第10話
「どうやら、成功したみたいだな」
「そのようです」
アンデルスを地面から抜き去り、それをそのままアバドンへと構える。
「やはり、この寒さでは向こうのように俊敏では動けないようですね――――よっと」
「そのようだな」
やはり、生物だからか体温が下がると動きがとろくなるという所は一緒なようで、随分とスピードが下がっていた。
とりあえず、突進してきたので結構余裕を持ってアバドンの攻撃を回避し、セルシウスにどうすればアバドンのことを倒せるかの相談をする。
「おい、どうすればあいつを倒せる?」
「普通にいつも通りやれば倒せるね。今回は体が小さいから滅ぼすことも出来る」
「なるほど」
それならば、いつも通りに戦うとしますか。
「ヴィクトリア様!」
「任せろ……
ヴィクトリア様が先程出した嵐を巻き起こす魔法を使い、アバドンへと攻撃を仕掛ける。回避しようとしたが、動きが鈍いアバドンは避けることが出来ずにそのまま嵐の中に取り込まれる。
ここの冷気を取り込んだ嵐は凶悪なものとなっており、攻撃を入れながらもアバドンの体温をどんどん奪っていく。
「
そして、さらにここで俺が追撃。嵐の周りを囲むように巨大な氷の箱を作り、その内部に氷柱を出現させる。この氷柱はヴィクトリア様の嵐によって砕かれるが、溶けることはせずにそのまま嵐中を舞うように漂い、氷の礫がすごい勢いでアバドンへとぶつかるので、さらにダメージを稼げる。
そんなことを五分たっぷりと行い、ヴィクトリア様の嵐が終わったタイミングで俺が作った氷の箱も消す。セルシウス曰く、奴は何でもかんでも個体を食べたらエネルギーにすることが出来て、圧倒的速さで回復するらしいからな。
冷気からアバドンの影が見えるが、その影はもう動いておらず、晴れると完全に地面へ横たわっていた。
「ふむ……明らかに弱体化しているな。生贄に使った奴の器じゃ足りなくて色々と色んな代償を背負ってるようだね」
と、セルシウスがそんな考察をする中、ヴィクトリア様はたんたんとアバドンへ近づくと、剣でその胴体を刺した。
「ピギッ!」という叫び声を一瞬だけ上げ、しばらくジタバタさせていたが、次第とそれは弱まり、動かなくなった。
「沈黙……ですかね?」
「あぁ。シュトラムもそう言っている」
これで、ルミネさんの周りを取り巻く一連の事件が一通り幕を閉じたのであった。
「あ、アーディさ――――」
「ユキナくん!」
そして、抱きつかれた。
……ん?抱きつかれ?
「あ、アアアアアアーディさん!?」
ちょ!?や、柔らかっ!あとなんかすっごいいい匂いがするし、いけない所が当たってる気がする!何とは言わないけど!
「良かった……本当に、無事でよかった……」
「大丈夫ですから!落ち着いてください!」
そして、できるならちょっとだけ離れてもらえると助かります!心の準備ができてないです!
その後、俺はアーディさんが落ち着くまでずっと抱きしめられるのであった。
すっごい……ドキドキしました。
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実は次で最終回です。詳しいことは明日また説明させていただきます。
ですが、とりあえず一言だけ。ここまで読んで下さり本当にありがとうございます。みんな好き
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