第9話

「よしっ、ありがとうユキナくん!ついでにだけど――――」


「分かってます。俺も探すの手伝います」


「ありがとう!」


 メーテさんをおぶり、訓練場ら辺までやってきた俺たち。着くやいなや速攻でメーテさんが視界から消えていった。


 さて……セルシウス。案内よろしく!


「任された。こっちだよ、ユキナ」


 と、ふよふよ浮くセルシウスの後を追いかけ、指さしたのはただのそこら辺にあるような小石だった。


「これか?」


「そう、これ。これが全ての元凶だろうね」


 と、セルシウスが言うので持ち上げてみる……うん、確かに何だか嫌な感じがするが、見た目はやはりただの石にしか見えない。


「……セルシウス、これは一体なんだ?」


「そうだね……簡単に言うなら、アバドンの身体の一部だ」


「へぇ……アバドン……うぇ!?」


 セルシウスがとんでもない奴の名前をサラリと出した。


 アバドン。又の名を破壊王や滅ぼす者という意味を持つモンスターという皮を被った化け物の一種である。


 1000年も前にこの世界に存在したとされ、大陸全てを蹂躙した化け物。そのせいで、一度文明が粉々に滅ぼされてしまい、人類はまた文明を一から作り出したとされている。


 そして、1000年前以上の解析できない代物を失われた文明ロストテクノロジーと呼ばれるようになり、歴史的価値が高い。恐らくだが、あの結界装置の端末も失われた文明ロストテクノロジー産だろう。


 セルシウスは、俺が持っているアバドンの一部である石をふよふよと浮かせて持つ。


「アバドンの恐ろしい所は、死してなお体の一部分には『破壊』の権能が宿っているということだ。例え、こんな一粒でも、あの結界を破壊して、侵入することも可能……でも、それだけじゃないね」


「まだ何かあるのか?」


「そうだね。ボクはこっちは専門じゃないから詳しくは分からないけど、恐らく呪術もこの石には込められていると思う」


「呪術?」


 聞いたことの無い単語に、首を傾げる。


「あぁ……うん、詳しいことは団長君たちから聞いておけばいい。私でもいまいち伝えきれる自信が無い」


 と、ポイッと石を俺に投げたので、それをしっかりと両手でキャッチ。


「とりあえず、それを先程の彼女に見せてきておくれ。その間に、ボクはアバドンの欠片の位置を探すのに力を使うから」


「おう、分かった」


 本当に、こんな素直にセルシウスが協力してくれることは珍しい。俺の体の中からならいくらでもアドバイスはしてくれるのだが、こうしてわざわざ外に出てきてくれて、積極的に動くのはレア中のレアである。


 まぁその分、今対面している問題が予想よりも大きくなりそうって言うのが問題なのだが。


 さて、とりあえず俺は、先程セルシウスに言われた通りに、メーテさんにこれを見せに行こう。



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今までの誤字脱字を直してたり、友達とPSO2とかやってたりしたらこんな時間になるし、文字数も全然少なくなってしまいました。まだ誤字脱字チェックは全部終わってないです。ちょくちょくやっていきます

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