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 〈西暦2013年12月21日午前11時5分 アメリカ合衆国ミシガン州 特区27番地〉



「……何やってんだお前」


 今年の新酒ノヴェッロの小包を片手に、カルロ・ベネデットは店の角に直立不動で佇む顔なじみを、胡乱気に見下ろす。


「なにってガキどもの夢まもってんだよ。俺ちゃんてば優しいでしょ」


「その結果が人間ツリーか」


「ガキどもとゲームやってるヘルがあまりに下手くそすぎて笑ったらこうなった」


「お前の地雷原をトラクターで耕してくスタイル何なんだ」


「うるせえほっとけ。あとしれっとカメラ構えるの止めろ。テメエのスマホのネットに常時全画面広告でるようにすんぞ」


 頭頂部の銀髪に結びつけられた星を投げ捨てながら抗議するセルゲイだが、カルロの方にも譲れぬ事情がある。


「先刻、お前が訓練中、エロゲで抜いてるところをヘルに掴まったという一報が入ってな」


「抜いてねえよ。俺のタイプは緊縛人妻じゃなくてパツキン巨乳のねーちゃんだ」


「捻りのねえ性癖暴露をどうも」


「王道なだけですぅー。てかなんで知ってんのよ」


「ヘルから画像きた。んで、それを知ったうちの首領ドンが『俺だってまだヘルに監禁されたことないのに!!』っていじけて仕事に手がつかねえから、捕まったらどうなるのか報告しておこうと思ってな」


