エピローグ

〈西暦2013年12月24日午後1時32分 アメリカ合衆国ペンシルバニア州 ボールド・イーグル州有林近郊〉


 誰かに運ばれながら、ぼうっとする時間は嫌いではない。

 バスや電車、飛行機に乗って、どこでもないところを眺めながら、運ばれるがまま身を委ねる時間は落ち着く。


 が、今回はちょっと落ち着かない。


「どう?」


「いまのところは大丈夫だ。この空なら衛星からも見えないし、森が多少隠してくれる。サーモ付きの無人偵察機飛ばしてこなけりゃな」


「来そうだね」


「来そうだな」


「んじゃ、さっさとこの森を抜けますかね。音に気を付けといて」


「おう」


 ニコラスは曇天の空を仰ぎ目を眇めた。


 静寂の雪林に二人っきり。状況は決していいとは言えないが、なぜか今のニコラスには、この逃避行を楽しむ余裕すらあった。


 が、落ち着かない。機械に運ばれるのは慣れているが、生物に運ばれるのは未経験なのだ。


「なんだニコ、馬車は初めてか?」


「馬車っつーか馬ぞりだろ。てかお前、馬乗れたんだな」


「アフガニスタン人は山岳民族であり、農耕民族であり、騎馬民族なんだよ。民族によるけどね」


 体高180近くもある巨大な漆黒の馬に跨ったハウンドは、そう自慢げに笑った。

 降下地点の近くにあった厩舎から拝借したものだ。


 曰く、この馬はペルシュロン種という農耕馬で、真っ黒な毛色は青毛というのだそうだ。農業の機械化が進んだことにより米国内での頭数は急減したものの、近年は趣味・娯楽用動物として再び増えているのだという。


「馬って拍車使わなくても動くんだな」


「ははっ、西部劇のガンマンは必ずつけてるもんな。けどあれはただの強制具だよ。馬ってのは本来、乗り手の体重移動だけで動くもんさ。馬の性格にもよるけど、この子は良い子。毛並みも蹄も綺麗だし、随分大事にしてもらってるね」


 へえ、と相槌を打ったニコラスは、黙々と歩を進める馬を眺めた。


 大人一人乗せたそりを軽々ひきながら、新雪を蹴散らして進む様は実に豪快だが、驚くほど静かだ。

 時おり唸りのような鼻息を吐くものの、嘶くこともなければ首を振ることもない。頭を定位置に下げたまま、一面真っ白の世界をしずしずと進んでいく。


 雪と空以外なにもない世界に、馬の足音と呼気、馬具の金具の音、そりを引く音だけが淡々と響く。


 悪くないと思った。


「もう隠さないんだな、出自」


 ハウンドからの返答は、しばしの沈黙を要した。


「だってもう全部知ってるんでしょ」


「まあな」


「だったら隠す必要ないじゃん」


「ならコンタクトぐらい取ったらどうだ。疲れるだろ、それ」


 そう返すと、ハウンドは「あー」と空を仰いだ。


「疲れるっちゃ疲れるけど、目立つんだよ、この目。この顔だとなおさらさ。黒目の方がなにかとやり易いんだ」


「なら家にいるときぐらい取ればいいだろ。目に負担がかかるぞ」


「いいよ別に。外したって目がよくなるわけでなし、色もどうせ分かんないし」


 そういう問題じゃない、という言葉をニコラスは飲み込んだ。「せっかく綺麗なのにもったいない」の一言が言えない自分の臆病さが恨めしかった。

 何より、軽口にすらなってない。


 本当に聞きたかったのは、それではない。


「なあ、ハウンド」


「ん~?」


 ニコラスは唇を舐めた。干上がった口内から無理やり唾液を集めて嚥下し、意を決して口を開く。


「お前、俺たちをどう思ってる?」


「ん~、ニコはニコだよ。それだけ」


「そうじゃない。お前はこの国を、俺の国をどう思ってる。アフガニスタン人として。やっぱり憎いのか?」


 馬の足が止まった、乗り手の返答より早く、馬が大きく鼻を震わした。


「……そんな単純な話じゃないよ」


「というと?」


「答えたくない」


 短い拒絶の言葉が、きんと凍てついた雪原に散らばって、消えた。


「ごめん」


「……いや。いいんだ」


 もう答えてもらったようなものだから。




 ***




「驚きました。この大雪の聖夜の日に、まさか馬ぞりで来訪される方がいるとは。まるで一足先にサンタクロースがやってきたかのようだ」


 出迎えた牧師は「これも神の思し召しでしょう」と言って微笑んだ。


「どうぞ中へ、あの雪の中を渡ってこられたなら、冷え切っておいででしょう。少々手狭ではありますが……」


 言い淀んだ牧師の回答は、言わずとも分かった。


 牧師が扉を開けた瞬間したのだ。嗅ぎ慣れた、思い出したくもない吐き気をもよおすニオイが。


 甘ったるい、肉が腐ったようなねっとりしたニオイ。

 薬物中毒者が発する体臭だ。甘い臭いが強いので、大麻常習者が多いのかもしれない。


 麻薬を常時使用すると真っ先に内臓をやられる。口臭は酷くなり、多汗になり、顔は吹き出ものだらけになる。そのため末期になればなるほど、体臭は脂ぎった、未清掃の公衆トイレのようなニオイになる。

