15話 男の友情はだいたい女で崩れる
なんやかんや話していたらもう夕方になっていた。俺はアキバを出て1時間電車に揺られ、ようやく最寄り駅に着く。
色々あったが、まあなんとか百合本とほのかちゃんはゲットしたし、結果オーライだな。
ファミレスを出てもう一度自分の力で何とかしてほのかちゃんをゲットすることに成功した。
かかった金額は……考えたくはない。
まあいいや。
さてと帰って百合本でも見ようかな!
そんな思いで駅からアパートまでの帰路である河川敷を歩いていたが。
「へーー。エレナちゃんってパン屋で働いているんだーー」
「うん! さっき通った商店街の中にあるんだ、ぜひ来てよ。香乃ちゃんならサービスするよ!」
俺の後ろで仲良く歩く二人。
さっきまで喧嘩してたのに、急に仲良くなるなんて、女の距離間はわかんね。
てか。
「おい! なんで二人がここまでついてくるんだよ!!」
「だって私は帰る方向こっちだし」
西園寺さんが言う。
まあ、西園寺さんはわかるが……問題は……。
「私も!!」
と香乃が元気よく言う。
「お前もここら辺なのかよ!」
「うん! というかゆうちゃんのアパートの近く!」
「は?」
こいつ、母さんから俺の住所聞いていたな。何が偶然だよ。めちゃくちゃ必然じゃねぇーか。
「ということでこれからよろしくね」
「すぐ会えるね!」
嬉しそうに言う西園寺さん。
やめてくれ。これ以上自分の領域を脅かされるのは困る。
「はーー……」
どうしてこんなことになったんだ……。
どうしてこんな急にモテ期がフルスロットルしているんだ……。
来るならもっと早く来いよ。
今の俺はもうそういうのいいのに。
今の俺はただ二次元が有ればそれでいいのに……。
現状に対し、溜息をこぼしていると。
「お、よう神原!」
京也と出会った。
この状況……かなりめんどいことになりそうだな。
俺は早歩きになり、後ろ二人の女を置いて、京也を無視しようとした。
しかしそんな俺の行動をまるで先読みしたかのように京也が恐らく早い速度で俺の腕を掴む。
「待てよ……お前どうして、エレナちゃんといるんだ? それにもう一人の可愛い子はなんだ?」
「京也、これには深い事情があってな……」
誤魔化そうするが、その前に……。
「あ、えと昨日合コンにいた人!」
西園寺さんが京也に話しかけてしまう。
「京也ッス……」
「あ、そうだ、そうだ京也くんだったね!」
西園寺さん、京也のこと覚えてなかったのかよ。
「西園寺さん、昨日は心配したんすよ。突然いなくなって。神原もだよ! 突然消えてさ。お前もどこ行ってんだよ」
こいつには言えない……西園寺さんの家に泊まっていたなんて……。
「え? あの後ゆうくんと一緒に私の家行ったんだよね。ねぇゆうくん」
言うなや……。
「は? どう言うこと?」
ガチトーンの"どう言うこと"を前に俺は京也にうまく説明しようとする。
「いや、あれだよ。公園で気分悪くしている俺を見兼ねて彼女が介抱してくれたんだ! ほんとそれだけ。何もない。まじで!」
「うん。私が色々アプローチしたり、その時、ゆうくんに告白したんだけど振られちゃったんだよね」
言うなや……。
「はぁ?」
やばい。まじの"はぁ?"だ。
「いやいや違うんすよ。京也さん、なんか因果律が狂ったんすよ。うん」
自分でも言っていることがわからなくてなってきている。
そんな中、後ろにいた香乃が京也の前に立ち始める。
「あの、はじめまして! 春野香乃です! ゆうちゃんの許嫁です!」
言うなや……てかちげーし。
さらに事態を混沌とさせた。
「許嫁!?」
「違う!」
「お前……こんな可愛い許嫁がいるのに、エレナちゃんにも手を出したのかよ……相当なヤリチンじゃねぇーか!」
童貞がもっとも言われないであろう言葉を浴びせられる。
「ちょっと待て。話を聞け! これには事情があってだな……」
「お前の話なんか聞くか! 裏切り者!! ファッション童貞!! ちくしょー!」
泣きながら俺の前から去っていく京也。
「おい、ファッション童貞は言い過ぎだろ!」
その背中を見て俺は叫んだ。
「何だがゆうちゃんの友達、変わってるね」
「ゆうくんが変わっているからね」
「それもそうだね!」
そんな男の友情を崩れた瞬間を見ながら笑いあう無神経な二人だった。
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