第4話
「お帰りなさい。その様子だとアーディにバッチリ絞られてきたみたいね」
「……見てたんですか?」
「あんなに大きな音でキンキンなってたら軽く想像できるわよ」
全く、と言った感じで肩を許したアイシャさん。はい、本当に申し訳ありませんでした。
「とりあえず、シャワーを浴びてきて朝ごはんを食べてきなさい。それが終わったら、仕事について説明をするわ」
と、言われたのでアイシャさんに失礼しますと一礼してから部屋へ向かう。風呂に入るならば大浴場(しっかりと男女は分かれている)を使わなければいけないが、シャワーだけならば部屋の方に準備されているのでササッと流れた汗を水で流してから食堂に向かった。
食堂は一回にあり、エントランスから見て右側のほとんどが食堂となっており、専属の料理人が栄養たっぷりな美味しいご飯を作ってくれる。
今日の朝ごはんの献立はサラダにスープとパンというごくごく普通の光景だが、匂いだけで既に美味い。昨日も夜ご飯を食べる時に思ったが、一体どんな料理技術をしているのだろうか。ここに来るまで自分で料理してる俺としては非常に気になるところだが……ん?
どこで食べようかとキョロキョロしていると、ちょいちょいと自分を手招きしているのが目に入る。あれは……ミカエル先輩か。
近くによってみると、にっこりとした顔で俺を出迎えてくれた。
「おはよう!ユキナくん」
「おはようございます、ミカエル先輩」
相変わらず、今日も笑顔が元気ですね。
ミカエル先輩。アイシャさんとアーディさんを除けば、俺に二番目に話しかけてくれた先輩である。ちなみに、一人目はナタリエ先輩である。
オレンジ色の髪と、金色の瞳。一目見てまず思ったのは、元気ということだろう。そして実にフレンドリーなお方でもあるが―――――
「それで、手招きして何かあったんですか?」
「いや?ユキナくんの姿が目に入ったから、一緒に食べようかなって。せっかく一緒に働くなら、もっと仲良くなりたいしね!」
と、言いながらパンを一口飲み込んだら、一気に顔が青くなった。慌てて胸を叩き始めたので、水を差し出した。
「口に物含んだまま喋るからですよ。お水です」
「んっ……ごくっ……ごくっ……ぷはぁ!ありがとう!ユキナくん!」
――――色々と、せっかちな人でもある。
「まだ配属されてばっかりだけど、ここはどう?」
「いい所だと思いますよ。男は俺一人なのに、邪険に扱われるどころか、めちゃくちゃ優しくしてくれますし」
ぶっちゃけ、アーディさんから男は俺一人と伝えられた時に、上手くやって行けるかすごい不安だった。セルシウスには女の人の恐ろしさは教えて貰っているしな、夢の中で。嬉しくないことに映像付きだった。
一番見ててまじ怖ぇと思ったのは、表ではめちゃくちゃいい人なのに、裏になった瞬間、めちゃくちゃ罵声とか悪口とか言ってるのだった。そのせいでしばらく女性不信になった。
勿論、今はちゃんと治ってるし、セルシウスが宿っているおかげか、人柄は見ればなんとなく分かる。ほんと、ここの人達が皆優しいから余計な心労が無くて助かります。
「そういえば―――」
「どうしたの?」
「いえ、侵入者の方はどうしているのかなと」
ふと思い出したのは、俺が捕まえた昨日の侵入者である。そうそう、後でアイシャさんにもセキュリティどうなってるのか聞いておかないと。
「あぁ、ユキナくんが初日から大手柄を出したものね。今頃、地下の方で尋問とかされてるんじゃないでしょうか?」
「尋問ですか……こういった裏の方で生きている人は中々口が固いようなイメージがあるのですが……」
「大丈夫よ!ウチの騎士団にはとっても尋問上手なスペシャリストがいるもの!」
へぇ、尋問のスペシャリスト?ちょっと気になるかもしれない。
「そんなに凄いんですか?」
「ええ!なんでも、彼女が尋問を開始して五秒後にはペラペラと喋ってしまうらしいんです!」
「ほ、ホントですか!?」
それだったら本当にすごい。勿論、勉強のために一度尋問とはどういうものかを映像付きで見せられたので、尋問の難しさは知っているはずである。
それを五秒で……一体どんな方法を――――
「なんでも、自白剤?という吸ったらなんでも答えてくれる魔法の香料があるらしく――――」
「………え?」
………薬?
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