 ここでは、それを覆い隠すように香水や柔軟剤の香りが漂っていて、余計に酷くなっている。


 こちらの表情に気付いた牧師が申し訳なさそうな顔をした。


「やはり分かりますか。うちの治療方針はハームリダクションですから」


「ハームリダクション?」


「依存症を完全に絶ち切るのではなく、使用量を制限することで健康・経済・社会上の問題を軽減させようという治療法です。依存物質に脳を侵された患者が、自らの意志で依存を断ち切るのは現実的ではありませんからね」


 なるほど。より現実的な治療方針として、制限はしても完全に薬物使用を禁じていないらしい。それでこのニオイか。


「ハウンド、大丈夫か」


「私はいいけど……ニコは?」


「俺?」


 ハウンドは言いにくそうに、「苦しそうなニオイがするよ」とこちらの腕に擦り寄った。いや、いつでも自分が寄りかかれるようにしてくれた。


 ニコラスは言いかけた言葉を飲み込み、訝しげに眉をひそめる牧師に対し、咳払いをした。


「失礼。母のニオイがこんな感じでしたので。ここでお世話になっていたと聞いたのですが」


「なんと……! 不躾ですが、お名前は?」


「ウェッブです。ファティマ・ウェッブ」


 その名を聞くなり牧師は目を見開くと、懐かしげに目を眇めた。


「久しぶりにその名を聞きました。ファティマ、10年以上前に入居したメンバーの一人です。うちでは珍しく薬物を完全に絶ち切ることに成功した女性ですよ。残念ながら亡くなってしまいましたが。あの、もしや」


「母です」


「ああ、やはり――」


「産みの、ですが」


 被せるようにそう言うと、牧師は言葉を詰まらせた。

 言葉の節々から、こちらの押さえ込んだ激情を感じ取ったのだろう。


 牧師は辛うじて「彼女と同じ美しい目をしておられる」と絞り出すように言った。


 ニコラスは目に手を当てた。


 母親との唯一の接点だったこの目が嫌いだった。

 この目さえなければ、あの女の子でなくなる気がした。


 くりぬいてやろうと思ったことも一度や二度ではない。


「彼女のお墓、ここにありますか? 墓参りに来たんです」


 見かねたハウンドがそう言うと、牧師は目に見えてほっとした顔で、さっそく案内し始めた。


 振り返ったハウンドが手を差し出した。


「行く?」


「……いや」


 ニコラスは、差し出された手をそっと押し下げた。


「大丈夫だ。一人で行ってくる」


 ニコラスはハウンドの脇をすり抜けて牧師の後を追った。


 けれど小さな足音はついてきた。その音にニコラスは、どこかほっとしていた。




 ***




 墓は、教会外れの木立の傍にあった。名と、生まれと没年だけが刻まれた、実に簡素で殺風景な墓だった。


「このりんごの樹の下がお気に入りでして。いつもここに座って歌っていたんですよ。こう、鼻歌というか。ハミングみたいに」


 牧師が奏でるフレーズに、ニコラスは覚えがあった。


 母が唯一最終オーディションまで残った、『コーラスライン』の一幕で流れる曲だ。無名の端役ダンサーを描いたミュージカル。

 その端役にすら、母はなれなかった。


「……踊る、ことは、ありましたか?」


「いえ全く。その代わりお菓子をよく作っていましたね。新しい入居者がくると、必ず焼いてくれたものです。今ではすっかりうちの定番お祝いメニューですよ」


 菓子を? あの女が?


 菓子はおろか、料理も息子任せで台所に立とうともしなかった、あの女が?


 ニコラスが黙りこくっていると、牧師はそうだとばかりに手を打った。


「せっかくだ。お二人にもお持ちしましょう」


「何をです?」


「カップケーキですよ。彼女の一番得意なお菓子だったんです」


 ニコラスは硬直した。


 カップケーキ。よりによってそれなのか。


 固まるこちらをよそに、牧師は嬉しそうに語った。


「せっかくのクリスマスですからね。墓参りがてら、召し上がっていってください」


 邪気のない笑みを浮かべて、いそいそと牧師が教会堂へと戻っていく。ハウンドが、袖を指先で摘まんだ。


「ニコ」


「………………昔、あの女の職場を見に行ったことがあったんだ」


 ニコラスは墓の前に跪いた。崩れ落ちたに等しかったかもしれない。


 久しぶりに見た母親は、拍子抜けするほど小さくなっていた。


「絶対に来るなって言われてたんだけど、同僚の娼婦が踊り上手いよっていうから。見たいって思って」


 娼婦たちがよく使う裏口を使った。ヤニと薬とアルコール臭がすっかり染みついた男たちにもみくちゃにされながら、母親を探した。


「綺麗だったよ、実際。ガキだったからそこで何やってるなんて全然分かっちゃいなかったけど、本当に綺麗だと思ったんだ」


 その後、自分に気付いた娼婦からカップケーキを2つ貰った。「母さんと一緒に食べな、きっと喜ぶ」という言葉を聞いて、急いで帰ってデコレーションした。

 土台にジャムやガムやチョコなどの、思いつく限りの甘いものを乗せただけの、いま思えば酷いものだった。


 それでもきっと喜んでもらえると信じて、ワクワクしながら待っていた。


「いつもなに出しても無反応なんだけど、あれだけは珍しく反応してくれてさ。すぐ手に取って食べようとしてくれたんだ。だから、口が滑った」


 母親に見にいったことをばらしてしまった。綺麗だったと言いたかっただけだった。


「ケーキ、投げ捨てられてさ。皿ごと床に。んで滅茶苦茶ぶたれた。本気で殺されるかと思った。……けど、」


「うん」


「目が覚めて、掃除しなきゃって台所いったら、食ってたんだよ。あの女。床にこびりついたケーキ拾って口に詰め込んで。んでそのまま突っ伏して。ずっと、泣いてた」


 『母』と聞いてニコラスが思い出すのは、あの背中だった。


 綺麗に整えた長い爪にケーキの破片をこびりつかせて、ご自慢の金髪をジャムで汚して。決して崩すことのなかった化粧を食べかすでグチャグチャにして、必死に嗚咽を押し殺して泣いていた。


 あの背中が、ニコラスにとっての母だった。


「今さら、何だってんだ。名前すら呼ばなかったくせに」


 息子になに一つ与えなかったあの女が、他人のために菓子を焼いた?

 しかも、よりによって得意な菓子がカップケーキ?


 死を間近にして良心に目覚めたとでもいうのか。

 息子と客の見分けすらつかなかったくせに。


 俺は――


「許さなくていいんだからね、ニコ」


 ニコラスは顔を覆っていた手を外して、顔を上げた。


 墓場に立った黒づくめの少女が、真っ直ぐにこちらを見ていた。


「この女性にはこの女性なりの苦悩があったんだろうさ。けどそれは子供を傷つけていい理由にはならない。唯一の肉親だからって、母親だからって、許す必要はないんだよ」


 誰かに言われたでしょ。母親だから「許してやれ」って?


「ニオイで分かるんだよ。ニコは正直だからね」


 冷ややかに鼻を鳴らしたハウンドに、ニコラスは息をのんだ。

 漆黒に塗り潰された双眸の奥に、炎がちらつくのを見た気がした。


「子は親の所有物じゃないし、分身でもない。れっきとした別個の人間だ。いきなり産み落とされて、親以外に頼る人間がいない環境で好き勝手されて、反省してるから許してやれ? 知らないよ、んなもん。全部奪ってきたくせに、なんで許すかどうかの権利まで奪われなきゃならないのさ」


