高1 片思いの友情

 文化祭の夜。自宅のベッドでごろごろしながらビー玉を眺めていたら、電話がかかってきた。

 亜美ちゃんだ!

「……もしもし、亜美ちゃん?」

「うん。あの、今日って文化祭だったんでしょ。行けなくてごめんね」

「ううん、いいよ~」

 電話してくれただけでもう。それだけでもう。

「それでね、さっき田坂くんと電話で話したんだけどさ。もしかして村木くんとの関係が進んだとか?」

「進んだというか何というか」

 私はこれまでのことを説明した。

「付き合うかどうか、次に会ったときに決めるつもりだよ」

「そうなんだ……、じゃあ、じゃあさ、田坂くんのことは、あの……」

「えっ、田坂くんがどうかしたの」

 そこではっとした。亜美ちゃんは妙に言いにくそうにしているけど、もしかして……。

「亜美ちゃんは、田坂くんが好きなの?」

「はあ? そうじゃなくて。いや、もうやっぱいいわ。というかさ、私、彼氏いるんだけど」

「えっ、そうだったんだ」

 太田くんと別れたところまでは知っていたが、その後の亜美ちゃんの恋愛事情はさっぱり知らなかった。

「私もいろいろあったのよ」

 そう言われて、これまでに開いてしまった亜美ちゃんとの距離を思った。また距離が縮まればいいのに。

「今度遊びにいかない?」

 思い切って誘ってみたが、

「うーん、最近忙しくて。ごめんね」

 断られてしまった。


 結局、電話はそれで終ってしまった。多分、私のほうから掛けても出てくれない気がする。

 友だちでいたいと思っていても、片思いではどうしようもない。


<つづく>

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