掬えないカモメさん
ユウ:えっと、今の何? 雰囲気変わりすぎじゃない?
ミイ:ただ今の曲は漁港で「鮪 マグロ節」でした。こちらも2004年にリリースされた曲ですよ。マグロ!の掛け声が力強かったですね。リクエストをくれたのは宵の越しネーム「掬えないカモメさん」です。仕事に行きたくないときにこの曲を聴くと元気になるのだそうです。カモメさんの心に残る一曲なんですね。
ユウ:そういうまとめでいいんだ……今度は私がお便りを読む番だよね。
「突然ですが、ミイさんとユウさんは海で遊ぶことがありますか?」
私はあんまりいかないかなあ。日焼けしちゃうし。
ミイ:私は年に何回か行きますよ。まあ、ドライブがほとんどですが。近くに良い海水浴場がなくって。
ユウ:ミイちゃん泳げるんだ。確かに海水浴場って意外に少ないよね。釣りスポットが多いイメージ。
「お二人が、海で遊ばないとしたら想像がつきにくいかもしれませんが、実は、海辺で遊んでいるうちに溺れた人や、行方不明になった人は多いんです。」
ミイ:海難事故の話ですね。確かに、シーズンになると必ず一回や二回は事故の話を聴きますね。
ユウ:「私は仕事柄、海難事故に遭遇することが多いです。といっても、船の転覆とか沖釣りの事故ではなく、そのほとんどは海水浴場、あるいは進入禁止の場所での海水浴や釣りを楽しむ人たちが事故に遭ってしまうケースです。
私がたまたま遭遇率が高いというものではなく、全国ニュースになっている海難事故はほんの一部で、統計によれば、釣り、海水浴などの余暇中に事故に遭う人は年平均900名、そのうち、300名程度が死亡あるいは行方不明になっているのです」
思っていたより多い数が出てきましたね。これ、本当なの? うん。あ、そうなんだ、海上ホアン?で統計を取っているんですね。それじゃあ、私たちが耳にする事件はほんの一部なんだ。
「事故に遭い、無事に救助された人の多くは、まさか自分が海難事故にまきこまれるとは思わなかったと話をします。
例えば、海水浴に出かけた砂浜は遠浅で、足がつくところで泳いでいる限り、流されるなんて思ってもみなかった。
会社の同僚が良い釣りスポットだと紹介してくれて、大物を釣っていたから行ってみた。進入禁止と言っても、多くの釣り客がいたし問題がないと思っていた。
みんな、事故にあう直前までは、そんな程度の危機感しか持っていなかったと話します。ですが、彼らはちょっと偶然が重なれば年300人の死亡・行方不明者に名を連ねていたことになります。
私は、こうした事故が起きるのは、私たちが海のことを知らないからなのだと思っています。危険だとわかれば対策はとれるし、身を守るための道具を持っていれば事故にあっても生存率はあがります。
例えば、釣りや海水浴の際には必ずライフジャケットを身に着ける習慣を持つ。これだけで、事故遭遇時の生存率が二倍になるといわれています」
ライフジャケット? あのなんか黄色で風船みたいな見た目の奴のこと?
ミイ:ユウちゃん。これ、ディレクターから。私たちがそういう反応をするだろうからってディレクターがライフジャケットを用意してくれました。
ユウ:そうこれこれ。でもこれオレンジ色だね
ミイ:色はこの際あまり関係ないんじゃないかな、ああ、でも私も実はライフジャケットって身につけたことがないんですよ。どうやって着けるのか、そもそもいつ着けるべきなのかもよく知りません。そういう話はカモメさんのお便りには書いていないの?
ユウ:ちょっと待ってね。この先は結構細かな事故の知識の紹介が多いね……これは流石に普通ラジオじゃ読まないでしょうよ、熱意はわかるけれど、ぶつけ方考えたほうがよいですよ、カモメさん。
でも、海難事故のことなんてほとんど知らないから私たちにはすごい勉強になっています。あ、あった。
「ライフジャケットは、海への転落時、水中に沈むことを防ぎ、溺れることを避けてくれます。また、ライフジャケットで浮くことで水中に浸かる面積が小さくなるので体温の低下も遅らせてくれる保護具です。
現在は、法律によって小型船舶に乗る際に着用が義務付けられています。モーターボートにのるときや、船釣りの時には必ず着用することになります。しかし、これ以外の場面、例えば、磯釣り、海水浴、あるいはバナナボートで遊ぶ
ときなど、海の近くで海中に転落する可能性がある場合は必ず着用することが推奨されています」
ミイ:なるほど、海に近づくときに必ずつけないと違法になるわけじゃないんですね。ですが、カモメさんのように海に関わる仕事をしている身からすると、海で遊ぶときは必ずライフジャケットをつけるくらいでいてほしい。
でも、私もさっきのお便りの事故に遭った人たちと同じように、砂浜とか磯で遊んでいて流されたり溺れるというイメージがないんです。
ユウ:それについては、さっきカモメさんのメモに気になるものがあったよ
「お二人は、離岸流という言葉を知っているでしょうか。離岸流というのは、岸から沖に流れる海水の流れのことです。これはどんなに浅い場所でも起きる自然現象の一つで、時々、とても強い流れで岸のモノを海にさらってしまうのです。
海水浴場の浅いところで遊んでいたはずなのにいつのまにか遠洋に流されてしまった。進入禁止の釣り場で落水し、救助を待つまでの間に流されてしまったというケースでは、要救助者、つまり流された人は離岸流に巻き込まれたと言えます」
確かに、波の動きは目に見えないからよくわからないよね。そんな波が隠れていて巻き込まれたらどうしようもないかも。
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