 ああ、そうか。そうだったな。


 お前も、俺と似たような子供ガキだったな。


 ニコラスは口端を緩めた。

 笑いたかったのだが、熱くなる目頭を堪えたせいで、笑いたいのか泣きたいのか変な顔になった。


「……お前、他人のために怒ってばっかだな。お陰で怒るタイミングをいつも見逃す」


「ニコが怒らないからでしょ。口下手にしたって、もうちょっと文句ぐらい言えばいい」


「言ってるよ、ちゃんと」


「少ない」


 即答されてニコラスは吹き出した。誰かの遺品のために命を懸けるお前がそれを言うか。


「……そうだな。怒りはあるさ。恨みも、たぶん一生消えない。けどさ」


 ニコラスはのろのろと立ち上がった。


 母親の墓がさらにちっぽけに見えた。初めて母を殴った時より、ずっと小さかった。


「一度でいいから、愛されてみたかったんだ」


 一度でいい。


 頭を撫でられてみたかった。抱きしめられてみたかった。


 名を呼ばれてみたかった。

 自分を引き留めるためではなく、ただ呼んでくれればそれでよかった。


 だがもうそれも終いだ。


 ファティマ・ウェッブは自分の母親だったが、『母』になってはくれなかった。


 それだけのこと。


 だから。ここで全部、お終い。


「さよなら。母さん」


 もう二度と、ここへは来ない。


 もう自分は母に支配されていた子供ではない。大人になった。


 お別れだ。


 ニコラスは踵を返した。


「帰ろう、ハウンド。特区に」


「……うん。帰ろっか」


 差し出された手を握った。ハウンドはそのまま引いてくれた。ハウンドの小さな歩幅を追い越さないよう苦労した。


 顔を見られなくて、よかったと心底思った。




 ***




 帰り際、カップケーキを持ってきた牧師と出くわした。


 こちらの様子をそれとなく察して何も言わなかった牧師だったが、カップケーキにまつわる因縁までは見抜けず、嬉しそうに差し出してきた。


 断るわけにもいかず、ニコラスたちは結局受け取ることになった。


「平気?」


「まあ……菓子に罪はねえからな」


 にしても。


「また随分と盛ったな……、クリームの方が体積多いぞ」


 生クリームにクッキー、マーブルチョコと「これでもか」というほどてんこ盛りになっている。

 母親直伝なのか、それとも後代の入居者が改良したのか。いずれにせよ、なんとも食べにくそうなカップケーキだ。


「これどうやって食べんの」


 ハウンドは両手で持ったそれを、左右上下から眺めては唸った。そのあまりに生真面目な表情に、ニコラスは笑った。


「貸してみろ。コツがあるんだ」


 そう言って、ニコラスは土台のケーキを、真ん中の部分で水平に割りさいた。そして上の部分をクリームごとひっくり返し、残りの下の部分とでサンドする。


 ハウンドが「おお!」と目を輝かせた。


「スコーンみたいだな」


「これなら食べやすいだろ」


 ニコラスはサンドしたカップケーキをさらに半分に割って、一口限りながらもう一方をハウンドに差し出した。


「ニコ?」


「お前、毒見ないと食えないだろ。いつも俺に許可とってから食い始めるし、基本俺が食ってから手つけるし」


 途端、ハウンドがガチンと固まった。


「……………………別に。そのぐらい平気だもん」


「声小せえぞ」


「うっさいな。ちょっと毒食ったぐらいじゃ死なんわっ。別に――」


「いいからとっとと食え。一応追われてる身なんだぞ俺ら」


「むぐっ」


 口に押し込まれ、ハウンドが恨めしげにこちらを睨んでくる。そのくせ口はもう一口を求めてせっせと咀嚼しているのだから、どっちなのやら。


 ニコラスはもう一口齧った。


――クソ甘え。


 正直、ブラックコーヒーで流し込んでしまいたくなる甘さだ。


 あの一件以来、甘いものは苦手だ。母の背を思い出す。


 そもそもアメリカの菓子は色がけばけばしくて目がちかちかする。砂糖も着色料も香料もきつい。

 もっとエマが焼くアップルパイや、店長が作るジャムのようにシンプルでいいと思う。


 このカップケーキもそうだ。これはこれで好きな奴はいるんだろうが、土台だけでも十分美味しいのに。


 盛らなくとも、飾らなくとも、隠さなくとも。そのままで十分だった。


――ほんと、馬鹿だよなぁ。


 俺も、母も。


 あんな目に合ったのに、まだごく僅かに残った欠片を捨てられずにいる。ガラクタの部品を後生大事に持ち歩く子供のように。


 母もそうだ。捨てられたくなかったのなら、唯一の息子ぐらい、適当でもいいから愛せばよかったのだ。


 くだらない。本当にくだらない。


 けれど、――美しいと思ったのだ。


 ブロードウェイにはついぞ立てなかったが、あの晩、あのステージの主役は、間違いなく母だった。

 母は見て欲しくなかったのだろうが、それでも綺麗だと思ったのだ。


 ああ、そうだ。あのカップケーキの夜の後の母も綺麗だった。


 流れ落ちた化粧を取り繕いもせず、泣き腫らした目で窓辺に座って、朝日をぼんやり眺めていた、その横顔が。


 酒も薬も入っていない、化粧もしてない、ありのままの母の姿が一番好きだった。


「ニコ」


 ハウンドが両手を伸ばした。


 細い指先が頬をぬぐって、その時、初めて泣いていることに気付いた。


「あ」


 気づいたら、止まらなくなった。咄嗟に嗚咽を殺そうと口元を押さえかけるが、それより早くハウンドに抱きしめられた。


 ハウンドは、何も言わなかった。

 何も言わずに、頬を、頬にすり寄せた。


 ニコラスはハウンドを掻き抱いた。


 その小さな肩口に顔を突っ伏して、必死に声を押し殺して泣いた。




 ***




〈西暦2013年12月26日午後8時50分 アメリカ合衆国特区27番地〉


「いやぁほんとよかった。マジでよかった。これぞ大団円ってなぁ!」


「……クロード。それ聞くのもう8回目なんだが」


 そう苦言を呈してみるも、この禿げ頭中年はビール樽のような腹をゆすって笑うばかり。


 ニコラスは嘆息した。言ったところで効果がないのはこの数時間でよく分かった。


「つかなんでパトカーなんかで迎えに来たんだよ。くそビビったぞ」


「おうよ! なかなか刺激的なドライブだったろぉ?」


「お陰様で。で、あれどっから調達したんだ?」


「んあ? んなもん特警に決まってんだろ。あいつら署は安全地帯とでも思ってんのか警備ほんとざるでよぉ。ケータに聞いた裏技使ったら簡単にパクれたぜ。あとは無線をちょちょいと誤魔化しゃ特区までノンストップよ。ポリ公ってのは身内に甘いんだな」