「お前んとこのほんとにマフィアのボスなんだよな?」


「残念ながらな」


 無音カメラで始終をきっちり撮影したカルロは、小包の受け取り主を探して辺りを見回す。


「ヘルなら出かけてんぞ」


「そうか」


「マメだねぇ。馴染みの店にクリスマスプレゼントってか」


「マフィアってのは付き合いを大事にするもんだ。てめえんとこみたく、もどき風情が身内同士でバカ騒ぎするだけのイベントじゃねえんだよ、クリスマスは」


「へーへー、敬虔なるカトリック教徒サマはご立派なことで(※)」


「そういや番犬はどうした? いつもなら唸りながらすっ飛んでくるが」


「出てったってさ」


 目を見開いたのは、一瞬。


「……そうか。意外と長かったな。もっと早く醒めると思ったが」


「顔に似合わずロマンチストだったってことでしょ。あ、お前の記録を6倍に更新したな」


「あいつは例外だ」


「おやおやぁ、負け惜しみ?」


「ほざけ」


 カルロは反論ではなく本心で吐き捨てた。


「甘い嘘でハメるのは女の常套手段だ。理由がなんであれ、アレに夢見たあいつが悪い」




 ※シチリアンマフィアには熱心なカトリック教徒が多い。




 ***




 水平線が見えない海が、ニコラスにとっての海だった。


 アッパー・ニューヨーク湾やロウワー・ニューヨーク湾をはじめ、複数の湾から構成されるこの海域は、ブルックリンの方まで出ないと大西洋は見えない。


 マンハッタン育ちのニコラスにとって、空と海の境目には必ずビルや工業地帯が生えているもので、初めて大海原を目にした時は酷く驚いたものだった。


「眠らなくて大丈夫か。ずっと寝ていないだろう?」


 運転席のバートンが前を見たまま投げかける。


 道中、3時間の仮眠をとったバートンに対し、ニコラスは見張り役を口実にここまで一睡もしていなかった。


「眠っても碌な目に合いませんから」


「まだ悪夢を見るのか」


「最近は収まってたんですけどね」


 そう、特区にいた頃は、毎日だったのが週に一回、二回の頻度にまで激減していた。ハウンドのお陰だ。


 夜中うなされてると、彼女は毎回起こしに来てくれた。一体いつ寝ているのかと思うぐらい、必ず。


 起こした後は、二人でミルクティー片手にずっと駄弁る。

 仕事の話だったり、とりとめのない世間話をハウンドが一方的にするだけなのだが、見たばかりの悪夢を思い出さないようしてくれるその心配りが、死ぬほどありがたかった。


 ちゃらんぽらんに見える彼女だが、人一倍他人に気を遣う子だった。


 そんな彼女から離れて、再発したのだろう。我ながらひ弱なことだ。


「気に病むな。帰還した兵士で、一度も悪夢を見なかった者はいない。戦場は魔の巣窟だ。そこに足を踏み入れた者へ変貌を強要する」


 変貌、か。


 空っぽだった自分は、戦場でフレッドと再会して初めて、ただの人間になった。


 大事なものを失うことをただただ怖れる、一人の人間に。


「前の方が、強かった」


 バートンが視線を寄こした気配がした。ニコラスは窓を見たまま、ぽつり、ぽつりと呟く。


「イラクでフレッドと再会して、俺は弱くなった。それまで罪悪感も良心の呵責に悩むことなんてなかった」


「それはもう人間ではない。お前は親友と再会して、初めて一人の人間になったのだ」


「まともな人間は親友の遺体を囮にして敵を撃ったりしない」


 珍しくバートンが言葉を詰まらせた。


 ニコラスは窓を見たまま、過去を見ていた。


 見慣れた大きく広い背が、雄叫びと共に窓の外へ落ちていく。

 爆炎と黒煙。路上に横たわる半分になってしまった巨体と、こちらを凝視する濃茶の瞳。


 しわだらけの唇が、微かに動いて『撃て』と紡いだ。


 イスラム過激派組織の中には見せしめに敵の遺体を回収し、損壊させたり吊るしたりするケースが少なくなかった。

 米兵の遺体は、彼らにとって手柄を誇示するのにもってこいの材料だった。


 フレッドはそれを知っていた。だから観測手として、最後に自分にそう指示した。


 ニコラスは撃った。

 撃ててしまった。


 フレッドの弟が激怒するのも当然だ。それだけのことをしたのだから。


「フレッドが死んで、俺は空っぽに戻ったはずだ。だからあんな真似ができた。それがどうして今さら悪夢なんて見るんですかね。そんなもん感じないはずなのに」


「ウェッブ」


 鋭く呼ばれて、とっさに背筋を伸ばして振り返る。身体に刷り込まれた本能だった。


 バートンは痛みに顔を歪めた表情で、じっと見据えるとゆっくり口を開いた。


「兵士はロボットや兵器とは違う。大事なものを想う心を持ってこそ、兵士は強くなれるのだ。お前は弱くなったのではない。人でなしでもない。自分を卑下するな」


「……」


「到着するまででいい。眼を閉じていろ。うなされていたら即起こす。倒れるぞ」


 生徒を叱りつける口調でそう言った元教官は、再び無言に戻った。必要以上に気を遣わないでくれるその距離感が、ありがたかった。


 ニコラスは礼を言って、窓へ目を戻した。水平線に生える、摩天楼の先っちょを睨みながら。


 二度と帰らないと思っていた。

 碌な思い出もなく、帰る場所と呼べるものができたのは、軍に入隊してからだ。あそこは自分と同類の者がいくらでもいた。


 あの街で唯一の思い出といえば、今着ているモッズコートぐらいだろう。


 16歳の冬、街を出る時に古着屋で買ったもので、当時はぶかぶかで袖を折っていたが、軍で身長と筋肉がついてちょうどよくなった。

 あちこち擦れてもはや防寒着としての役目をはたしていないが。


 空っぽの頃は、郷愁なんて情は一切なかった。

 今の自分はどうだろう。今の俺は、故郷を見て何を思うのだろうか。




 ***




 サウス・ブロンクスから東へ800メートル、ジャクソン通り駅に到着したニコラスたちは、駐車場にて手短に作戦会議を始めた。


「先ほどは借金と言ったが、正確にはお前の母が滞納していた家賃だ。ミセス・モーガンはお前の母の賃貸契約の連帯保証人だった。お前が街を出た後も、公営住宅が取り壊された後も、ずっと支払い続けていたそうだ」


 ニコラスは胸が詰まる思いだった。自分が背負うべきだった母親の負債を、エマはずっと肩代わりしてくれていた。


 それを今の今まで、知らずに生きてきたのだ。


「まずは家主の家へ向かうといい。ミセスはそこへ来るはずだ。知っての通り、お前たちが住んでいた公営住宅は火事で取り壊されている。家主ももう払う必要はないと言ったらしいんだが、彼女は契約は契約だと納得しなかった」


