第6節 我、彼を撃つべし。彼が我を撃つ前に

6節・人物用語紹介

<主要登場人物>


●ニコラス・ウェッブ (ニコラス):29歳、男性、アメリカ人


主人公。代行屋「ブラックドッグ」の助手を務める。元海兵隊武装偵察部隊の狙撃手。わりと常識人で上司のハウンドに振り回され気味。

かつて戦場で出会った少年兵がハウンドであることを知り、しかも国家絡みの陰謀に関わっていることを知って戸惑いつつも、彼女を護ること決意する。



●ヘルハウンド (ハウンド):18歳、女性、アフガニスタン人?


ヒロイン。代行屋「ブラックドッグ」の店主でニコラスの上司。悪戯好きで自由奔放。ニコラスを「ニコ」と呼び、大いに気に入っている。

その正体は6年前、ニコラスに助けられた少女兵 (ニコラスは少年だと思っていた)であり、彼に並々ならぬ感情を寄せている。イラク戦争にまつわる《手帳》を盗んだことで、USSAから命を狙われている。

わりと食いしん坊。



●ジャクソン・ラドクリフ (ジャック):14歳、男性、アメリカ人

5節でミチピシ領を騒がせた迷惑系ユーチューバー。尊大で我儘だが、本当は根暗で臆病な性格。唯一の肉親である父親から縁を切られ、仕方なく代行屋二人のもとで居候することに。



●インドレク・ヴィルタネン (ウィル):13歳、男性、エストニア人

12歳でスコットランドの名門大学に飛び級入学した天才児。ジャックの親友。eスポーツの北欧代表選手の一人で、ソロプレイヤーとして、大人気RPGアクションゲーム『ライシス・サーガ』に出場予定。

親友であるジャックに謎の画像を送るが……?



朱晧軒シュウ・ハオ・シェン (シュウ):36歳、男性、中国人

近年アメリカに進出してきた、中国系総合建築業ゼネコン最高経営責任者CEO。今回の依頼の調査対象。



●ヤン・ユーシン:??歳、女性、中国人

五大マフィア『ターチィ一家』の現当主。今回、代行屋二人にシュウの調査を依頼する。妙齢の婦人に見えるが、実は60歳を超える老婆。ハウンドとニコラスの関係に、思うところがあるらしい。


●バートン:54歳、男性、アメリカ人

元陸軍狙撃学校専任教官で、ニコラスの狙撃の師。テロリストに組みしたニコラスを止めるべく、合衆国安全保障局USSAに協力する。





<27番地の人々>


●店長

カフェ「BROWNIE」の店長。柔和な笑みが似合う上品な老紳士。


●ジェーン

1節でハウンドとニコラスに助けられた少女。カフェ「BROWNIE」の臨時従業員として働いている。


●ルカ

27番地を拠点とする少年団『雨燕アンドリーリャ』のリーダー。新顔のジャックが気に食わない。





<特区警察>


●ケータ・I・マクナイト

特警の巡査部長。汚職警官が多い特警では珍しく生真面目で仕事熱心なため、よく仕事を押しつけられている。

合衆国安全保障局USSAに祖父を人質に取られ、代行屋二人の監視役を強制される。


●ヴァーツラフ・クルテク

ケータの上司。合衆国安全保障局USSAと繋がりがあるらしく、ケータを監視する。バートンとは旧知の仲。





<五大マフィア関係者>


●セルゲイ・ナズドラチェンコ

ロバーチ一家幹部。外見は美青年だが性格はマフィアとは思えぬほど軽薄。電子戦を得意とする。


●カルロ・ベネデット

ヴァレーリ一家当主側近。自由奔放な当主に振り回される苦労人。意外と腹黒。特技は根回し。


●ルスラン・ロバーチ


五大マフィア『ロバーチ一家』の現当主。特殊部隊スペツナズ出身で、表情が凍りついていると評されるほど冷厳な面持ちの偉丈夫。


●フィオリーノ・ヴァレーリ

五大マフィア『ヴァレーリ一家』の現当主。誰もが認める美男子だが性格は外道そのもの。ハウンドが大のお気に入りで一方的な好意を寄せる。





<専門用語>


●特区

正式名称は「ミシガン州特別経済自治区」。公式には国営の実験都市という扱いだが、実情は世界最大級の犯罪都市。27番地を除く全区画を五大マフィアが支配している。



●五大マフィア

特区を統べる五つの犯罪組織。現在の五家は、シチリアンマフィアの『ヴァレーリ』、ロシアンマフィアの『ロバーチ』、中華系マフィアの『ターチィ』、先住民系ギャングの『ミチピシ』、南米系カルテルの『シバルバ』。



●27番地

特区で唯一、五大マフィアに支配されていない中立地帯。ニコラスとハウンドが暮らしている街。ハウンドを統治者として仰ぐも、政治体制は民主制を取っている。



●合衆国安全保障局

略称はUSSA。12年前の同時多発テロ発生直後に急遽設立された大統領直属の情報機関で、年々発言力を増している。現長官はアーサー・フォレスター。


●手帳

イラク戦争中に起きた、国連絡みの大スキャンダル「バグダッドスキャンダル」に関する証拠品。手帳には世界屈指のブラックリスト、『失われたリスト』が記載されているらしく、現在はハウンドが所有していると考えられている。


●失われたリスト

イラク戦争中、国連主導で行われた『石油食料交換プログラム』を隠れ蓑に世界各国の大物たち(国連のトップ、現職の大臣、資本家、宗教関係者など)がこぞって汚職を行った『バグダッドスキャンダル』に関与した人物らの名が記されたブラックリスト。

このリストを公表するだけで、世界各国代表の首がすげ変わるほど破壊力を持った代物。


●絵本

ニコラスがハウンドから譲り受けた手書きの絵本。人間に連れ去られた黒い子狼が、5頭の犬たちの力を借りながら故郷を目指す物語が描かれており、ニコラスはこの物語がハウンドの人生を表しているのではと疑っている。

炙り出しで謎の文がページの各所に仕込まれており、それらを解き明かすと『証人はブラックドッグ』、『リーダーはアーサー・フォレスター』となる。また随所にアメリカ先住民に関する表記があるため、作者はアメリカ先住民の関係者ではないかとの疑惑がある。


●謎の五人

絵本に登場する5頭の犬の胴体部に、炙り出しで記されていた謎の5人。

シベリアンハスキーの『ラルフ』、ゴールデンレトリバーの『ロム』、ラブラドールの『レム』、ボクサーの『ベル』、コリーの『トゥーレ』。

ハウンドに近しい人物だと考えられている。

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