血の海を僕らは歩く

@dotai

第1話 いつもの朝

「伝持、朝よ起きなさーい」

「はーい」


 そう言いながら重い瞼を開け、カーテンを開けると眠たい目に眩い光が一斉に入り込む。


「やばい、クソ眠い昨日徹夜でゲームしたせいだな、今日の授業ほとんど寝る気しかしない」


 俺は重い腰を上げ、自分の部屋のある2階から一階へと向かった。


「おはよう、母さん」


俺はキッチンで朝食を作っている母さんにそう言って席に着いた。すると先に起きていた父さんが呆れ顔で俺に話しかける。


「伝持、お前昨日また徹夜でゲームしてただろ。お前そんなんで学校の授業大丈夫なのか?」


学校の授業の大半を寝てるなんて言えるはずがないので俺は困った時に1番使える言葉を使用する。


「ま、まぁ、まずまずだよ」

(これでなんとか誤魔化せたな)


内心ほくそ笑んでる俺だが父さんは何かを察したのか大きな溜息をついた。


「そうか、まぁこの話はここまでにしよう」

「そうだね」

「あら何?またパパからお説教?」


 微笑みながら母さんが朝食を運んできた。

 

「まぁ、そんなところだよ」


運ばれた朝食を食べながら答えた。


「お前がもっとしっかりしていれば私が朝から説教せずに済むんだぞ」

「はいはい、朝の恒例行事は済んだ事だし、早く食べて支度しなさい」

「恒例行事て…」


俺と父さんの会話を恒例行事にされてしまった事が不満だったがここで何か言ったら面倒な事になりそうなので何も言わなかった。

 そして父さんは説教が終わるのと同時にテレビをつけ、ニュースを見始めた。

 

「昨晩 外套市 木田町にて身元不明の遺体が発見されました。遺体は既に白骨化しており、身元の特定が難航しているとのこと、犯人は未だ見つかっておらず付近に住む方は注意して下さい」


ニュースで流れた場所は俺が今住んでいるところからかなり近い場所だった。


「木田町か、結構近いな、伝持、お前はたまに帰りが遅くなる時があるから言っておくが、なるべく早く帰れよ」

「伝持、わかった?」


俺はニュースに目もくれず、父さんからの忠告を無視してスマホを眺めていたところ母さんから鬼のような形相で睨まれた。


「はい!わかっていますとも、危ないから早く帰ってこいと言う事だよね」

「よろしい」


そんな会話をしながら朝食を食べ終え、学校へ行く準備をし、父さんと一緒に家を出た。


(マジで眠いな、これは最高記録の6時間に達するかもしれん)


あくびをしながらアホな事を考えていると、後ろから肩を叩かれた。


「おはよう、ミリオタ」

「あぁ、おはよう、瀧」


俺の肩を叩いたのは俺の幼馴染の進藤 瀧、青髪で外国人見たいな美しい碧眼を持つ同じ高校に通う俺のクラスメイトだ。


「間違ってはないが、俺をそのあだ名で呼ぶな」

「いいだろ事実なんだから、それに俺はこっちの方が好きだぞ」


俺こと、泉 伝持はミリオタである、それが学校内でバレたからか、俺のあだ名はいつのまにかミリオタになっていたのだ。


別にこの名前が嫌と言うわけではない、ただこの名前で呼ばれる時に、たまにバカにしてくるような感じで言ってくる奴が少なからずいるのである、それさえどうにかなればこのあだ名なんら不満はない、そしてこいつはその馬鹿にしてくる1人である。


もしかしたら俺がそう聞こえると思い込んでいるだけかもしれないが、いつもバカにされた感じで呼ばれる気がするから少しイラッとする。

 そんな感じで気分を害しながらもいつも通りの平和的な朝を終え学校へと向かう。

 

私立 木田高校、ここが俺が通っている学校である。特に目立つような特色はなくどこにでもある普通の私立高校で俺は1年生だ。教室に着くといつも通りクラスの皆がそれぞれのグループで談笑しているのが目に入った。

 そして瀧と肩を並べて入ると


「「「おはよう、瀧、ミリオタ!」」」


 クラスの陽キャどもに名前の方ではなくあだ名で挨拶された、そこはいつもの事だから特段気にしてないが挨拶でそれも他のクラスまで響くような音量で言われると流石に恥ずかしくなる。


「あぁ、おはよう」

 

それに対して瀧はというと


「おはよう!」


とめちゃくちゃ爽やかな笑顔と声で挨拶を返し男子の陽キャグループの所に向かった。女子からのキャーキャーが小さいながらも聞こえてくる。

高スペックな瀧を妬みつつ席に着き教科書などを準備していると肩を叩かれた。


「おはよう、泉」

「おはよう、実」


 このクラスで唯一俺の事を泉と呼ぶ高校からの友達の神崎 実だった。

髪色は黒く、目が前髪で隠れていて余り身長が高くない少し不思議な雰囲気の子だが銃が好きで俺ととても話が合い、今では一緒に何処かへ遊びに行く仲にまでなった。


「あのさ、昨日僕がやめた後もゲームしてたけど何時までやってたの?」

「よく覚えてないけど、多分5時半ぐらいまで」

「それ今日の授業やばくない?」

「大丈夫、いつも通り寝てやり過ごすから」

「いや、それやり過ごせてない奴」


前髪で隠れてよくわからないが呆れている目で見ている気がした。しばらく実とゲームや銃について話していると一際異彩を放つ奴が教室に入ってきた。


「おはよう、ゼンオタ」

「おはようでごさそうろう。ミリオタ殿、神崎殿」

「お、おはよう、田中君」


 田中 悟、別名ゼンオタ。

 

 太っていて顔もいいとは言えなく髪は黒髪だがワックスを塗っているせいでテカっているのでそのテカリが汗と勘違いされる、女子からの評判は非常に悪く、語尾などが少しおかしい。

そしてあらゆることに関してのオタクである。そこから全部に関してのオタクというものに変換して俺はゼンオタと呼んでいる。


こいつの誉められる点を挙げるとするならば目がとても綺麗なことだろう、その目は二重で鮮やかな緑色で例えるならエメラルドの様な物である、そのためいつも顔を見て思う、豚に真珠だなと。

皆は彼の事を嫌っているが俺は彼の事を気に入っている彼もミリオタで銃についてとても詳しく、なんなら俺よりも詳しいし、何より話していて楽しいのだ。


彼も実と同じく高校からの友達で外では一緒に遊ぶ回数は少ないが一緒にネトゲをする事は多い奴である。

 

「ミリオタ殿、目のクマがすごいでござるなぁ何があったでござる?」

「あぁ、昨日徹夜でゲームしてたせいで寝不足でね」


 ゼンオタの顔をよく見ると俺と同じようにクマが出来ていた。


「ゼンオタ、お前も夜更かししてただろ」

「流石はミリオタ殿、某の体調を一瞬にして見破るとは…」

「はいはい、んで何してたの?」


 変な方向に話が進んでいがないように俺はゼンオタの反応をスルーした。


「実は某昨日ソシャゲの周回で忙しくて気付いたら朝でござったよ」

「田中君何のソシャゲやってたの?」

「某はソード オブ ゼロというソシャゲをしていたでござる」


 その言葉を聞いた瞬間実の目が輝いたように感じた。


「僕もそれやっているよ。まだ始めたばっかだけど」


 そこからはゲーム関連の話で3人で盛り上がっていた。そして予令がなり朝のホームルームが始まる。

 


 

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