第7話 白い花

マリア

お願いがあります

私は婚約者のブルーナーとは婚礼の儀をあげたくはありません

なぜなら、舞踏会の時に仮面を渡してくれた

情熱的で青い瞳の男性が愛おしいからです


ジュリエット様の気持ちはわかっております

私にできることなら、なんでもいたしましょう

例え命を失うことがあっても

かまいません

何をすればよろしいのでしょうか


毎日、教会の入口の近くに花を置いてきてもらえないでしょうか

そして、花があるかないかを教えて下さい

花が無くなっていれば私は教会に参ります

いつかあの方は気づくでしょう

私が待ち続けることを

わかりました、喜んでいたしましょう


ジュリエットの香りがいまだに残っている

なぜか教会から僕を誘うように漂っている

そこに君がいるのではないか

もはや、私を止める者はいない

止めるとしたら

ジュリエットだけだ

でも

それでも会いに行く

白き花が置いてあるではないか

どれほどの時が経とうと君を待とう

いや、待たないといけないのだ


あの時に仮面を渡していただいた方ですね


そうです、私はマリア

ジュリエット様から頼まれてきました

ロミオ様のお話はかねがねお聞きしておりました


あの時あの時のジュリエット様の笑顔は忘れることはできません


ロミオ様が花を持って帰れば

ジュリエット様は、待ち続けることになっております

ロミオ様が気づくまで


私はすでに気づいておりました

この白き花からはジュリエットの香りがするからです

ジュリエットにお伝えください

私はいつまでも待つことを


かしこまりました

そのように伝えます

必ず


マリアどうでしたか


ロミオ様は私が花を置いてからいつもこられていたようです

すでにジュリエット様のお気持ちはわかっておられました

ジュリエット様

すぐにでも行くべきです


私が行かない理由などありますでしょうか

すぐにでも、あの方の胸に飛び込みましょう


ジュリエット様


ジュリエット

婚礼の儀の日を急ぐことにしました

明後日となります


マリア


ジュリエット様

急いで向かわれてください


はい

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