「だから業を煮やして俺を呼び出した?」


「ああ。ミセス・ウェッブの息子である、お前でないと金は受け取らんといったそうだ」


 それで俺を呼び出してほしいと、フレッドの認識票ドッグタグを託したわけか。


 ニコラスは申し訳なさで消えたくなった。


 一体どこまで他人に迷惑をかければ気が済むのか、あの女は。


「なら家主の元へ顔を出せばいいんですね?」


「借金は38000ドルだ。あるのか?」


「それなりに貯めてますので」


 ニコラスは先日のデンロン社の一件で、謝礼としてターチィ一家から1万ドル貰っている。

 それに加えて、これまでの給与と任務達成の臨時収入をすべて足せば、ギリギリ足りる額だ。


 道中のATMをいくつかはしごして全額降ろしてきた。38700ドル。それが全財産だ。


 本当は、ハウンドのために貯めていた金だったが。


「二時間後、ミセス・モーガンはこの駅に――」


「いえ、一人で行きます」


 言葉を遮って、ニコラスは足を踏み出した。


「ウェッブ」


「俺は彼女に恩を仇で返した。大事な息子の遺体を道具扱いして汚した。会わせる顔がありません」


「……我々は追われる身だ。くれぐれも慎重にな」


 ニコラスは頷き、歩きだした。帰りたくもない故郷を目指して。




 ***




 結論から言うと、故郷は様変わりしていた。


 まず目についたのは、道路の綺麗さだ。道路脇の排水溝がゴミで詰まっていない。


 子供の頃は、排水溝といえば空き缶やファーストフードの飲み物の容器が汚水にプカプカ浮かんでいるものだった。


 それが今はどうだ。歩道コンクリートにはかつてを忍ばせる染みや取り切れなかったガムのカスがこびりついているぐらいで、視界に映るゴミの数は数え切れるほどしかない。


 住民も変わった。何というか、人種の多様さがより進んだ気がする。


 今も隣をヒジャブを被った女性が歩いているし、右手の道路側ではビーチパラソルの下で、真冬にもかかわらず素足にサンダルを履いたアジア人の男性が、間違いなく偽物の女性用ブランド香水をテーブルに並べている。


 中東系、東南アジア系、東欧系。ヒスパニックは以前より増えた。混血も進んだのか、ぱっと見どの人種か分からぬ人間も多かった。


――ここ、本当にサウス・ブロンクスなんだよな……?


 ニコラスはリサイクルショップとは思えぬ洒落こんだウィンドウに眉をしかめる。


 昔はこんなに窓がピカピカに磨かれてなかったし、商品の隙間もなかった。展示する気もないほどギチギチに積み上げられ、店内に入りきらない商品が歩道に溢れ返っているのが、ニコラスの知るリサイクルショップだった。


 見れば見るほど違和感しかない故郷だった。

 ビルや通りの位置は変わっていないぶん面影だけは残っていて、それがなおさら違和感を掻き立てていた。


 街をなるべく見ないよう早足で歩いていたニコラスは、フェンスに囲まれた植垣下に転がる使用済み注射器を見てほっと安堵し、その安堵した自分を猛烈に嫌悪した。


 捨てられた使用済み注射器を見て安堵するとは!


