デストロイ井上

@vtuber123

第1話祭庫商店街


「おばちゃん、これいくら?」

俺はお土産屋なのか駄菓子屋なのかわからない店で目に入ったこけしを指さす

「2000円...」

あまりに小さい声で聞き取れなかったが買うと決めたものは買うのがデストロイ井上のルールだ

レジにこけしを置き財布を取り出す

「2000...」

思わず声に出てしまう

店を出て、空を見上げると晴れとも曇りとも言えない微妙な天気が商店街の天井を照らしていた

「祭庫祭?」

店に貼ってあるポスターが目に入る

「3月3日って...今日じゃん...」

商店街の真ん中の噴水、いつもは学生の集合場所になっている俺も学生の頃はよく待ったもんだ、中学2年の頃だったと思う、隣の席のようこちゃんに告白し振られた忌々しき場所だ

そんな事を思いながら噴水まで行くと、普段見かけない中年の男が6人ほど座って儀式をしていた

「なんだこれ...」

思わず口に出すと隣にいたおばちゃんがこの儀式は3年に一回ある商売繁盛のお祈りみたいなもんだよと、教えてくれた

この商店街は割と新しい、井上は疑問を抱いた、なぜ割と新しいこの商店街にこんな儀式があるのだろう、だが疑問を持っても追求しないのもデストロイ井上のルールでもある。

商店街を出て夕暮れ時の川を見渡す階段を登り部屋の鍵を開ける

「さて、次はどの商店街に行くかな」

デストロイ井上の小さいようで大きな旅はまだまだ続く...

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