第46話 防衛ライン
私の乗った大型トラックは市役所前に止まった。
隊員が降り、市役所に入っていった。市役所内に武装グループはいなかった。
表の装甲車だけが見張り役として残っていて、それはすでに撃破していた。
隊員は市役所の安全を確認すると、私の通信機でクリアと連絡した。
私の乗った歩兵を乗せた大型トラックは車列の一番最後についていたため、直接銃撃戦に巻き込まれることはなかった。
銃撃戦は車列の前の装甲車や戦車が行った。
銃撃音は聞こえたが、私が銃撃シーンの中にいるという実感が持てなかった。
敵の撃破された装甲車から炎が出ていた。その中から黒焦げの人の腕が見えた。
怖いと思えなかった。
なんでだろう?
相手が見えないから?
人の視線は怖いけど、戦闘ではそれが無いから?
私の心理が分からなかった。こういうのは怖がらなければならないのではないか?
今回出動した歩兵小隊の大部分の装甲車、戦車は新荒川大橋のふもとで防御態勢で待機となり、私や数人のみ駐屯地に戻った。
感想は、、
正直に言うと楽しかった。
自分の役割がある、存在価値がある、そして、人と違うことができる。
自分を認められた気がした。
今回はかんたんな仕事だったからかもしれない、本格的な仕事になれば、役立たずがバレるのは何となく分かっていた。
川口市役所を占領した武装グループは自衛隊の第1師団と分かった。
その報告に、埼玉知事や県議は困惑した。
今後の方針を決めるため、知事は議会を臨時招集した。
連絡が届かなかったり、届いても来る手段がなかったりで、集まった県議は一部のみだったが、県議会で大宮駐屯地の32連隊の武装解除に反対の決議、県から32連隊へ予算を割り当てる決議を採択した。
知事は、新荒川大橋からの川口防衛を自衛隊に要請。
32連隊の歩兵小隊が橋のふもとに部隊を展開し、常に防衛体制を取ることになった。
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