――早く抜けよう。


 ニコラスは唯一変わっていない剥き出しの鉄製非常階段を見上げながら、足早に目的地を目指した。


 大家は東165番通りで不動産仲介業を営んでいる。ブロンクス美術館の真向かいだ。

 ここから2キロとない。


 スリに気を付けながら、細心の注意を払って歩く。懐には自分の全財産が入っている。


 義足であることを気取られぬよう歩いていたニコラスは、ふと足先を西へ向けた。


 グランド・コンコース大通りを横切り、公園を抜け、ヤンキースタジアムにほど近いジェラルド大通りに入る。


 ここに自分とフレッドが住む公営住宅があった。


 試合があると観戦客で一気に通りがごった返し、それを狙って娼婦が一ブロックごとに立ち並んでいた。

 自分の母親も、その一人だった。


 剥き出しの非常階段が自分の遊び場だった。そこに座って、通りを歩く人の中から母親を探すのが日課だった。


 母親が男を捕まえたら、すぐに居間のカーテン裾に隠れて、母親と客が寝室へ消えるまでじっと息を潜める。

 見つかると大抵ろくな目に合わなかった。


 ニコラスは足を止めた。


 ここに、自分の家があった。フレッドの家があった。


 公営住宅があった場所には新しいビルが建ち、一階にはデリバリーの中華料理店が入っていた。

 面影の欠片もなかった。これといった感情も、湧かなかった。


 ニコラスが静かに踵を返した、その時。


「おい、そこのあんちゃん。店探してんのか?」


 振り返るとスーパーの紙袋を抱えた小柄な中年が立っていた。

 ダウンジャケットに野球帽をかぶったアングロサクソン系の男性だ。


 ニコラスは目を瞬いた。


「あんた、『ミスター・タンパ』とこのドルフか?」


「ああ、そうだよ。飯食いにきたなら諦めな。うちはだいぶ前に火事で焼けちまったんだ」


 ニコラスはしまったと思った。


 ドルフはキューバサンドイッチ店『ミスター・タンパ』の店主で、公営住宅が放火された際に店が全焼している。


 その放火の原因は自分だ。イラク民間人暴行の容疑を確定と断じた週刊誌が、当時小隊長だった自分の自宅を無断掲載し、それを真に受けた暴徒が放火したのである。


 冤罪とはいえ、自分の店を焼かれたきっかけをつくった自分を許すはずがない。

 ニコラスは礼を言って足早に立ち去ろうとした。


 が、先に肩を掴まれた。


 硬直するこちらをドルフは「んん?」と眉をしかめながら帽子のつばをあげ、あんぐり口を開けた。


「誰かと思えばお前、ニックか、ニックじゃねえか! エマんとこのせがれにくっついてたあのチビの!」


「あ、ああ」


「おいおいマジか。あのヒョロガリのチビ助がよぉ。でっかくなりやがって。元気してたか?」


 破顔したドルフはバシバシ背中を叩いた。ニコラスは困惑した。


「いいのか」


「ああ? 何がだ」


「……あんたの店、焼けちまったんだろ。例の雑誌が原因で」


 そう言うと、ドルフは「ああ」と苦々しげに息を吐いた。


「ありゃあテメエのせいじゃねえよ。そもそも火の出元は俺ん店の裏に積んでた段ボールだ。あんなパチモン雑誌信じる馬鹿もいるってことさ。わざわざ火までつけにきやがって、ご苦労なこった。テメエこそ大丈夫だったのかよ。マスコミでも散々いびられてたろ」


「もう慣れた」


「おうおう、いっちょ前に強がりやがって」


 脇をどつかれたニコラスは尻もちをついた。最新の義足で感覚が鈍ったか、旧式義足でのバランス感覚を忘れてしまった。

 ドルフが慌てた。


「おいテメエ、どこか悪いのか?」


「左脚が義足なんだ」


「ばっかテメエそういうのは先に言え! 思い切りどついちまったじゃねえかっ」


 そう言って立たせてくれたドルフは、歩きながらも落ち着きなく身体を揺らした。

 その歩調もずっとゆっくりで、ニコラスは口元をほころばせた。


 ドルフとは、それこそ物心つく頃からの付き合いだった。


 夜に街をぶらついていると、店に連れ込まれて皿洗いさせられたものだ。それが自分に夕食を食べさせる口実だと、ニコラスは知っていた。


 食事どころか食料を買う金も用意しなかった母親のせいで、同年代に比べて一回り小さく痩せていた自分を、ドルフは何かと気にかけてくれていた。


 女房より背が低いとからかわれると肉切り包丁を手に追い回すほど激怒したが、酒が入ると必ず女房自慢をする。そんな気のいいおっさんだった。

 そんなところがまるで変っていない。


「テメエ今どうしてんだ。仕事は」


「ぼちぼちってとこだ。食いっぱぐれねえ程度には稼いでるよ」


「いいじゃねえか。何よりだぜ」


「ドルフはまだこっちに住んでるのか?」


「ああ。俺だけな。今日もほれ」


 歩きながらドルフは紙袋からEBTカードを取り出した。低所得者向けの食糧供給支援、フードスタンプである。


「この忌々しいフードスタンプ様のお恵みで飯を買い漁ってきたところさ。まったく嫌でしょうがねえ。昨日も見たこともねえババアが人の籠ん中身じろじろ見てきやがってよ。口開いたかと思ったら『そんなに立派な指輪してるんだから、売って生活費の足しにすれば?』だってよ。ふざけてやがる。貧乏人は結婚指輪もしちゃいけねえのかよ」


「……別れたのか?」


「いんや。実家に帰した。今はガキどもとキューバでトマト農家やってる。こっちに負けず劣らずの貧乏だが、少なくとも飯にゃ困らねえ。仕事の見つからねえ亭主のもとで過ごすよかずっとマシさ」


「そうか」


「そういやお前、エマにはあったのか?」


 ニコラスは言葉を詰まらせた。


「…………街を出て、一度だけ。戦死したフレッドの認識票を渡しに行ったんだ」


「ああ。ああ、そうだったな。フレ坊は逝っちまったんだったな。ったく、ガキのくせに背伸びしやがってよぉ。国を守るだのテロリストを倒すだの、くだらねえ正義に酔って外国で戦争しにいかねえで、ずっとバスケやってりゃよかったんだ。NBAにいたってヒーローにはなれるだろうがよ」


