91話 悔いなき選択を

 那奈さんからの突然の告白……。


 そ、そうか……那奈さんも……


 俺のモテ期に毒牙に食らってしまった!!!!!

 やばいなぁぁ……どんだけすごいんだよ、俺のモテ期スキル。

 西園寺さんに始まり、香乃、星川、朱音先輩、そしてとうとう那奈さんまで……!!

 全員コンプしちまったじゃあねぇーか!!

 俺、何かしちゃいました?


 ラノベ主人公のごとく出会った女性から次々と好意を持たれている。


 もう俺は自ら刑務所に入ったほうがいいかもしれないな……。

 にしても……どうしよう。

 自分より年上の女性が勇気を持って告白してきた。

 過去や想いを添えて……。

 冗談ではなく本気なんだ。

 本気で俺のことを好きなんだ……。

 那奈さん……。


「神原くん……」


「は、はい」


「神原くんは……私のことどう……想っている……?」


 那奈さんは目をうるうるしながらもまた勇気を出して俺の想いを聞いた。


 どうする……俺は……なんて答える……。


▶︎・俺も好きっす

・めんご!

・とりあえずは深呼吸 更新

・おっぱい


・俺も好きっす

・めんご!

・とりあえずは深呼吸 更新

▶︎・おっぱい


・俺も好きっす

・めんご!

▶︎・とりあえずは深呼吸 更新

・おっぱい


・俺も好きっす

・めんご!

▷・とりあえずは深呼吸 更新

・おっぱい


「はーーふぅーー」


 俺は深呼吸をして自分の気持ちを整理した。

 危ない、危ない、またおっぱいと言って逃げるところだった。


 さてと、俺は那奈さんのことをどう想っているんだろう。

 ユリユリ仲間としては好きだし、話していて楽しいとも感じる。

 しかし、それはあくまで友達としてだろう。

 では異性としては……?


 それがいまいちわからないな。

 特別那奈さんにドキドキするわけでもない。

 他の人の告白を受けてもめちゃくちゃドキドキしたし。


 だけど、何だろう……。


 那奈さんに関しては他の人とは違う。もっともにゅっとした感情がある。


 それが告白された今、外に溢れ出しそうだ……。


 うまく言葉に表せない。

 だけど、俺の頭の中は今那奈さんでいっぱいだ。


 那奈さんのことしか考えられない。

 まるでギャルゲーで一人の女の子を選んだ時のように……。


 あれ? もしかして……それって……


 それって……。


 "恋"!!


 自分の気持ちの言葉を見つけて、俺の心臓の音はさらに加速していく。


 お、俺は那奈さんのことを———。


「お、俺は……」


 自分の気持ちを答えようとした。


 その時!!


 ザバーーーーーーーーーーーーーン!!!


 沖の方で大きな波をうつ音が聞こえた。


「な、なんだ!」


 見ると大きなクジラが泳いでいた。

 沖の方へ帰っていく。


「クジラ?」


「そうみたいだね……」


 あの大きな影はクジラだったのか。

 にしても熱海にクジラなんていたっけ?

 まあ、海なんだしクジラぐらいいてもおかしくないか。


 クジラによって会話が中断されてしまった。


 お互いぽかんと海を眺めていた。


「す、すごかったね」


「え、あ、はい」


「それで……さっき何を言いかけたの?」


 再び奈々さんが問いかける。

 よ、よし! こ、今度こそ!!

 俺は再び想いを告げる為、口を開いた。


「お、俺は……那奈さんのことが!」


"ナニシテルノユークン"


「はっ!」


 声が聞こえ、振り返るとそこには……。


 不敵な笑みを浮かべる朱音先輩がいた。


 こ、これは……再び修羅場の予感!!

 

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