 どちらかというと、五大マフィアと繋がりの深い特警に関わりたくない地元警察が素通りさせた、というのが真相な気がするが。

 にしても流石はお飾り機関。パトカーまで盗まれるか。


 武勇伝を聞いてもらって気分をよくしたのか、赤ら顔のクロードがますますがなり始める。ニコラスは呆れたが、黙って付き合うことにした。


 実際クロードたち27番地住民のおかげで無事特区に帰れたのだから。


 ニコラスとハウンドは、昨夜特区に帰還した。ケータもアレサも無事。

 モーガン一家は一足先に、今日の明け方、ヴァレーリ所有の船で国外に脱出した。護衛にはあのバートンがついている。慌ただしい別れになったのが惜しいが、一家が無事であることの方が何より大事だ。


 無論、ヴァレーリ・ロバーチの双璧も堂々と帰還した。あまりの手際の良さに腹が立つほどだ。


 しかも。


「……お前らいつになったら帰るんだよ」


 ニコラスは同じくカウンターテーブルに座る長身のスーツ男2名を睨んだ。カルロとセルゲイだ。


 今宵ようやくクリスマスパーティーを開催したカフェ『BROWNIE』に、いつの間にかしれっと居座ってタダ飯タダ酒を貪っているのである。


「超過勤務の休暇を消費し終わったらだな」


「まだクリスマスをやってると聞いて」


「帰れ」


「「やなこった」」


 そろって舌を出す二人に心底イラっとする。

 このどら猫どもめ、ぜったい後で各一家に請求書送りつけてやる。


 とはいえ、世話になったのは事実だ。『失われたリスト』に関する問題はなに一つ解決しておらず、今後、合衆国安全保障局USSAもとい『双頭の雄鹿』との戦いはますます激化していくことだろう。


 今回とて、単に利害が一致しただけの協力体制ではあったが、ハウンドと無事特区に帰れた。多少の勝手ぐらい目をつぶってやっても――。


「そんなことよりさー、野良犬に戻らずに済んでよかったじゃないの、番犬ちゃん」


「自ら首輪をつけに行きたがるマゾっぷりには感心するな」


 前言撤回。やっぱり叩き出そう。


 ニコラスが青筋を浮かべて立ち上がった矢先、二階からハウンドがふらふらと降りてきた。心底げっそりした顔で。


「説教タイム終わったのか」


「まだ……あとマクナイト爺さんと第二ラウンドのアンドレイ先生が控えてる……」


「先生はともかく、爺さん無茶して大丈夫なのか」


「専属医師に介護役が控えてるからね~……」


 つまり、説教にケータも加わっているということらしい。たぶんケータは空気読んで傍観してくれるだろうが。


 あまりの憔悴ぶりに、紅茶の一杯でも淹れてやるかと思った、その時。


 階段上から咳払いがした。


「ハウンド? お手洗いじゃなかったのかい?」


 柔和ながらも薄ら寒さを感じる声に、ハウンドがびくりと肩を跳ね上げる。

 そこにニコニコと笑顔を浮かべた店長が降りてきた。


 ニコラスは無言ですっと一歩下がった。すかさずハウンドが「裏切者ぉ」とばかりに睨んでくるが、ニコラスは知っている。

 こういう普段穏和な人間ほど怒らせると怖いのだ。即時撤退に限る。


 それにこっちとて急に追い出されたかと思ったら、いきなり連れ戻されて統治者代理を任されそうになったのだ。ちょっとは反省してほしい。

 口下手の自分が言えた話ではないが、ハウンドも大概言葉たらずだ。


 店長が歩み寄るにつれ、ハウンドの首がどんどん竦んでいく。まるで悪戯をして叱られる子犬だ。

 ニコラスは秘かに噴き出した。これには店長も苦笑した。


「ま、せっかくのクリスマスが説教で終わってしまうのもなんだ。ちょっとだけ休憩しようか」


「ほんとですか!?」


「勝手に出ていこうとしたことは許してないけどね」


 ハウンドが「うぐっ」と言葉を詰まらせた。

 しおしおとしょげかえる少女に、ニコラスはグレイズドハムの皿を差し出した。一切れつまみながら。


「まだいっぱいあるからな。腹膨れるまで付き合ってやるから」


「ふにゅ……」


 しょぼくれ顔でのそのそ食事を始めた少女に、とうとう店長が折れた。

 いつもなら満面の笑みで食べる彼女との落差に、料理人としての矜持と罪悪感が勝ったのだろう。店長は眉尻を下げて嘆息した。


「別に独断専行を咎めてるわけじゃないよ。この街は君のものだ。それでも私たち商業組合を議会として、意見を取り入れてくれる君には感謝してるとも。けど黙って出ていくのは止めておくれ。誰かを大事にすることは悪いことじゃないが、置いていかれる方の身にもなってくれ。言ったじゃないか、哀しい別れだけはしないでおくれと。私たちにとって、もう君はただの統治者じゃないんだよ」


