目的は、遺跡に眠る財宝でも、古代文明の探求でもない。あなたの目的は、猫探しである。


 しかし、天恵ギフトの効果で大幅に強化された猫を探す旅は、いつだって過酷だ。あなたは襲い掛かる罠を掻い潜り、手にした武器で行く手を阻むモンスター共をばっさばっさと斬り捨てて、猫を探して遺跡の奥へと進んでいった。そのついでに、道中で見つけた宝箱から金目の物を回収しておく。

 あなたは中堅冒険者の癖に猫探しの依頼ばかりを受けている変態だと見られているし、その点に関しては一切反論のしようが無いのだが、強化猫を探して回収するために各地の秘境やダンジョンを踏破しているおかげで、冒険者としての腕は実はかなり高い。

 あなたは駆け出しの冒険者ならばあっさり死ねるような罠と魔物のオンパレードにも、動じる事なくズンズンと遺跡を進んでいった。

 しかし油断は禁物だ。腕の立つ冒険者であっても、あなたは魔法や特別な能力を持たない、普通の人間だ。そして、ほんの僅かな油断やミスが死に直結するのがダンジョンである。

 実際に今よりも未熟だった頃は、うっかりミスして死にかけた挙げ句に、探すべき対象である猫に助けられて、そのまま街に連れて帰ってもらうという失態を犯した事もあった。


 そんなあなたは、遺跡ダンジョンの最深部へと辿り着いた。あなたの天恵は、探している猫の1匹が、この先にいると知らせてくれている。あなたは意を決して、通路の先にある広い空間へと足を踏み入れた。


 そこでは、猫がモンスターとバトルを繰り広げていた。あなたの目に映ったのは、四角い岩のブロックが積み重なった巨大なゴーレムが、高速猫タックルからのジャンピング猫パンチでダウンする光景だった。

 しかしゴーレムも、その程度でやられはしない。体を構成する岩のブロックを組み替えて、長く巨大な右腕を作り上げると、それを豪快に振り回して広範囲を薙ぎ払う。猫はそれを、宙返りで華麗に回避。

 あなたは武器を手に戦場へと躍り出ると、猫に加勢して遺跡最深部の守護者へと襲い掛かった。


 巨大なモンスターとの戦いは熾烈を極めたが、よく見知った仲である強化猫と息の合った連携を取る事で、あなたはどうにか勝利する事ができた。

 あなたと共にボスモンスターを討伐した猫は、あなたを見上げて心なしか得意げな表情を浮かべているように見えた。


 帰るぞ、とあなたが言うと、猫はひと鳴きした後に、あなたの頭に飛び乗った。

 あなたは猫を頭に乗せたまま、最深部にあるお宝を回収した後に、遺跡から脱出した。

 こうしてあなたは一つの冒険を終えたが、休んでいる暇はない。

 次は、雪山に向かった猫を回収しなければならない。

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