第47話 タロット・リーディング習得法(2) ワンオラクル

タロット・リーディング習得法(2) ワンオラクル


 判断に迷う状況をタロットカードで占うには。

 単純にカードを1枚引いて、その意味を素直に受け入れるのがいちばん手っ取り早く、カードの実績を積むのにも適しています。


 ですが、タロットカードは正位置と逆位置という、占いでもあまり例を見ない特徴があります。同じ意味合いなのに、正位置だとストレートに、逆位置だと正反対・影響が弱い・その状態に達していない状態を読むようなものが示されます。


 たとえばタロットカードをトランプのようにカットすると、正位置しか出てこなくなります。

 そこで場所があるのなら、テーブルなど広いところの上でカードを散らばらせてぐしゃぐしゃにかき混ぜる方法をとるのが一般的です。これをシャッフルと呼びます。

 これがあるから、タロットカードは逆位置の神託を得られます。

 最初はなにも考えずに時計と反対の左まわりにかき混ぜます。

 次いでテーマを思い浮かべながら時計と同じ右まわりにかき混ぜるのです。


 ですが、場所がない場合もありますよね。列に並んでいるときは、まさか地面にタロットカードをばらまくわけにもいきません。


 そこでひとつの方法をお教え致します。




ランダムカット

 カードの束をケースから取り出したら、まずは無心でトランプのように数回カットします。

 次に上下どちらかの半分を時計の針とは反対の左まわりに180度回してください。

 そうしたらまたトランプのように数回カットします。

 この繰り返しを行なうと、カードは適度に逆位置を含みながら混ぜ合わせられます。


 左まわりで「よし」と感じたら、次はテーマを思い浮かべながら上下どちらかの半分を右まわりで回しながら数回カットを繰り返していきます。こちらも「これだ」というひらめきが来るまで行なってください。


 カードをカットしていると「これだ」というひらめきがなかなかやってこないときもあります。

 そのときはカードの束を180度回してカットの続きをしてください。

 つまりデッキの正位置と逆位置をすべて入れ替えます。


 先ほどは「その方向では妥当な結果が出せない」とカードが教えてくれていたのです。

 だから180度向きを変えるだけで、カットして「これが引きたくなった」と思えるカードに巡り会えます。


 私はさまざまなスプレッドで、少し特殊な引き方をしています。

 1枚引くごとにカットして、カードを切ろうとして空回りして切れなかったとき、またはカードを下から引き抜いて上へ載せようとして残されたカードの束に突き刺さってしまったときを「これが引きたくなった」サインとしています。

 カットは無意識との対話ですので、より正しいカードを導くには、一枚一枚をひらめきが来るまで繰り返すべきです。


 ですが、ある程度タロット・リーディングがうまくなってきたら、最初の1枚が決まりさえすれば、そこから10枚連続で引いていってもかまいません。

 そのくらい「効率のよいカードに育てた」ほうが結果的に、短時間で運命的なリーディングができるようになります。


 タロットカードは、リーダーである占者が納得のいく方法で用いるべきです。

 伝統ではこうだから、というのは絶対的な法則でもありません。




ワンオラクルの推奨書籍2冊

 タロットカードで「ワンオラクル」を行なう際、カードの意味を解釈するのに役立つ書籍が2冊あります。


 ■『78枚のカードで占う、いちばんていねいなタロット』LUA著/日本文芸社 税別1,700円

 ■『いますