13話 幼い頃の約束とかよりも正直幼い頃見たエロ本の方が鮮明に覚えているよね
ほのかちゃん新衣装! 絶対手に入れて見せるぜ……!
と燃えている俺をよそに。
「え……結婚ってどう言うこと?」
「幼い頃、約束したんです。ゆうちゃん、私と結婚するって」
なんか気がついたらすげぇー話してんだけど。
俺がほのかちゃんにテンション上がってる間に何があったん?
「ねぇ? ゆうちゃん?」
俺に微笑む香乃。
いやいや同意を求められてもしらねぇーし。そんな約束したかな……。
過去の記憶を遡る。
うーん……。香乃との思い出……香乃との思い出を思い出せ!
高校時代。
「なあ、香乃。やんなくていいからこのアプリインストールしてくんない? んで招待コード送るからそれだけ入力して欲しい」
「おっけ!」
あ、これじゃないな。
中学時代。
「香乃、3丁目の空き地にエロ本めっちゃ落ちてるらしいぜ! おい行こうぜ!」
「待ってよ、ゆうちゃん〜〜」
これでもねぇーな……。
小学時代
「最近、股間が突然大きくなるんだよな……病気かな……」
「病院行けば?」
……なんかクソほどしょうもねぇー思い出しかないんだけど。
待て、あ、あともうちょっとで思い出せる。あれは確か……。
保育園時代。
俺はよく隣に住んでいる香乃と遊んでいた。
それは確か近くの公園ブランコをしていた時だったな……。
「ねぇ……ゆうちゃんはおおきくなったらなにになるの?」
そう香乃に聞かれて俺は確か……。
「伝説のホケモンになる!!!」
ホケモンマスターではなくそれ自体になるのかよ! あ、自分の回想に突っ込んでしまった。
「そうなんだーー! あたちはね、ゆうちゃんのおよめさんになりたいんだ! だから、だからさ……おおきくなったらあたちとけっこんしてくれる?」
それに対し幼き俺は……。
「いいぜ! けっこんしておれのたまごうんんでくれ」
「うん!! やくそく!」
こうして指切りをしたような……。
てか待て? たまご産んでくれって、子供ながら俺やばいこと言ってたな。
「どう? 思い出した?」
香乃がジッと俺を見る。
「ああ、思い出したけどさ。あれは園児だったころの約束だろ。そんなの今更持ち出されてもなーーそれにお前たまご産めないだろ」
「たまごは産めなくても、もう子供は産めるよ!」
はっきりと言う香乃を見て、少し自分が恥ずかしくなり顔を赤くする。
西園寺さんも同じく赤くなっていた。
「それに……私……この約束を叶えるためにここまで来たんだから……」
「え、約束を叶えるため?」
香乃が俯きながらスーツの袖を握りしめる。
「本当は高校卒業したら私もゆうちゃんと一緒の大学に行きたかった。でもうちは貧乏でそんな余裕はなかった。ゆうちゃんに手紙を送っても全然返ってこなかったし、ゆうちゃん自体も全然帰ってこないし……」
手紙って……そういえば高校の頃香乃はスマホを持っていなかったな。だから手紙を送っていたのか。しかし、大学時代の俺はポストを見る習慣がなかったからな。どんどん溜まっていく紙は全部広告だと思っていた。
地元に帰らなかったのはその時、ゲームやアニメを一日中見たりやったりすることに命を燃やしていたから。
帰省という行動を忘れていた。
すごく申し訳ない事を俺は無意識にやっていたんだな。
「だから私、働いてお金をいっぱい貯めたの。それでようやく東京で暮らせるほどのお金が貯まったから来たの! おばさんに聞いてゆうちゃんの住所はわかってたけど、まさか就活中にゆうちゃんに会えるとは思ってなかった。働いて落ち着いてからゆうちゃんと結婚しようと思っていたから。でも今こうしているのは本当に運命だと思う! だからゆうちゃん! 私と結婚しよ! あの時の約束を叶えよう!」
感情がフルスロットルしている。まるで暴走機関車だ。
昨日から一方的に好意を言われていてついていけねぇーー。俺はいつからラブコメの主人公になったんだよ。
もうどうしたらいいかわからない……。
ひとまずこの状況を打破する為、俺は……。
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