48話 俺の幼馴染みがこんなオタクなわけがない
「っておい、ここって!!」
デートだと言われて香乃に無理矢理連れてこられたのは……。
「アキバじゃねぇーか!!」
「え? だってゆうちゃん、秋葉原好きでしょ?」
「くっ!」
こいつも何一つわかっちゃいない!!
前に西園寺さんにも言ったが、アキバは1人か同じ趣味を持つ奴と行くところであって、全くそういうものに精通していない者と行っても楽しくはない。
むしろ、気を遣って逆に楽しめない。
あと、オタクだからと言ってアキバ連れて行けばいいだろ、みたいな認識もこちらからしたら不愉快。
アキバはもうオタクだけのものじゃない!
確かにアキバはオタクの聖地だ。しかし、今では駅前のUDXをはじめとした複合オフィスビルが立ち並ぶほどのビジネス都市でもある!
現にオタ活以外で就活で何度か訪れた。
それに美味しい飲食店もいくつかあるグルメな街でもあったりする!
買い物ついでに美味しい飲食店を探すのも密かに俺の楽しみでもある!
外国人観光客のための免税店も多いし、もはやここは"オタクの街"というものでは収まらない!!
様々な人間が行き交う"カオスの街"
その認識がない奴とは一緒にこの街を歩きたくはない。
それが俺のアキバに対してのこだわりだった。
「それよりお前的には上野の方がいいんじゃないか? 上野公園行けばパンダに会えるぞ。見たことないだろパンダ!」
上野に誘導しようとする。だが。
「うーん。上野公園は次の機会ね! 今日は秋葉原がいいなー!」
そう言い俺の提案を流し、街の方へ足を進める。
是が非でも今日はアキバでいるつもりかよ。全く……。
やれやれと溜息を吐き、俺は香乃についていく。
どうしてこうも秋葉原にこだわるのだろうか。
俺の為か?
それか本当に行きたい場所があるからなのかな。しかし、こいつに俺と同じようなオタク趣味はない。
恐らく今もちゃんと見ているアニメもサザエさんやドラえもんくらいだろう。
香乃はアニメよりもドラマ好きだったしな。それを知っていたから俺は今までこいつにアニメを勧めなかった
あ、でも俺が中学の頃ガ○ダムにはまった時に一度だけ、こいつに宇宙世紀のガ○ダムシリーズを無理矢理見せたっけな。
宇宙世紀を一通りDVD借りて一緒にみたっけな。
それでほぼほぼ全部通して見させて聞いた感想が確か……。
「このシ○アって赤い彗星なのになんで髪黄色いの?」
だったしな……。
こいつにオタク《ニュータイプ》になる素質はないと思うのだが……。
もしかしたら、地元にいる間にオタクに目覚めたのか。可能性は十分ある! こいつと再会した場所もアキバだったし。
だったら話は変わる。
もし俺と同じ路線のオタクならこんなに嬉しいことはない!!
そんな密かな期待を胸に香乃についていくこと約15分。
「あった! ここ入ろう!」
「おい……ここって」
香乃が立ち止まった場所に俺は度肝を抜かれる。
だって……
だって……ここ!!
コスプレショップ!!!
「ここ行きたかったんだーー!」
そう言い入っていく。
まさかのコスプレとは思わなんだ。
地元にいる間に何があったんだよ。
まさか俺の知らない所で地元にコスプレブームでも来ているのか。
いやんなわけないか。
普通に自らハマったのか? 朝も裸エプロンしてたしな。
だったら何であいつ、今更コスプレなんかに……。
「うーむ」
アニメキャラ達の衣装が並ぶ店内を歩く。
最近の衣装って意外とクオリティーが高いな。衣装だけ見ている分にはなかなか楽しいな。"衣装"だけならな!
俺はコスプレに対して少し思う所があった。
それ故に幼馴染みがそれにハマるのは何だか心がモヤモヤした。
しかしその俺の"地雷"を踏まなければ別に問題はない。
「ゆうちゃーん!!」
試着室から声がした。
お、早速なんかのキャラの衣装を着たようだな。香乃のコスプレ衣装でも見てやるか。
試着室の前まで行き、香乃を見る。
「ど、どうかな?」
衣装を身に纏った香乃が顔を赤くしながら俺を見る。
「ほぉーーどれどれ……は……?」
しかしこの香乃を見た瞬間、俺の中の地雷が———。
バーーーーーーーーーーン!!!!
盛大に爆発した。
何故なら香乃がコスプレしたキャラが———。
「ゆうちゃんが好きって言っていたキャラの衣装着て見たけどどうかな?」
俺の大好きなほのかちゃんだったから———。
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