79話 やっぱキ○トかな〜〜
「海ね」
「海!」
「海ですね」
「海……」
「海」
「シー」
「ということで〜〜」
「2日目は一日中海で泳ごう〜〜!!!」
西園寺さんと香乃の掛け声で2日目、熱海での海水浴が始まった。
「待って、聞いてねぇーよ! 海で泳ぐなんて」
「え、神原くん、水着持ってきてないの……?」
「グループLINEで言ってたじゃないですか」
「え、あれそうだっけ?」
あんま目を通してなかったな。
「ゆーちゃんのことだからそんなことだろうと思って! 持ってきたよ!」
香乃に水着を渡される。
気がきくじゃないか。
「え、あ、サンキューってこれ……中学の時のスク水じゃねぇーか! なんでお前が持ってんだよ!」
確か実家に置いてあったはず……まさか!
「てへ! なんでだろうね」
こいつ……ここまで来るとものすごく怖いわ。
「こんなの履けるかよ……」
「ゆーくん、今日トランクス?」
朱音先輩が突拍子もない質問した。
「ト、トランクスですけど」
「それなら大丈夫だね」
「何が????」
パンツでいけるってやべぇーぞ。
ったく……しゃーない、海の家で買ってくるか。
俺は無難な安い水着を買って着替えた。
「えーと、確か赤いパラソルだったな」
パラソルとレジャーシートも貸し出ししているなんて今時の海はすごいな。
「あ、あれか」
向かおうとしたが……。
なんだか知らない男グループがいるぞ。
なんだなんだ?
ちょっと離れて見てみよう。
「君達、めちゃくちゃ可愛いね〜〜、え、もしかして芸能関係者?」
「よかったら俺達と遊ばない?」
おいおい、まだ海にも入ってないのにナンパされてるぞ。
「ごめんなさい、私達連れを待っていて〜〜」
西園寺さんが言う。
変に怖がってもないし、慣れているんだろうな。
「いいじゃん、いいじゃん行こ〜〜あっちにお酒もあるよ〜〜」
それでも引こうとしないナンパ男達。
面倒だがここは助けに入るか……。
「いえ、だから連れを待ってるので他をあたってください〜〜」
「なら、その連れの彼女も一緒にさ」
「えーーいいの? その連れの"彼"キレたら何するかわからないよ?」
「え?」
「は?」
西園寺さん、突然何を!!
「ボディーガードで連れてきたの。なんだっけ? 元SPだったような〜〜ねぇ、湊ちゃん」
おいおい何嘘こいているんだ! こちとら現本屋やぞ。
「はい、確か空手に合気道、剣道、柔道、あと
設定盛りすぎだろ。俺はブルースリーか。
「き、昨日も私たちに絡んできた人達ボコボコにして大変だったね……」
「うん! それと彼アニメキャラに例えると! キ○トに似てるんだよねぇ! こないだも『DQNに絡まれた時、気が付いたら意識無くて周りに人が血だらけで倒れてたしな笑笑笑』って言ってたし! ちなみに彼の幼馴染みもア○ナに似てるらしいよ」
聞いてない……てか、お前はア○ナに似てないだろ。
こんなんすぐに嘘だってバレるだろ。
「へ、へーそ、そうなのか……」
しかし、ナンパ男達は意外にもビビっていた。
まじかよ、こいつら。
ドン引きしていると朱音先輩と目が合った。
「あ、彼が来たよ」
「ひぃーー!!! し、失礼しまーーす!!」
男達は逃げて行った。
「ふふ、ようやく来たね キ○トくん」
とからかうように言う朱音先輩に俺は、
「キ○トでーす……」
引き攣った表情で言った。
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