第8話
あれから、何とか落ち着―――いや、ごめん。全くもって落ち着けてなんて居ないけど、作戦前ということなので何とかそっちの方に意識を持っていったり、ヴィクトリア様に気合い入れとして背中を叩いて貰ったから動きに支障はない……はず!
いざとなったらセルシウスに何とかしてもらうか。
「………ユキナ!」
「っ、はい!」
そして、捕まえた構成員からの情報通りの時間帯に沢山の構成員が乗り込んできた。しかし、奴らは全員陽動なため、無理に戦う必要は無い。適当に傷負わせて適当に放り投げておくか。
「ということで、やるぞセルシウス……っ!」
「おまかせあれ。ボクのユキナには傷一本も付けさせないよ」
「ならば、私もやるぞシュトラム。聖騎士の誇り、見せてあげようではないか」
ボッ…と俺の右眼の色が変わり、そこから冷気が漏れ出す。ヴィクトリア様の方も、右眼が変わっていき緑色の光が仄かに目から溢れ出した。
「俺は左半分を」
「では、私は右半分をやろうか」
俺は、剣を地面に突き刺して魔力を流す。頼むぜアンデルス。お前の力を存分に発揮させろ!
「
剣を起点に前にマイナス100度の冷気が雪崩のように押し寄せる魔法。メリットとしてはかなり範囲が広いので、かなりの相手の動きを止めることが出来るが、デメリットとしては範囲が決められないから味方を巻き込んでしまう可能性があるということ。
だがしかしである。ヴィクトリア様に宿っているのは風魔法が得意なので、冷気がヴィクトリア様のところに向かわないので、全力で使うことが出来る。
「行け!」
ドバッ!と勢いよく白銀色の冷気が侵入者に向かって襲いかかる。冷気が通り過ぎたあとの道は、草花は一瞬で氷、道は、凍結する。
「む、なら私もやるか……っ!行くぞシュトラム!
隣の方では、ヴィクトリア様が剣を振るうと一瞬にして巨大な竜巻が出来上がり、全てを巻き込みながら襲撃者たちへ突撃していく。
「……おや?」
「あれ……?」
全てが収まったあと、さてここからが本番だなと思っていると、目の前に立ち上がる人物なんておらず、全員が全員その場でぴくぴくと痙攣しているのだった。
「……あれ、もしかしてこれ全員やっちゃった系です?」
「もしかしなくても、全員やった奴だなこれは」
痙攣しているから死んではないと思うが、少し拍子抜けである。まぁ、この後3回にわたってまだまだ襲撃者は来るから、楽できるのなら楽したいが……。
「ま、流石に慌ててくるよな」
「第二陣――――いや、聞いていた情報よりも人数が多いな。多分たが、全部突っ込んできたのではないか?」
「アバドンを復活させるのにそれだけ賭けてるってことでしょうね」
何せ、歴史史上一番悪夢と言われた大災厄だ。復活さえ出来れば任務は達成できると考えたのだろう。
「ま、私達には関係ない――――ただ斬って斬って、守り抜くだけだ」
「ですね」
「これで全部ですかね?」
「見えてる範囲ではそうだろうな」
五分後。目に見える範囲には誰も居なくなった。いなくなったというのは語弊があるが、全員地面に寝転がっているのだ。
「どうします?アバドン復活を目論んでる奴のところに向かいます?」
「そうだな、念の為向かう――――ユキナ!」
「!」
「よぉ」
途端、ずっとどこかで身を隠していたのか、一人の襲撃者が俺に向かって突貫してくる。周りの人の気配を利用して隠れていたのか!
「会いたかったぜぇ騎士よ……!」
「お前……っ!ザザか!」
「覚えてくれて嬉しいぜ!」
襲ってきたのは過去二回戦ったことのあるザザ・クリークだった。こいつとは何かと因縁があるな!
小刀で切りつけられないように剣でガードしてたのを勢いよく押し出し、ザザを後退させると同時に懐へ突っ込む。並大抵の武器ならばアンデルスでスッポリと切れるが、ザザのナイフは全く切れやしない。恐らく、魔法で耐久力を上げているか?
ガキン!と一度だけ斬り合い、すぐ様手首を切り返して今度は逆から切りつけるが、ザザも普通にこれを対処する。
これは……前よりも実力が上がっている!?
「フンっ!」
「!」
ここで、ザザがもう片方の手に小刀を持ち二刀流へ。そしてすぐ様それを超至近距離で俺の顔面目掛け投げてきたが、顔をずらして回避。
さてと、こいつ俺一人に執着しているがお忘れだろうか。
こちらは、二人いるのだ。
「
「ぬおっ!」
途端にザザへと襲い掛かる殺気。咄嗟に俺と斬り合うのをやめて横へと回避したザザ。
「……ほぉ。勘だけはいいみたいだな」
「……おいおい、騎士の癖に二対一とかいいのかよ」
「何言ってんだ。犯罪者捕えるのに手段とか選んでられるか」
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『スマホから出てきた剣が俺の人生を180度変えてしまった件(剣)について』
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