「…………ごめんなさい」


「うん。さあ、存分に食べなさい。せっかく君たちのために作ったんだ。そんな顔で食べられたんじゃ、ご馳走の方が泣いてしまうよ」


「はい」と答えつつも、ハウンドの元気は回復しない。住民や少年団の子供たちがわらわら話しかけにいくも、どこかうわの空だ。説教がよほど堪えたらしい。


 ニコラスは店長を顔を見合わせた。


「仕方がないね。ニコラス、先にあれを出してあげてくれるかい? お茶は私が淹れるから」


「了解です」


 ニコラスは厨房に入ると、冷蔵庫からあるものを取り出した。


 今年のハウンドへのクリスマスプレゼントだ。今までで一番の会心の出来だと思っている。


 足元に気を付けながら、慎重に運ぶ。

 ホールに出る頃には、店長がポットにお湯を注ぎ終え、新人メイドのジェーンがハウンドの前にカトラリーを整理し始めていた。


 きょとんとしたハウンドは、こちらを振り返るなり目を輝かせた。


「チョコケーキ!」


「今度はちゃんと膨らんだぞ」


 ハウンドの前に置けば、周囲から歓声が上がった。これにはカルロとセルゲイも目を丸くした。


「へえ。神経質なだけあってなかなか凝ってるじゃないか」


「強面ムキムキ男がスイーツ作り得意とはまたベタな」


 冷や水を浴びせるマフィア二人を無視して、ニコラスはツリーを模した小さくも愛らしい蝋燭に火をつける。

 ハウンドがほうっと溜息をついた。


 クリスマスリースをモデルに、ケーキの土台はドーナツ状にした。それを上からチョコでコーティングして、生クリーム、苺とブラックベリーのコンポート、ミントで飾りつけして、粉砂糖をまぶしてみた。


 本来、アメリカ人はクリスマスにケーキを食べない。定番といえば林檎か南瓜のパイ、ジンジャーブレッドだ。

 だが以前ケータに見せてもらった日本のクリスマスケーキの画像にハウンドが物凄く食いついていたので、それをプレゼントにしたのだ。


 しかしまあ、スポンジをやたらフワフワにするところといい、飾りつけといい、あの国の料理はとことん手が込んでいる。お陰でこれまでで一番の難作業だった。


 けれどそれも、目の前の笑顔を前にしては吹き飛んでしまう。

 頑張ってよかった。写真も撮ったので、落ち着いたらエマたちに送ってみよう。


「あ、いけない、いけない」


 早速フォークを手にしたハウンドは、慌ててスツールを飛び降りた。

 そのままカウンター裏に回ると、金庫を開けてなにやらゴソゴソまさぐり始めた。そしてこちらに戻ってくると、


「ほい、これ」


 リボンでラッピングされた靴下を差し出した。一瞬目を丸くするもすぐ納得する。

 そういえば、靴下を希望したんだった。


「あったかそうだな」


「でしょ~? もこもこの選んだからね」


 ハウンドは背伸びで「大事にしてね」と耳打ちすると、ケーキを皿ごともって厨房へと向かった。

 どうやら今日はじっくり味わいたい気分らしい。


 一方。


「え……靴下だけ?」


「あのケーキのお礼が靴下一足ってマジ?」


「ニコラスお前もうちょっと欲張れよぉ」


 住民らがざわつき始める。対称に、マフィア二人はこちらを指差して爆笑した。

 セルゲイは膝を叩いて涙目で、カルロは真顔でプルプル震えている。


「うっそお前マジかよ、プレゼントが靴下だけって……!」


「おい番犬、ちょっとこっち向け。記念写真撮ってやる」


「よかったですねー番犬ちゃん! もこもこの靴下がプレゼントですよ!」


「うるせえな。俺が頼んだんだよ――ん?」


 ニコラスは靴下を握り直した。何か、固いものが入っている。


 すると、向かいにいる店長がくすくす笑った。


「店長?」


「ふふ。まあ開けてごらん。あの子が席を外した理由がわかるよ。クリスマスに靴下はつきものだからねえ」


 ニコラスは困惑したものの、ひとまずリボンを解いてみた。靴下の中に手を突っ込んでみれば、それは思った以上に小さかった。


「なんだこれ。箱?」


 箱というか、ジュエリーボックスだ。箱全体にビロードが貼られたやつ。

 ひとまず振ってみると、慌てて店長が制止した。


「ああ、乱暴に扱っちゃ駄目だよ。存外繊細なんだよ、それは」


 そんな大事なものが入っているのか。


 ニコラスが慄く一方、住民は期待に目を輝かせた。

 あのハウンドが用意するものだ。きっと良い物に違いない! 


