第4話
「私、復活です!」
「お、良かったな」
「はい!これで存分にまた訓練がたくさんできます!」
襲撃者を捕まえてから二日が経った。その間に襲撃は一度もなく、まるで嵐の前の静けさとでも言うような不気味さがあった。
更に、尋問の方に回されている襲撃者なのだが、なんと自白剤を使っても効果はない――――いや、効果はあるが、うんともすんとも言わなくなった。一度、魔法を使えるからという理由で、昨日その襲撃者の様子を見に行ったのだが、セルシウス曰く、強力なロックが魔法によってかけられていたらしい。
しかし、強力な自白剤により、その魔法は既に解けかけらしいので、このままほっといても大丈夫らしいので、その旨を尋問のスペシャリストであるパトリシア先輩に言っておいたので、そろそろその結果が分かる頃だろうか。
そして、その間にルミネさんが完全復活したとのことなので、一緒にまた走りましょう!とお誘いを受けたのでこうしてまた一緒に走っている。
「本当に腕の方は大丈夫なのか?」
「はい!もうこんなに腕を振り回しても大丈夫なんですよ!」
と、両手をぐるぐる回し始める。その様子に思わず苦笑してしまった。
「それじゃ、そろそろ行こうか。ゆっくりしてるとルミネさんが遅れ――――」
ちりんちりん
「————ん?」
前に、アイシャさんから渡された鈴の音が聞こえた。これは確か……緊急集合を知らせる音!?
「……ごめんルミネさん。今日は大人しく部屋に戻ってくれないか?」
「え……ユキナさん……?」
「頼む」
この鈴が使われるときは本当に一刻も争うときであるとアイシャさんから聞いている。ということは。今この瞬間にも危険が近づいているということなんだろう。だから、奴らの目標であるルミネさんを外に出しておくことはできない。
「……仕方ありませんね。ですがユキナさん!この埋め合わせはしっかりしてもらいますから!」
「それはもちろんだ」
「……気をつけてくださいね」
「ありがとう、ルミネさん」
そして、俺は急いで拠点へと向かった。
「ユキナくん、ユキナくん」
たどり着いたら、既に沢山の先輩方がエントランスに集合しており、何処にいようかと思ってキョロキョロしていたら、アーディさんに手招きされたので有難くそちらの横に落ち着くことに。
「アーディさんは何か聞いてますか?」
「えぇ。どうやら、尋問をしたら、スネイクドラゴンの奴らは大変なことをこの学園で計画しているようね」
「大変なこと……?」
「来るわよ」
アーディさんが唇に手を当て、しーと呟くと、コツコツと何故かこの大人数の中でも響く足音が二つ。
ヴィクトリア様とアイシャさんが、尋問室のある方の廊下から姿を現すと、全員が一糸乱れぬ動きで敬礼をする。俺もしっかりと先輩方に合わせるように敬礼できた。
「ごめんね皆。こんな朝早くに集めちゃって」
と、いつもの定位置についたアイシャさんがぐるりと全員の顔を見渡す。
「さて、それでは早速本題に入るけれど……私よりもヴィクトリア様の方が皆にどれくらいヤバいかが伝わると思うから、ヴィクトリア様の口から詳細を教えるわ」
「む、私か?まぁ別に構わないが」
そして、今まで立っていた位置にヴィクトリア様が移動し、コホンと一度咳払いを交えた。
「さて………まぁ事態は簡潔に言おうと思うが……どうやらスネイクドラゴンの奴らは、かつて千年前に一度人類の文明を壊滅させたアバドンを目覚めさせようとしているらしい」
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『ヒロイック~戦場に花咲く一輪のイレギュラー~』
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