68話 真意
「はぁーー」
夕食を終えて、部屋に戻ってきてすぐ私はベッドに倒れた。
「先輩……」
結局、うまくはぐらかされてしまったな。
………………………
「朱音さんって昔先輩と付き合っていたんですか?」
先輩と那奈さんは話を変えようとしたけど、私は違った。
知りたかった……朱音さんと先輩はどういう関係なのかを!!
「お、おい星川!!」
「うーん」
動揺する先輩と違って意外にも朱音さんは平然としていた。
そして何かを考えるように唸る。
一体何を考えているの?
やっぱり先輩と昔付き合っていたの……?
「それはゆーくんに聞いて」
「え?」
「うぇい!?」
急に自分にふられて変な声を出す先輩。
「どうなんですか! 先輩!」
この際先輩からでもいい!
はっきりして欲しい……! 先輩と朱音さんはどういう関係なのかを!!
「え、えと……まあなんというかな……」
「はっきりしてよ! ゆうちゃん!!」
「そうよ! ゆうくん!」
エレナさんも、香乃さんも私と同じように知りたいらしい。
3人に迫られ、先輩はとうとう口を開く。
「……付き合って……」
息を呑んだ。
そして……。
「あ、そろそろ! 俺の好きなVチューバーの配信が始まる時間だ!! 先に部屋に戻るわーー!」
そう言って先輩は逃げた。
………………………
「はぁーー結局どうだったんだろうーー香乃さんも気になりますよね?」
香乃さんを見るとスマホをいじっていた。
「香乃さん?」
「湊ちゃん! 二人がはぐらかすならその二人をよく知る人に聞くのが一番だと思う!」
「え?」
「エレナちゃん達も部屋に呼んだから、みんなで真相を確かめよう!!」
すると数分後にエレナさん、それに那奈さんも入ってくる。
「ほら、那奈さんも!」
「え、わ、私は別に……」
「みんな揃ったね! よし! じゃあ電話するよ! 京也さんに!!!」
京也さん……? あーよく店に来る先輩の友達か。チャラそうな人だったような。確かこの旅行も本来はその人が来るはずだったんだよね。
早速香乃さんは京也さんに電話をかける。
するとワンコールで電話に出た。
『ど、どうしたの!? 香乃ちゃんから電話なんて!? まさか、由に愛想つかして、俺の方へ? 参ったな〜〜俺には西園寺さんがいるしな〜〜』
「うっわ……」
スピーカーにしていた為、この気持ち悪い発言がエレナさんの耳にも入る。
どん引いているエレナさん、確かに気持ち悪いな。
「そんなことじゃなくて! 京也さんに聞きたいことがあって電話したの!」
『聞きたいこと?』
「ゆうちゃんと、朱音さんのこと!」
『由と朱音先輩のこと?』
「京也さん、ゆうちゃんと同じ大学だったから二人がどいういう関係だったか知ってるでしょ?」
『まあ、そりゃあね』
香乃さんのスマホを4人で囲み、話を聞こうとする。
「お願い教えて」
『うーん、いくら香乃ちゃんの頼みでもなーー。由に悪いし』
「私からもお願い、京也くん」
『さ、西園寺さん!!』
西園寺さんが出てきて声が裏返った。
『ふっ、西園寺さんの頼みとあっては仕方ありませんね』
先輩、裏切るのはや。
それに急に声かっこつけてるの少しうざいな。
『その前に本人に直接聞くのが早くないすか? 旅行で何かあったの?』
「うーん。二人に聞いてもちゃんとした答えがなかったの。だけど確実に二人、特にゆうくんは朱音さんのこと何か隠していると思うの! だって今日もずっと朱音さんを意識していたし、同室と決まってからは妙にソワソワしてるし」
『え!? 朱音先輩と同じ部屋なんすか! そいつは面白い……』
「「何が面白いの?」」
『い、いえ……』
香乃さんとエレナさんのガチトーンに急に声を小さくする京也さん。
「ともかく京也くん、大学時代の二人のこと話してよ」
『わかりました! えと、まず結論からいうと……』
スマホに少し近づいてよく聞こうとする。
そして———。
『由は朱音先輩に一度告白してます』
と京也さんから告げられた。
驚きのあまりみんな顔を見合わせた。
「「「「えーー!!!」」」」
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