 ニコラスは黙りこくった。


 フレッドが軍へ入ったのは、自分を追いかけてのことだ。

 自分がいなければ、フレッドはドルフの言う通り、バスケ推薦で大学に入って、チームに選抜されてNBAにも出ていたかもしれない。


「家族思いで、ダチ思いで、気持ちのいい男だったなぁ」


「ああ」


 フレッドは弟1人、妹4人の6人兄弟の長男だった。

 自分と負けず劣らずの貧しい家庭で育ったが、勉強を疎かにすることはなく、スポーツでも州のジュニア選抜チームに抜擢されるほど優秀だった。


 人柄もよく、彼の周囲にはいつも人が集まった。ひとえに彼の母、エマの教育の賜物だろう。


 エマはすらっと背の高い黒人の女性で、この街では極めて異質な存在だった。

 というのも、この街の住民にしてはかなり“まとも”だったからだ。


 夫を早くに亡くし、シングルマザーとして一家を支えるべく毎日激務をこなしていた彼女は、子供への教育の機会を惜しまなかった。


 自分の寝室を子供たちのための勉強部屋にし、自分は今の絨毯の上で、子供たちと一緒に雑魚寝していた。

 職場の上司からいらなくなった本を貰ってきては、子供たちに読み聞かせた。


 初めて一家に招かれた時、ニコラスはエマがちゃんと自炊していることに酷く驚いた。家族のために食事をつくるのは、裕福な家庭の母親だけだと思っていたのだ。

 ニコラスの母親は、一度もキッチンに立ったことがなかった。


 そんな一家だったから、手を差し伸べたがる人間は多かった。人に慕われる人間は、こういう人間なのだろうと子供ながらに思った。


 そんな家庭で、母の愛情をたっぷり注がれて育つフレッドが、いつも羨ましくて、眩しかった。


 母が違うだけで、育つ子供にここまで差ができるのかと、いつも思っていた。


「テメエが街を出て、フレ坊の奴、随分と落ち込んでやがったぜ。喧嘩でもしたのか」


「いや、喧嘩じゃないんだが……。なんにせよ、ずっと前から出ようと思ってたよ」


「だろうな。他人様の家庭に口出しする気はねえが、テメエんとこはほんとに酷かったからな」


 鳩尾あたりが、ずんと重くなる。


 昔、ドルフのもとで食事を貰っていることを知った母親が、勝手なことをするなと店に怒鳴りこみ、ドルフと大喧嘩になったことがあった。


 ドルフのような庇ってくれる大人がいたのは救いだったが、それ以上に、自分の親がどうしようもない人間であるということが、猛烈に恥ずかしく、惨めだった。


 そしてそれは、今も。


「お、やってるねぇ」


 ドルフの声に顔をあげれば、いつの間にかリバー大通りに出ていた。ヤンキースタジアムの真横を走る青緑の高架が、頭上を覆っている。


 ドルフが指し示した先には、スケート場があった。


「フレ坊の弟のロジャース覚えてっか。あのベソっかきの韋駄天小僧」


「ああ」


 ニコラスは目を眇めた。


 ロジャース・モーガン。

 フレッドの5つ下の弟で、泣き虫でローラーブレードが大の得意だった。


「懐かしいなぁ、おい。テメエが13の時だっけか。小僧がローラーブレードが欲しいって駄々こねた時があってよお。ただでさえ金がねえのに、どうすっかってフレ坊とエマが頭抱えてな」


「ああ、あったな」


「ところがどっこい、そんな悩める一家にお恵みがあってよ。なんとある日、郵便受けにドル札が何枚も入ってたんだ。総額なんと100ドルだ。もちろん全部モノホンだぜ?」


「……」


「不思議に思った一家だったが、これも神のお恵みと信じた一家は無事ローラーブレードを手に入れ、ロジャースは大喜び。めでたし、めでたし。――とはならなかったなぁ?」


「……汚い金を渡したのは悪かったと思ってるよ」


 実は金を入れた主は、神ではなく自分である。


 当時、まともに稼げなくなった母親代わりに麻薬の売人をやっていた自分は、母親に内緒でこっそり貯めていた有り金すべてを郵便受けに突っ込んだのである。


 その頃、まだクラックが根強く流行していたブロンクスでは、元締めに売上の九割を取られても、そこそこの額が手元に残った。


 生活費からも少し出したので、仕事をサボったと思い込んだ母親にしこたま殴られた。

 どうせ酒と薬しか買わないくせにといったら、もっと殴られた。


 そのうえ納得がいかないのは、事の真相を知ったフレッドにまで殴られたことである。


「あん時はほんと凄まじかったなぁ。金を受け取れ、受け取らねえで流血沙汰の大喧嘩よ。エマが言っても、俺がフライパンでブッ叩いても止めねえし。結局地元のラッパーどもが間に入ってようやく収まったんだっけか」


「……実はあの後、軍でも喧嘩になった」


「ぶっは、マジかよ。んで、どうなった?」


「殴り合いになった。当時の上官と同僚が腰抜かすほど驚いてた」


「なんで」


「俺の当時の渾名が『サイボーグ』だったからだよ」


 ドルフは腹を抱えて大笑いした。ニコラスは憮然と口元をひん曲げた。


 悪かったな。表情が出にくいのはガキの頃からだっつーの。


 しかしこの話には余談があって、この事件以来、上官からの当たりが和らぎ、同僚からもよく声をかけられるようになった。

 人当たりのいいフレッドが、何かと傍にいたおかげだろう。あいつは昔から、人望がある男だった。


「あー久々に笑った。つかよ、テメエ全然反省してねえだろ?」


「金は金だ。あって困ることはねえだろ」


「アホか。弟の駄々にダチが危険犯して稼いだ金なんぞ使えるか。第一テメエ、生活費からも出してたろ? フレ坊と喧嘩する前すでに顔に青痣あったぞ」


「……だったらなおさら殴ることないだろ」


「まあそう言ってやるな。フレ坊もガキだったってことさ。なんにせよ懐かしいなぁ。いつもテメエとフレ坊とロジャースの三人一組だったな。しょっちゅうトラブル持ち込んじゃ、俺の店に逃げ帰ってきたっけな」