 対するマフィア二人も口を閉じ、真剣な面持ちで推移を静観する。


 周囲が固唾をのむ中、ニコラスは恐る恐る箱を開いた。


「これ……ループタイか?」


 ニコラスは目を瞬かせた。


 造りはいたってシンプルだ。黒の絹糸で編まれた紐に、雫状の石を留め具にあしらっただけループタイだ。それ以外に装飾は見られない。


 問題はこの雫状の石だ。


 琥珀に似た、黄金の石だ。いや、たぶん石ではない。石にしては軽い。

 それに筆でなぞったかのように、雫の真ん中から斜め下へと、半分が黒茶に染め上げられている。


 その黒茶の部分には――なんだろう。虹色の小さな欠片が十数粒はめ込まれている。まるで星屑を撒いたかのようだ。オパール? それにしてはやけに薄いが……。


「こりゃべっ甲か。またマニアックなもん持ってきたな」


「べっ甲?」 


 聞き返すと、手元を覗き込んでいたカルロが解説した。


「海亀の甲羅を加工したもんだ。部位にもよるが、磨くと透き通った黄金色になる。ワシントン条約で禁止されちまったから、もうほとんど流通してないがな。今あるのは禁止前に入手した材料を加工したものだけだ。そっちの星屑みたいなのは螺鈿。貝殻を薄く切って貼り付けたもんだ。極東アジアに伝わる伝統技術だな」


「へえ」と相槌を打ったニコラスは、留め具を摘まんで左右に傾けてみた。


 確かにオパールにしては青みが強い。光の反射によって青、緑、紫と色を変える。

 綺麗だと思った。


 そこに、店長がしれっと爆弾を放った。


「大切にするんだよ。それ、もうないからね」


「へ」


 ニコラスは硬直した。今、なんと?


「それはもともとハウンドが持っていた櫛を加工した物なんだ。青貝細工といってね、18世紀半ばに日本のナガサキで作られた工芸品さ。それを削って加工したのが、そのループタイ。けどいわゆるロストテクノロジーというやつでね、技術が途中で途絶えてしまったらしいんだ。べっ甲に至っては流通すら禁止されてるし。そもそもべっ甲も螺鈿も生き物から生み出されたものだから、同じ物はどれ一つとしてないんだ。失くしたらもうないからね」


「これなら時価50万ユーロはくだらねえな。愛好家相手ならもっと高値がつく」


「というか、値なんて付けられないよ。正真正銘の一品ものさ」


「だ、そうだ。随分といい首輪もらったな」


 カルロの皮肉に答える余裕すらなかった。


 全身の血の気が引いていく。そんな高価で大事な物、貰うどころか手に持ったことすらない。

 というか、これを身につけろと?


