ロミオとジュリエット~青い瞳

虹のゆきに咲く

第1話 りんごの進む道

カーン カーン カーン


カンティアーノ家にて


マリア


奥様なにかでしょうか


このりんごをフレジュア様に届けてくれないかしら

以前、お世話になったので少しでものお返しなのよ


奥様、かしこまりました


マリア、そのりんごは私が届けるわ

私は今日

暇をもてあましていたの


いえ、お嬢様にそのようなことをお願いしましたら

奥様から、おとがめを受けます


気にしないでください


かしこまりました

お嬢様

お気をつけていってらっしゃいませ


確かここかしら

フレジュア様

カンティアーノ家のジュリエットでございます

母から、以前にお世話になりましたとのことで

りんごをお持ちしました


あらあら、悪いね


母がお世話になったそうで

ありがとうございました


まあ、ありがとうね

お母様によろしくお伝えください


ロミオ

もう帰るのかい

気を使わなくてもよかったんだよ

気をつけて帰るんだよ


わかりました



バタン バン



大丈夫



はい



りんごが



バラ バラ バラ



坂道を転がっている

拾わないと

急いで拾おう


はい


このくらいかな


あそこに一個ありました


最後の一個だな



よし

ガシ



申し訳ありません

つい食べてしまいました

あまにも美味しそうでしたので

あなたも半分食べてみませんか


いえ、りんごより男性の手にふれたのは初めてです


僕も君みたいな美しい女性の手にふれたのは初めてだよ

胸の鼓動が君に届くのだろうか


私はあなた様の胸の鼓動で

すでに包まれています


それでは

僕は急いで帰らないといけないので

りんごの代金は今度お返しいたします


いえ、結構です


ありがとうございます



なんという、あの美しく輝く瞳だろうか

すでに僕の心を支配している

もはや

支配されている心を開放するには

君の心を支配するしかない

だが、今の僕にそれができるだろか


兄上、大変です

お母様が突然

倒れられました


なに、すぐ向かわなければ

ミゲールどのような具合だ


はい、ロミオ様

つい先ほど目を覚まされました


お母様 お母様

具合はどうでしょうか


ロミオ、ありがとう

フレジュア様は何かおっしゃっていたかい


はい、寒くなったので

くれぐれも体に気をつけるようにとのことでした


フレジュア様の、おっしゃるとおり

体に気をつけなさい


はい


君は今どこにいるのだろうか

どうしているのか

りんごを追いかけたように

君を追いかけたけたい気持ちでいっぱいだ

だが僕は君を拾えるだろうか

りんごが一つでも拾えるだろうか


あなた様

あなた様の手のぬくもりが今だに残っております

あなた様を想うと

この手のぬくもりを消すことはできません

どう責任をとっていただけるのでしょうか

また、お会いして責任をとっていただけますか

しかし、またお会いすれば

手のぬくもりを取るだけでなく私の体の全てを

熱くするでしょう

それでも

あの青い情熱的な目をみたいです





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