第2話 りんごの悪戯
セリルリーテ家にて
ロミオ、剣術の練習をしようではないか
ミラノ兄上、わかりました
キン カン
だいぶ、腕をあげたようだな
いや、兄上にはまだまだ子供扱いにすぎません
カンティアーノ家にはアリオスという剣術の名手がいる
万が一、アリオスに負けるようなことがあってはいけない
わかっているな
はい
兄上、先日
アリオスが決闘を申し込んできましたが
領主様が見えられ制止したため受けることができませんでした
そうか
領主様はこの地の治安が乱れないように苦心されているからな
今のお前の力では打ち負かすことは困難かもしれない
ただ、受けてたたないとセリルリーテ家の恥になる
再度、決闘を申し込んでくるに違いない
それまでに力をつけることだな
兄上、わかりました
その日の夜
窓から月が見える
君は月を見ているのだろうか
月の光になって君を照らしたい
しかし、それは遠い夢に過ぎないのだろうか
君は今、何をしているのだろうか
私は何を想っているのだろう
あなた様
今、どこで何をしていらっしゃいますか
すぐにでも、あなた様の胸の中に飛び込みたい気持ちです
私は今、月の明かりを見ております
あなた様が月ならば
どうかわたしを月の光で包み込んでいただけないでしょうか
そうすれば、きっと
あなた様へ届くでしょう
今日は月に照らされることを願いながら
眠りに誘われましょう
あの方に会うにはどのようにすればいいのだろう
そうだ、フレジュア様のところにいるのではないか
りんごをいただいたばかりだ
きっとりんごを返しにいけば会えるに違いない
叶わぬ夢はどこでしょう
夢を待つだけではいけません
フレジュア様のところではないでしょうか
りんごの忘れ物をしたということにしたら
どうかしら
そうよ、急いで伺いましょう
フレジュア様
どうしたの
ロミオ
先日、お伺いしました時に
りんごを忘れた方がいらっしゃいました
預かって渡してはいただけないでしょうか
ひとつのりんごなのに感心だね
預かっておくよ
それではよろしくお願いします
フレジュア様
どうしたのかい
ジュリエット
この間、お伺いした時にりんごを忘れました
これかい
そうです
その方は今どこに
たった今、帰ったよ
どのような方でしたかでしょうか
青く情熱的な瞳、背丈も高く素敵な方だよ
名前はね
ジュリエットさま
お母様が大変です
エミリオ様が倒れられました
すぐにお戻りください
運命という存在があるのなら
これほど憎いものはないでしょう
せめて、あの方のお名前だけでも教えていただけないでしょうか
神はあの方と会うことを許してくれなかったのか
いや、ただの悪戯だけなのかもしれない
せめて、あの方のお名前だけでも
教えていただけないでしょうか
リオン
ロミオが来たぞ
アリオス兄上わかっております
ロミオ、今日は遊んでやろうか
丁度、暇つぶしによいからな
何を弱気犬が吠えまくる
リオン、行け
ロミオ、強がりもその辺にしておけ
キン カン キン キン
ううう
リオン、大丈夫か
兄上、申し訳ありません
ハタ
領主様が来たぞ
よくも弟を殺したな
必ずお前の命を奪ってやろう
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