「傷とかついてないよな……? さっき振っちまったんだが」


「貰ってやろうか?」


「絶対やらん」


 カルロが舌打ちする。一方、店長が「着けないのかい?」と首をひねった。


「え、いや。これは着けるより飾っておいた方が……」


「着けないのかい?」


 得も言われぬ圧力に気圧され、渋々ニコラスは着けることにした。こういう時の店長の迫力は何なのだろうか。


 恐る恐る首にかけ、襟元を締める。

 絶対に後で外そう。それから厳重にしまっておこう。


 住民から「おお」とどよめきが上がった。


「なかなか様になってるじゃねえか」


「瞳の色に合わせたんだな。センスあるなぁ」


「一人だけいいもん貰いやがって。爆発しろ」


 言われてはたと気付いた。黒と金。自分の髪と瞳の色だ。

 ニコラスはすぐに厨房へ向かった。


「ハウンド」


「ん~?」


 返事と裏腹に、ハウンドはフォークを咥えたままそっぽを向いた。目元が紅い。礼を言われるのが気恥ずかしいらしい。

 ニコラスは頬を掻いた。


「その……ありがとう。こんな良いもん貰ったの、初めてだ」


 すると、ハウンドがちらとこちらを一瞥した。それから、二回、三回と視線を投げては逸らす。


「ハウンド?」


「……色、合ってる? 店長に一応確認してもらったんだけどさ」


 きょとんとしたニコラスは、ああと合点がいった。


 用意したプレゼントが、自分の瞳の色と合ってるか不安で逃げ出したらしい。


 全く。こいつは。


「合ってるよ。この黒いとこも。俺の髪、ちょっと茶色はいってるから」


「そっか」


「ほんとありがとうな。わざわざお揃いにしてくれたんだろ」


 ハウンドは「へ」と固まった。


 ニコラスは自身の失態を悟った。


 やらかした。

 これ、それなりに練ったジョークが通じず盛大に滑った時の気まずさだ。


 自身の口下手ぶりに自己嫌悪しつつ、ニコラスは火照る頬を咳払いで誤魔化した。


「何でもない。早とちりして悪かった。ともか――ハウンド?」


 ふと見下ろせば、ハウンドは硬直したままだった。


 口を半開きにわなわな震えながら、首元から頬、目元、耳へと真っ赤に染まっていく。

 見事な赤面ぶりに、ニコラスは「え」と声を漏らして固まった。


「ちょ、まっ、なんで逃げる!?」


「ちょっとそこまで!」


「どこまで!?」


「煙草っ喫ってきますっ」


「はあ!? 外、吹雪……っておい、ケーキ持ってくな! 誰も取ったりしねえから!」


「ほんはへはひはひほん(そんなヘマしないもん)!」


「フォーク咥えたまんま走るな危ねえだろ!」


 けれど制止もむなしく、ハウンドはケーキを持ったまま裏口から逃げてしまった。ニコラスは訳も分からず立ち尽くした。


「……無自覚だったか」


「……俺ちゃん、コーヒー飲みたい。ミルク砂糖なしでとびきり濃いの」


「俺はエスプレッソを貰おうか。砂糖なしのやつ」


「ベタ通り越してべたべたのゲロ甘で吐きそー」


 背後でマフィア二人がぼそぼそ言いあいながら踵を返した。一方の住民たちも、なぜかミルク砂糖なしのコーヒーを頼む者が続出している。なぜなのか。


 困惑するニコラスの元に、店長がやってきた。とびきりの苦笑を浮かべて。


「私もあまり得意ではないけど、料理以外の指南、いる?」


「……お願いします」


「うん。まあ、女性って難しいよね」


「はい……」


 ニコラスは嘆息した。

 きちんと礼がしたかっただけなのだが。あとで手紙でも書くか。


 そう肩を落とした矢先、バイブレーションが鳴った。それを見るなり、ニコラスは笑った。



『無事キューバ到着! 思わぬ再会!』



 写真には、トマト畑を背景に、エマたちモーガン一家とバートン、そして昔馴染みのサンドイッチ屋のドルフが笑顔で映っていた。

 しかもその手に手描きのプラカードを掲げて。



『てめえに貰った金で温室作ったぞ!!』



――金、無駄にならなくてよかったな。


 旧知の恩人らの笑顔を見て、ニコラスは微笑んだ。


 キューバは反米で有名な社会主義国家だ。現在の2013年においても国交は断絶したまま、USSAにとってさぞ動きにくい国だろう。それに、数週間もしたらモーガン一家をバートンが別の国に逃がす手筈になっている。


 そこから先の話は聞いていないが、それなりの資金と偽造パスポートは用意しておいた。あとは一家で何とか乗り切っていくことを祈るしかない。


――頼みますよ、教官。


 写真に無理矢理おさめられて困惑顔で映る老兵に、ニコラスは思いを託した。


 その時。


「全くあなたはなんでこんな真冬に外でケーキなんて食べてるの! 上着も着ないで」


「……から大丈……だってば……ピヨ……。もう食べ終……から」


「いいから中に入りなさいな。お行儀が悪いわよ」


 裏口から叱りつける女声がした。一方のハウンドはぼそぼそ喋っていて聞き取りづらい。


 店長が「おや」と声をあげた。


「うちの家内に掴まったか。これはもう逃げられないねえ」


「家内って……店長の奥さん?」


「ああ。ちょっと持病があってね。数年前から特区外で療養してたんだよ。いつもなら手紙か電話だけでやり取りするんだけど、今年のクリスマスはどうしても来たいといって聞かなくてね」


 そう困ったように笑った店長だが、口元が緩みきっている。なんだかんだで久しぶりの再会が嬉しくて仕方がないのだろう。


 裏口から老婦人が現れた。なんとハウンドの襟首をつかんで引きずっている。

 なかなか豪快な女性だ。


 店長の奥方らしく、上品でしとやかそうな――。


「え?」


 ニコラスは思わず声をあげた。その声に、婦人が振り返った。


「あら。5日ぶりね、狙撃手さん。あの時は小銭を拾ってくれてありがとう」


 そこにいたのは、以前スーパーマーケットで出会った初老の婦人だった。







―――――――――――――――――――――――――――――――――

はい! これにて第7節完結です! 

今回も20万字越えました……。文庫本上下二巻分ですよこれ。


それでも追っかけてくださる読者の皆様には感謝しかないです。本当にいつもありがとうございます。皆様のおかげでこうして続けられています。


さて、ここから先は最終章めがけて突っ走っていく予定です。

具体的には、これまで書き溜め期間3カ月いただいていたのを、2に短縮しようと思います。


が、自分も放送大学に通う身、課題やら期末テストやらがありますので、やはり次節投稿まで数ヶ月書き溜めの期間をいただきます。その点だけはどうかご了承ください。

放送大学めちゃ楽しいんですけどね。安いし学費さえ払えば他の授業も見放題という夢のようなところ。いかんせん社会人をしながらだと、どうしてもタイムスケジュール的にぎりぎりになってしまいますが……。


予定としては、


2月15日 第8節 投稿開始 ~ 第9節プロローグまで


(書き溜め期間 2か月)


第9節 投稿開始


とさせていただきます。


なぜ第9節のプロローグまで連投するかというと、第8節が滅茶苦茶重いからです。物語一番の山場となります。8節のまま終わると、読者の皆様へのダメージが大きかろうと思いましたので、9節プロローグまで投稿します。

是非楽しみにしていてください。


それではまた、2月にお会いしましょう!

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