14話 右ストレートは思いっきり脇を閉めろ
ほのかちゃんの期間限定が欲しいからアプリの石集めを始めた。
そんな関係ないことを頭に埋め尽くすことで俺はこのめんどくさい現実から目を逸らした。
すると。
「ちょっと待て。香乃ちゃん、それはあまりにも一方的すぎるよ。それにそんな幼い頃の約束を今更持ち出されてもゆうくんが困っちゃう」
西園寺さんが間に入る。
「これは私とゆうちゃんの話です。西園寺さんには関係ないことです」
きっぱりと言う香乃。
ピリついた空気が流れ始めてきた。
そんな中でも俺は隠れてスマホを開き、本格的に石集めに没頭しようとしていた。
「確かにそうかもだけど……。でも私だってゆうくんのことが好きだから! 昨日会ったばかりだけど、本気なの。ここは譲れない」
よし、溜まったし引こう。
「西園寺さんが入る余地なんて無いと思いますけど。ゆうちゃんと結婚したいって本気で思ってます?」
ほのか来い来い来い!!
「結婚って……それはあまりにも飛躍している気が……」
これはSSR確定演出!!
「あれ、西園寺さんはゆうちゃんと結婚したくないんですか? 所詮その程度の愛なんですか?」
話がヒートアップする中、俺の心もヒートアップする。
来るか! 来るか!!
「ち、違うよ! あなたよりゆうくんのことは好きな自信はある! だって一緒に寝たもん!」
おっ……!!
「ふふ。私なんて一緒にお風呂に入ってましたからね!」
まじで……!!
「どうせ! 幼い頃でしょ!」
来たーー!!!
「中学まで入ってました!」
超超超絶かわぇぇぇぇ!!
「え、中学?」
新衣装の露出ぱねぇーー!
「はい。まあ今でも全然余裕ですけど」
ありがとう……神様。
「わ、私だって……そ、それくらいは……///」
そんな言い合いの中で俺は運命の出会いを果たした。
新衣装、巫女服のほのかちゃん。
巫女服って反則だよな。あの神秘的かつキュートな感じがすごく堪らん。ただでさえ可愛いのに巫女服を纏うことでさらに可愛く見える。相乗効果が半端なくすごい。
もう何もいらない。ほのかだけで生きていける!!
「このままじゃあ、埒があきません。ここは直接ゆうちゃんに聞きましょう。私と西園寺さんどっちと結婚したいか」
「じょ、上等だよ!」
まじでほのかしか勝たん!
「てことでゆうちゃん! 私と西園寺さん、どっちがいい!?」
「え……?」
ふとに我に帰り、二人の顔を見る。
どちらも赤くトマトのようで怒っているのか照れているのかよくわからない表情だった。
そんな二人に俺は言い放った。
結婚するならやはり……。
「ほのかちゃん!!」
そう言った途端、二人は突然立ち上がり、同時に右手を掲げた。
「ゆうちゃんの……」
「ゆうくんの……」
「「キモオタ!!」」
「ぐぶへぇ!!!」
俺は二人から渾身の右ストレートをもらい、一発KOされた。
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