7話 おっぱいは正義
「というわけです……」
風呂にあがり再びリビングへ。
そこで西園寺さんに弁解した。
着替えようとしたらパンツが入っていて慌てふためていたと。
「こっちこそごめん。下着置きっぱなしにしていて」
「ああ、全く気をつけてくれ。俺はそういうの耐性ないんだから」
「ふふ。そう見たいね。でも実は私のパンツはこうとしてたりして……?」
「は!?」
急に悪そうな笑みを浮かべて伺ってくる。
「じょーだん。さあ寝る準備しよう」
西園寺さんが自室に行く。
余裕そうな表情を浮かべていたが内心、すごくドキッとしていた。
まさか俺が男性用女性パンツというよくわからないものだと誤解しパンツを穿こうとしていたとは夢にも思わないだろう。
このクソみたいな事実を言ったら自分の社会的地位が完全に失う。
これは墓まで持っておこう。
「さて、俺も寝るか」
ソファーに寝転び、電気を消そうとしたその時。
「さあ寝ましょう」
何故か寝ようと自室に行った西園寺さんが枕を持って戻ってきた。
「寝るって……西園寺さんもここで?」
「え、ええ」
「俺と?」
「そうだけど? 何か問題でも?」
…………………………
「うわーーーーー!! やっぱり痴女だったんだ!!ーーーー 童貞が奪われるぅぅぅぅぅ!!!」
「いや、違うから!!」
オーバーリアクションをすると西園寺さんが慌てて否定する。
「ただ……君と話したいと思ったから……ダメ?」
上目遣いで聞いてくる。
「うわっかわいい。何でも許しちゃう……ってそうなると思ったら大間違いだ」
甘える彼女を軽くあしらう。
「マジで何を考えてるの? 単に俺をからかって面白がっているのか? まだ酔ってるのか? 正直この状況、すごい助かってはいるんだけど、どうして俺にここまでするのかわからない。できれば本心を聞かせて欲しい」
冗談なしの真剣な眼差しで彼女に聞いた。
からかわれるのも、踊らせるのも慣れているが彼女にはもっと違う意思が見える。
それ故に知りたかった。
彼女が何を思って俺にここまでするのか。
俺の真意が伝わったのか、西園寺さんもふざけた態度をやめて、
「そうね」
と言う。
そして———。
「え……?」
急に彼女に抱きつかれ、ソファーに押し倒される。
「な、何を——」
「ねぇ、嬉しい?」
「は?」
耳元で囁く。
風呂上がりのせいかすげぇーいい匂いがする。って俺は匂いしか嗅いでないな。匂いフェチかよ。
と、んなこと思っている場合じゃない。
嬉しいと聞かれたら……どうなんだろう。今まで女の子に抱きつかれたことなんてないし……。
そんなことを考えながらふと、本当にふとしたことで、俺は彼女の胸を見てしまった。
自分の胸板にあたる柔らかい感触……これが本当のおっぱいか……。
「ねぇ……聞いてる?」
「あ、あー。えーと」
一瞬、思考がおっぱいで埋めつくされた。
まずいまずい。
「男としてはこんな美人に抱きつかれて嬉しいのかもしれないけど、でも俺自身としてはよくわからない状況で急に抱きつかれて嬉しくはないな」
「そう……じゃあここでもし、私のこと好きにしていいって言ったら君はどうする?」
好きにか……それってつまり"ちょめちょめ"的なやつということで解釈していいんだろうか。
例えそれでも。
「何もしないよ」
「どうして?」
「だって俺———」
出来るだけ優しく彼女を自分から引き剥がし、立ち上がり告げる。
「自分の童貞はもっとロマンチックに捨てたいと思っているから。こんな勢いだけで捨てたくない!」
そうはっきりと言うと西園寺さんは、
「ふふ、ははは」
思いっきり笑って、そして……。
「やっぱり君は面白いね」
「あ! その言い草、やっぱりからかってたのか!」
「ううん違う。ねぇ聞いて」
彼女が俺を見つめて告げる。
「好きだよ……今まで私が出会ったどの男性よりも、今一番、私はあなたが好きです。よかったら私と付き合って下さい」
この時生まれて初めて俺は、恋愛ゲームしか言われなかった台詞をこの
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