第4話 葛藤

ジュリエット

セリルリーテ家のロミオとはどういう関係だ


お兄様には申し上げられません


カンティアーノ家とセルリリーテ家は昔からの宿敵なのだぞ

まさか、親しい仲ではなかろうな


いえ、兄上様が思っているような仲ではありません


なら、よかろう

だが、今後は一切会うな


わかったか


はい


ロミオ

今度、会える日は来るのでしょうか

会えない日の不安を取り除いてください


ジュリエット

どうして

君は僕を苦しめる

会えない辛さより

会うことのできない辛さを思い知らされた


おい、ロミオ


どうされましたか

ミラノ兄上


とんだ噂を耳にしたぞ


何でございましょう


カンティアーノ家に忍び込んで

娘と会っていたとな

ロミオ、それは事実か


娘ではありません

ジュリエットという名の私の愛しき人です


なんだと、よりによって

カンティアーノ家の娘と親しくなるとは


兄上、内密にしていただけないでしょうか


なぜだ


愛しいからです


今は私の心を苦しめています

私の胸を兄上が刺してもらえないでしょうか

それほどの想いなのです


そうか

わかった

そのかわり条件がある


何でしょうか

カンティアーノ家のアリオスを討て


わかりました

兄上の約束を必ず果たしましょう


ジュリエット許してくれ



カンティアーノ家にて


お前が練習相手になるかどうかわからないが来い



アリオス様


キン・カン・カン・キン


やはりそれだけの腕か


アリオス様には到底、相手になることは出来ませぬ

剣術で同等に戦えるのはミラノのみでしょうか


何を馬鹿な事を言う

あいつも私に触れることさえできないであろう


次、こい



お前たちでは練習相手すらならない


ミラノ兄上

アリオスだけには屈辱を受けたくありません

どうか、相手していただけないでしょうか


わかった


お前もだいぶ上達したようだな

私も全力で戦わないといけなくなった

それが、セリルリーテ家の次兄だ

私がお前より強くともアリオスだけには

お前が討たなければならぬ

わかったか


はい、兄上

わかりました




ロミオ

私は暗闇にいます


ジュリエット

僕は君と会ってから

時が止まったままだ


ロミオ

私は待つすべしかないのでしょうか


ジュリエット

君の柔らかな手の温もりがまだ残っている

もう、屋敷に行くことは許されない

しかし、僕が君のところに行くことは許してもらえるであろう

いや

許してもらえる

きっと神様は許してくれるに違いない

今の君は暗闇ではないのだろうか

どうしているのだろう

僕はたとえ暗闇であろうと

君を求め突き進むしかない

待っていてくれ


ロミオ

暗闇を打ち破ってください

手探りでもかまいません

どうか

私の元へ来ていただけないでしょうか

そうです

神様

せめて、道のりだけでも

示していただけないでしょうか

私はこれ以上耐えられないかもしれません

ロミオ

どうか、迎えに来てください

私から行くことは難しいです

この身が憎らしくてたまりません


ジュリエット

待っていてください

必ず迎えにいきます


ロミオ ロミオ

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