俺の幼馴染みがこんなに新世紀なわけがない件について

47話 俺の幼馴染みがこんなに肉食系なわけがない

 新宿事変後のそれぞれまとめ。


 姫咲さん……何だか知らんが一夜を共にした。

 そして、俺の口から何故だが"お姉ちゃん"というワードが出た瞬間、彼女は逃げるように俺から去っていった。

 記憶にはないが恐らく彼女が引くような姉弟プレイをしたのかもしれない。

 気まずいから俺からも連絡は取り合ってないし、顔も合わせてない。

 

 西園寺さん……何故だが知らんが、チュッチュされた。

 その後、思春期の学生並みに意識してしまうが、なんとか堪えている。

 あっちもあっちでモデルの仕事が忙しいのかはたまた後悔しているのか、最近会う頻度は減っている。

 俺も気まずいし、ちょうどいいっちゃちょうどいいが……。


 星川……何度かシフトが被ったが特にあの時のことを言及されない。

 まるで告白したことがなかったことになっているのでそれに俺も合わせている。

 こいつとは前とは変わらない関係が続いてる。こいつの考えていることは未だによくわからない。


 そして、香乃何だが……。



「はぁ……」


「あ、おはよう! ゆうちゃん!」


「おはよう」


「もうすぐ朝ごはんできるから待っててね」


「ういーーって……なんで毎朝いるんだよ!!」


「えーーそんなの決まってるじゃん!」


 香乃はお玉を持ちながら顔を赤らめて、


「花嫁修行♡」


「はぁ?」


 新宿事変後、前より一段と俺へのアプローチが積極的になった気がする。


 このように毎朝、俺の家に来て朝ごはんを作りに来る。

 まあそれはありがたいんだけどさ……。


 こいつどうやって俺の部屋に入ってきたんだ?

 玄関も窓にも鍵をかけているのに、どうやって入ってきてんだよ。

 すり抜ける"個性"でも持ってるのか?

 ミ○オなのかこいつ?

 

 それに一番の謎が……。


「よし、出来たよ」


 テーブルに二人分の朝食が並ぶ。

 ご飯と納豆と豆腐の味噌汁、それに焼き鮭……日本らしい朝食だが、それよりも俺は別のものに目をやった。


「召し上がれ!」


 無防備に谷間が見える裸エプロン姿の香乃に……。


「どっちを!?」


「え?」


「いや、な、何でもない。いただきまーす!」


 どうして毎朝、裸エプロンでいるんだよ!!

 朝から目のやり場に困るんだよ!


 ったく……そう思いながらも香乃の作った朝食を食べる。


「ふふ」


 動揺している俺を見て密かに笑う香乃。


 あれからこんな朝が続いていた。

 これは完全に攻めに来ている。それもただの攻めじゃない……特攻だ!

 まさに自分の身を削るような特攻!!

 何をしでかすか俺にもわからない。

 

「なあ、どうして毎朝……その裸エプロンなんだ?」


 思い切って聞くと香乃は微笑みながら


「だって、ゆうちゃん裸エプロン好きじゃん」


「え?」


 こいつにんなこと言ったか?

 確かに一時期ハマって、ヒロイン全員に裸エプロンを着させるエロゲーをやっていたりしたが……。

 すると、香乃はおもむろに俺のベッドの下の秘蔵コレクションに手を伸ばし、


「ほらこんなゲームも持ってるし」


「見ないでぇぇぇ!!」


 親にエロ本見つかった時のように全力で取り返す。


「お、お前!! 勝手に人の部屋を漁るなよ!」


「えーいいじゃん」


「よくない!」


「何があっても、私は引かないって」


 そういう問題じゃないんだ。

 人には他人には絶対見られたくないものを一つや二つ持っている。

 特に親しい者ほど、見られたくないものを……。


 それに俺は確信していた。


 いかに香乃とは言えど、俺の秘蔵コレクションのさらに頑丈に隠されているディープコレクションを見たら……引く!

 いや引くどころじゃ無い……きっと俺の両親や地元の友人に報告される!

 それだけはなんとしても守らなければ!!


「とにかく、俺の部屋に入るのはいいが、物色はやめてくれ!」


「わかった、わかったよ、もーー」


 本当にわかっているのか?


 こいつが俺の部屋にいることが別の意味でドキドキする。


「あ、そう言えばゆうちゃん今日休み?」


「え、ああ休みだが」


「なら今日私とデートしない?」


「えーー今日は溜まっているアニメを見ようとしていたんだが」


「わかった。じゃあ来なかったらおばさんにこの裸エプロンのゲーム見せるね!」


「オムツ持参でお供します!」


 母ちゃん出すのは反則だろ……。


 こうして半強制的に俺は香乃とデートすることになった。


 

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