「俺ばっかりが持ち込んだわけじゃないぞ。フレッドの奴があっちこっちに首突っ込むのが悪い。……昔から、正義感の強い奴だったから」


「ああ、そうだったな。覚えてるか? 近所のギャングの若いのに絡まれて、ロジャースがベソかいて店にすっ飛んできた時のこと」


「2人で5人の大人相手にした時か」


「おう、駆け付けたら驚いたぜ。5人の方が伸びてたんだからな」


「ちょっとばかし頭を働かせればあんなもんさ」


「言うじゃねえか。テメエはチビだったが腕っぷしは強かったもんなぁ。フレ坊は言わずもがなだが」


 と、その時。電子音が鳴った。ドルフのポケットである。


「っと、女房からだ。悪いな、ニック。また今度な」


「ああ」


「色々あったし、もう店も家もねえが……また来い。もう飯は出せねえが、話し相手にぐらいにゃなってやるよ」


「その時は俺が飯を奢るよ」


「お、いいねぇ。安心してホームレスになれるぜ」


 にかっと笑ったドルフは、手を振って携帯に出た。明るい口調から察するに、良いニュースなのだろう。


 憂鬱でしかない帰郷だったが、再会できてよかった。


 そう思い、ニコラスは進路を当初の目的地に戻した。


 ここから3ブロック先に、大家の家がある。早いとこ金を渡して戻ろう。


 ふと、視線を感じた。殺意ではないが、強烈な視線だ。


 皮膚感覚で近くしたニコラスは即座に警戒を最大限まで跳ね上げ、周囲を見渡す。


 視線の出元は鉄柵の向こう、スケート場のジャンプ台脇に立っていた、一人の男だった。


 鼓動が、一つ。強く、跳ねた。


 ニコラスは息も忘れて凍り付いた。


 濃褐色の肌に、ダークブラウンの瞳。垂れ下がった目尻が強面を中和する、人懐っこそうな顔立ち。

 兄より細身だが、逞しさは微塵も失われておらず、俊敏さと柔軟さを感じさせるしなやかな体躯の青年だ。


 背が、高くなった。フレッドよりあるのではないだろうか。

 長かった髪が兄と同じく短く刈り込まれ、ますますそっくりになった。


「マジかよ。本当に来やがった」


 そうぽつりと紡いだ厚い唇が、真一文字に引き結ばれる。そして歪んだ。


「久しぶりだな、ニック兄」


 フレッドの実弟、ロジャース・モーガンはそう言って嗤った。



 ***




 ニコラスとロジャースは、ブロンクス美術館横の壁画アート真横の階段に座った。大家が住むマンションの真向かいである。


 白人と黒人の子供が握手をする姿が描かれた壁画には、『平和』と書かれていた。


「ニック兄、何しに来た」


 ふたたび昔の呼び名で呼ばれて、ニコラスは息を詰まらせた。


 兄と呼ばれることが、こんなにも辛いことだとは知らなかった。昔の頃のような親しみは欠片もない。

 なのに、そう呼ぶだけで見えぬ鎖で自分を縛りつけてくる。


 逃げるな、と。


「母親の借金を返しに来た。――……その、エマは」


「DCにいる。戦友会のクリスマスイベントに出席してる。……兄貴は軍でも顔が広かったらしいからな」


 ああ、そうだ。フレッドは友達をつくる天才だった。そんな兄をロジャースは、心から尊敬していた。

 自分のことも、本当の兄弟のように慕ってくれていた。


 ニコラスは心臓が軋む痛みを無視し、何とか会話を繋げようとした。


「どうしてお前が?」


「上の妹はバイトだ。その下の双子はまだ高校生、末の妹に至っちゃ小学生だ。だから俺が母さんに頼まれた。でなけりゃ来ねえよ」


 無造作に投げられる言葉が痛い。会話を続けようとする気もないようだ。

 当然だろう。


 申し訳なくなったニコラスは、ロジャースのためにも早く用事を済ませることにした。


「金は用意してきた。すぐ済ませるから一緒に――」


 言い終わる前に封筒を奪い取られて、ニコラスは呆気にとられた。


 すぐに奪い返そうとして、自省する。元はといえば自分が払わねばならない金を、彼らモーガン一家が肩代わりしてくれていたのだ。

 ニコラスはぐっと堪え、伸ばしかけた右手を膝の上に降ろした。


「へえ、ちゃんと用意してきたんだな」


 中身を一瞥したロジャースはそう言った。「こいつは驚きだ」と言わんばかりの冷ややかな笑みに、内腑がねじれるような痛みと恐怖を覚えた。


 母親に売上の一部を渡す時のような、張り詰めた緊張感があった。


