4話 普段は運命なんて信じないけどガチャで欲しいキャラが当たった時は運命を感じる
興味を持っちゃった?
興味を持っちゃった……?
興味を……持っちゃった?
初めて異性に言われた一言だった。
その為困惑する。
この場合の興味とは一体どういうことなのだろう。
ギャルゲーだったらそのヒロインとのルート確定演出なんだろうが。
だから……。
「え? ちょ、え?」
思考がバグって戸惑った。
「ごめん突然、こんなこと言って」
「いや、それは別にいいけど。てか合コンはどうなったの?」
冷静に考えればきっとこの"おにゃのこ"は京也が仕向けた刺客。
俺を連れ戻しに来たのだろう。
悪いがもうあそこに戻るつもりはない。
あそこは俺みたいな陰キャがいるような場所じゃないんだ。
警戒しながら西園寺さんを見る。
しかし、西園寺さんはため息をこぼし、夜空を見上げていた。
「私も逃げてきちゃった」
「え?」
予想外の言葉に驚く。
西園寺さんも逃げてきたのか。
「なんか嫌なことでもあったのか?」
「ねぇ、二人で飲み直さない?」
俺の問いをスルーし、コンビニで買ったであろう缶チューハイを2本取り出し、俺に渡す。
正直覇龍神の影響で俺のリバース臨界点は近かったが、なんかこの雰囲気で断るのは無粋だと思い、渡されたストゼロを飲む。
「ねぇ、君ってさオタク?」
「ぶっ!」
酒を口に入れた途端、西園寺が言う。
急な問いかけに思わず吹き出してしまった。
「なんだよ、急に。そうだけどなんか文句あっか?」
「ふふ。やっぱり君面白いね」
「そういうからかいはあまり好きじゃない。からかうなら蔑んだ目で『オタクキッモーー笑笑』と言って貰ったほうがまだいい」
「ごめん。ちょっとよくわからない」
西園寺さんの戸惑う表情を見てようやく俺の調子が戻ってきたような感じがする。
「てかどうして俺なんかと話をする為に抜けてきたの? 西園寺さんならもっとゴホンヅノカブトみたいなカッコいい男と話した方が楽しいだろ。俺みたいなインキンタムシといてもむず痒いだけだろ」
「なんで虫で例えるの? あとインキンタムシってなに……いやまあなんだろう。みんなパターンしか話さないからかな」
「パターン?」
西園寺さんが、アルコール度数9%の酒をゴクっと飲む。
「私が動物好きって言うと動物について。私が映画好きって言うと映画について。あとはモデルについてばなり、みんな話を合わせようとしてきて、なんかよく見せようとしているのがちょっと冷めたように思える。モデルという肩書きだけで寄ってくる人といると疲れちゃうの」
「え?……それが合コンという場じゃねぇーの?」
「え?」
お互い顔を見合わせる。
「西園寺さん一つ誤解してない? 合コンって友達を作る場ではなく男女関係を築くいかがわしい交流会だからな! 自分をよく見せるなんて当然だ。それにモデルとか顔良い人を狙うのも当然。どういう話術を使って女をおとすか試される。言わば陽キャの地区大会のようなものだ。だから西園寺さんがみんなからエロい目で見られるのは当然のこと」
「エロい目って//」
急に照れ始める。
「君も……私をそういう目で見てたの……?」
酔ったのか真っ赤にした顔でそう尋ねる。
だが。
「いや、俺、三次元にそういうの求めてないんで。三次元の女性、みんな人科のメスという認識しかないので安心して欲しい」
真顔で言うと西園寺さんは呆気に取られたかのような表情を浮かべて、笑い始める。
「ははは、やっぱり君、面白いね」
「だからそういうからかいは———ん!!」
「ねぇ、私と友達にならない?」
酔っているのか照れているのか、頬を赤らめた彼女が俺の顔を見つめてジッと言う。
そんな彼女を見て俺の鼓動が早くなっていく。
なんだろう……この気持ち……久しく味わっていなかった、体の高まり……。
ドキドキする……動悸が止まらない。
これは……これは……。
まずい!! もう無理だ!!!
「うげぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
俺は西園寺さんの前でストゼロを纏った覇龍神を吐き出した。
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