第12話

 氷柱地獄ニブルヘイムを解き、ヴィクトリア様達の方を見ると、どうやらそちらの方もちょうど終わったようであり、ヴィクトリア様が少しだけ汗をかいている状態なのに対し、ルミネさんは大の字で寝転んでいた。


「お疲れ様です、ヴィクトリア様………ルミネさん、大丈夫です?」


「……ちょっとやりすぎたかもしれんな」


「はぁ……はぁ……」


 ヴィクトリア様が地面に倒れ込んだルミネさんを見て言う。多分、今流した汗は運動のものとは別物だと思う。


「大丈夫?ルミネさん」


「……全然だいじょばないです」


 俺は、慌ててルミネさんを抱き起こし、背中に着いている砂を叩き落とす。あーあ、こんなに汚しちゃって……。


「その、すまない剣の姫君。私も久々に熱くなってしまった」


「だ、大丈夫です……私も楽しかったですから」


 と、笑顔で返したルミネさん。それに一瞬だけビックリしたヴィクトリア様だが、次にはまた微笑み「そうか」と言った。


「もしよければ、また手合わせしないか?……魔剣流、実に面白かった」


「はい!次する時は、もっともっと強くなってますね!」


「楽しみにしている」


 そして、ヴィクトリア様がルミネさんに手を差し伸べ、それを支えにして立ち上がったルミネさん。それを見て俺も立ち上がると、ヴィクトリア様が俺を見た。


「ところでユキナ。魔剣の方はどうだったか?」


「うっえ!?えっと……その………」


 あまり使いたくないとは何故か言いにくかった。








「ザザ」


「……なんだ、お前か」


 スネイクドラゴン本拠にて、ユキナと色々因縁のあるザザの部屋にて、とある男が訪問した。その男は、この前ザザがユキナに負けて、撤退した時にザザの部屋にいた男だった。


「それで、どうしたんだ?次の任務でも決まったか?」


「おう、その通りだ」


「………」


 まさかあっていることに思わず口を閉じたザザ。男は、紙をザザへと渡した。


「………お膳立て?」


「その通りだ。現在、スネイクドラゴンは依頼者の意向により伝説の化け物、アバドンを復活させ、あの剣の姫様を殺そうとしているが、お前には時間稼ぎを頼みたい」


「この俺を時間稼ぎ要員に使うのか?」


「どうやら上は、相当お前を失いたくないらしいな。生贄役は、適当な奴にやらせるらしい」


「………まぁいい。任務だからな」


 結局、スネイクドラゴンに所属している以上、上の言葉には逆らえないため、ザザは頷くしか無かった。


「アバドンの復活に成功したらすぐに戻ってこいよ。でないと、そのままぱくりと飲み込まれて終わりだからな」


「分かっている。俺は、アイツ以外に俺の命を取らせることなんてしない」


 運命の時は近づく。


 一体、どのようにして復活させるのか、アバドンを呼び出したあとはどうするのか。


 それは、依頼者とスネイクドラゴンの一部しか知らないことである。




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この後、もしくは明日新作という名前のリメイク版を出します。個人的にはクソ面白いと思うので、宜しければ読んでみてください。個人的にはマジでオススメします。ジャンルは現ファンです(現代ファンタジー大好きマン)


P.S

新作だしました。

『ヒロイック~戦場に花咲く一輪のイレギュラー~』

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