 検分を終えたロジャースは、封筒をこちらに突っ返すと。


「ロジャース――」


「いらねえ」


「……え」


 封筒を受けとった直後に吐かれた言葉がすぐに理解できず凍りつく。


 ロジャースはこちらをぎろりと睨んだ。


「いらねえっつってんだよ、そんな金。どうせまた汚い手で稼いできた金だろ。そんなの恵んでもらうほど、俺たちはまだ落ちぶれちゃいねえよ」


 頭が真っ白になった。


 ただただ硬直するこちらに苛立ったのか、ロジャースは声を荒げた。


「兄貴がテメエのこと本気で親友だって思ってたのは疑ってねえよ。けど兄貴のこと思ってくれんなら、なんで黙って出ていった? テメエが何も言わずに出てったから、兄貴はテメエを追っかけて軍に入ったんだ。将来が約束されてたのに。この街で大学進学を勝ち取るのに、どんだけ苦労すると思ってんだ」


 ブロンクスっ子特有のマシンガントークが、さながら弾丸の如く容赦なく撃ち込まれる。

 心がどんどん穴だらけになっていくのが、分かった。


「なにが『金は用意してきた』、だ。親の代から今までずっと母さんに借金背負わせといてよ。親子そろってバックレやがって。テメエも、テメエの母親もほんとそっくりだぜ。よくもまあぬかせたもんだ。そんなに返す気があんのなら、帰国してこの2年間なにしてやがった? 来なけりゃよかったんだ。どうせ帰る気もなかったんだろ? 母さんも母さんだ。兄貴の認識票をダシにしやがって……! あれは俺が着けてたんだっ、兄貴の遺品もんダシにしねえと来もしねえ奴が、今さら何しに来た!?」


 ここに至り、ニコラスはようやく悟った。


 ロジャースは借金を返すために来たのではない。自分にこれを言うためだけにここへ来たのだ。


「ちょっと君たち、私の家の前で騒がないでくれないか」


 背後からかけられた言葉に、ロジャースはようやく口をつぐんだ。


 見れば、小洒落たセーターを着た初老の男性が、スーパーの紙袋片手に立っていた。

 男性は迷惑そうに顔を歪めた。


「私はここ一帯の賃貸人だ。これ以上治安を悪くしないでくれないか。言うことを聞かないなら警察を呼ぶよ」


「あんた、うちの大家だったスターム・フォージャーか」


「そうだが……もしかして君、ミセス・モーガンのところの?」


 男性、大家は警戒を解き、目を丸くした。


 ロジャースは「ほらよ」と言わんばかりにこちらに視線を投げた。


「伝えることは伝えたぞ。金は……好きにしろ。あんたが稼いだ金だ。俺たちには必要ない」


 それだけ言うと、ロジャースは踵を返した。

 遠ざかっていく、フレッドとは違う細いその背を、ニコラスは見送ることしかできなかった。


 呼び止める気力は、もうなかった。


 一方、怪訝そうな顔をした大家は、面倒ごとはごめんだとばかりに早々に立ち去ろうとした。

 なけなしの勇気を総動員して、ニコラスは真横を通り過ぎる寸前で大家の腕を掴んだ。


「母の借金を返しに来ました。受け取っていただけますか」


 立ち止まった大家はポカンと口を開け、頭のてっぺんから爪先まで見ると「ああ」と頷いた。

 そして腕を振り払い、掴まれた部分の埃を払った。


「君、ウェッブさんのとこのお子さんか。大きくなったから見違えたよ」


「……母がご迷惑をおかけしました。これ、」


 ニコラスは封筒を差し出した。大家は「ああ、うん。それね」と一瞥して。


「それ、いらないから。持って帰っていいよ」


「――え」


 言葉を完全に失して立ち尽くすこちらに、大家は肩をすくめた。


「ミセス・モーガンを諦めさせるための口実だよ。君が来ると思ってもなかったからね」


 悪意ではなく、本心なのだろう。

 母親が死んでからというものの、借金はすべてエマが肩代わりしてくれていた。13年前に出ていった息子のことなど、認知すらしていなかっただろう。


「彼女は存外周囲からの人望が厚くてね。今のニューヨーク市長とも知り合いなんだよ。元上司だったか。まあいい。ともかく、彼女とは下手にトラブルをつくりたくなくてね。存在しないアパートの借金を、未だに取り立てているなどと噂されては困るんだよ。君もあれから色々とあって、大変だろう。自分の将来のために取っておくといい。君の経歴じゃ、アルバイトに就くのがやっとだろう?」


