第3話
さてさて、まさかの相手さんのナイフまで切り落としてしまうほどの切れ味抜群のアンデルスさんですが……すいません、ちょっと切れ味下げることとかできます?このままだとうっかり殺しそうでやばいんで、下げてもらえると個人的には非常に助かります。
「どのようにして捕まえます?」
「この前みたいに氷漬けにしてもらって大丈夫よ」
「了解です」
アーディさんにも具体的な方法も聞いたので、そこまでの道筋をバッサリとだが立てる。最初ならば今すぐ問答無用でコフィンを放てば確保できるが、俺の情報は知れ渡っているだろうから、そう簡単に出来るとは思わない。
ならば、
「アーディさん。
「任せて。先輩の華麗な姿を見せてあげる」
パチッと俺にウインクをするアーディさん。余裕だなこの人。まぁ本当に余裕なんだろうけど。
さてさて、前までの
「力を貸してくれよ、アンデルス……っ!」
キラン!と光り、勢いよく地面に魔剣を突き刺した。そして、今までやる必要がなかった範囲調整をぶっつけ本番でやる。
範囲は、向こうで華麗な剣技を見せているアーディさんを巻き込まないように、あの襲撃者に合わせた超ギリギリの範囲。
行くぞ!アンデルス!
「
アンデルスから銀色の冷気が飛び出し、あの襲撃者をイメージした通りに飲み込んで行った。
「……成功、だな」
次の瞬間には、世界は銀色に包まれ、至る所に氷柱が咲き乱れる。
今、この瞬間には俺と襲撃者しかおらず、襲撃者は急な低温地獄にやられ、膝を着き、口からは白くなった息が出ていた。
いや、まじアンデルスさんやばいっす。ほんと、なんかこの三日間使わなかったことに土下座かましたい。
「………チッ、ここまでか……」
「安心しろ、殺しはしない」
まぁ仮死状態になってもらうのと、この後は尋問地獄が待っていますので、それなりにキツいと思うが……ま、頑張れ。お前がスネイクドラゴンに所属していることが悪い。
「じゃあな」
「………クッ」
地面から氷の棺が飛び出て、そのまま襲撃者を閉じ込めた。
剣を地面から抜くと、
「お疲れ様、ユキナくん……相変わらず、見事な手腕ね」
「ありがとうございます」
褒められたのでぺこりと頭を下げる。しかし、いつもならばこのタイミングで魔法陣が発動されるので―――ほら来た。
この前と同じように襲撃者の足周りに紫色の魔法陣が出てくるが、この前ヴィクトリア様がやっていた通りに、足に魔力を纏わせてそれを叩き割る。しっかりと割れてくれて心底ホッとしたのは内緒だ。
一応、前回にこの方法は防がれているので、更なる魔法陣の警戒をしたが、しばらく経っても何もアクションは起きなかったため。息を吐いた。
「ふぅ……どうやら何も起きないようですね。アーディさんは何か異変とか感じませんでした?」
「えぇ。警戒はしていたけれど、私の方でも何も感じなかったから大丈夫だと思うわ」
なら大丈夫だろう。ゲシッと氷の棺を蹴り横に倒した。
「それでは、こいつ持っていきましょうか。氷ですから滑りやすくなっているので、運ぶのは便利ですよ」
「……うん、そうね。出来れば最初の時もそうして欲しかったわ」
その節は本当に申し訳ありませんでした。
棺の方は俺が運び、アーディさんが周囲の警戒をするということになった。その間に、セルシウスからあのアバドンの反応が確認されたら魔法の方でちょこちょこと壊しながら拠点の方へ戻ると、ヴィクトリア様とアイシャさんが物凄い険しい顔をしていた。
「……あぁ、二人ともどうしたの―――って捕まえたのかしら?」
「丁度いいアイシャ。ここで完全に裏を取っておこう」
「……そうね」
「どうしたのかしら?まるで世界が終わる前みたいな顔をしているけれど」
俺からすればそれどんな顔なんですかとツッコミたかったが、確かにアイシャさんとヴィクトリア様が纏っている雰囲気は重い。
「……いえ、今はまだ不確定の情報を流す訳にはいかないわ……ヴィクトリア様、申し訳ないのですが、尋問の方に立ち会って貰えませんか?」
「了解した。事になれば本当に危ないからな」
「えっと………」
―――セルシウス、分かるか?
―――いや、残念だが細すぎてボクでは察知できない。大人しく、報告を待った方がいいだろうこれは。
との事であった。
とりあえず、尋問部屋に着いたら氷の棺が溶けるように設定してから、襲撃者を引き渡した。
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新作……あるよぉ~。面白い(と個人では思ってる)新作……あるよぉ~。
……読みたくならない?気にならない?
『ヒロイック~戦場に花咲く一輪のイレギュラー~』
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