 大家は、大真面目に善意から忠告しているのだろう。しかしその善意が、ニコラスにはことさら堪えた。


 黙ったまま立ち尽くすこちらに苛立ったのか、大家は駄目な子を叱る口調でさらに続けた。


「それと君、まだお母さんの墓に顔を出していないだろう。神父様が嘆いておられたよ」


「……墓、ですか」


「ああ。亡くなる直前、彼女は教会主催の薬物依存症回復プロジェクトに参加していてね。最後の最後で自分のこれまでの行いを悔い改めたくなったんだろう。墓もそこにある」


 大家は手帳に挟んでいた教会の名刺を、ニコラスに無理やり持たせた。


 初耳だった。

 自主的か、強制されたか。いずれにせよ、あの女が自身の現状をどうにかしようとしたことにニコラスは驚いた。


「どんなことをしようと、やっぱり母親は母親だよ。唯一の肉親なんだ。墓参りぐらい行ってあげなさい」


 したり顔で何度も頷く大家に、ニコラスはしばし黙した。


 ふつ、と。自分の中の何かが千切れて落ちる音がした。


「……名を、」


「はい?」


「息子の名を一度も呼んだことのない女は、母親と呼べるんですか」


 大家は思い切り鼻白んだ。「違う、そんなつもりじゃ」と口ごもる大家を無視し、ニコラスは無言で身を翻した。


 もう、何も。見たくなかった。


「おーい、ニック! まだ時間あるか? よければ今から軽く一品ぐらい作って――ニック?」


 ドルフが駆け寄ってくる。


 いつの間にか、先ほどドルフと話した、スケート場横まで戻ってきていた。


「どうしたニック。顔が真っ青だぜ?」


「ドルフのおっさん、これ」


 ニコラスは封筒を差し出した。


「受け取ってくれないか。生活費にしてもいいし、また店を出す資金にしてもいい。好きに使ってくれ」


「受け取れってお前……んお!? ちょ、なんだこの大金!? あっ、おいコラ、ニック!」


 ドルフの制止を聞き流し、ニコラスは足早に交差点を横切った。走行する車に阻まれたドルフの叫びが聞こえるが、ニコラスは振り返らなかった。


 洒落たリサイクルショップのウィンドウに、自分が映った。


 擦り切れ色あせたモッズコートを着た自分が、窓の向こうで亡霊のように立っていた。


「……上着ぐらい、買えばよかったな」







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次の投稿は9月29日です。


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お久しぶりです。志摩ジュンヤです。

いくつか補足を。


●サウス・ブロンクスの街並み

「治安の悪さ」「貧困」が枕詞のサウス・ブロンクスですが、90年代から2000年代初頭はかなり環境が改善され、犯罪数も減少しています。93年にはかなり改善されていたそうです。作中の2013年も例外ではありません。


主人公ニコラスが生まれた80年代は粗悪な麻薬クラックの大流行で、ただでさえ貧しかった街の治安は急激に悪化し、壊滅状態にまで陥ったそうです。アパートの大家が家賃を払えない住民を追い出し、火災保険を得るため人を雇って放火させるほどだったとか……。人口の2/3が街から逃げ出したほどでしたから、そうとうだったんだと思います。


作中の

「その頃、未だクラックが根強く流行していたブロンクスでは、元締めに売上の九割を取られても、そこそこの額が手元に残った。」

というのは、そういうことです。


そんな現代になって治安が改善されたブロンクスですが、コロナ禍での影響はと動画を漁ってみたのですが、自分が思っていたほど悪化してはいませんでした。正直サンフランシスコの方がよっぽど酷かったです。

むしろ皆さん逞しく生きておられて(きっと筆舌しがたい苦労があるのだろうとは思いますが)安心しました。現在のインフレの影響があまり出てないといいのですが。


動画を以下URLに張り付けておきますので、よかったらご覧ください。

(撮影時:2020年10月)

https://www.youtube.com/watch?v=R_rgKg8Cwco&list=PLUHLHv0LvtdnYs2_1_RF1ETPtiAPbLNkn&index=1


我々が思っているほど、サウス・ブロンクスはスラムではなかったです。犯罪行為がゼロってわけじゃないだろうけど……。




今回は滅茶苦茶暗い内容になりました。

特に大家。ああいう悪い人じゃないんだろうけど、すっげー嫌な奴ってたまにいるんですよね。読者の皆様にそのリアルさをお裾分けできたのなら何よりです。


次回はニコラス救済回となります。

このまま暗いまんま堕ちてはいかないので、どうかそれだけはご安心を。

この7節で、ニコラスがいかにして自身のトラウマと向き合っていくのか、読者の皆様に見守っていただければと思います。


それではまた来週。

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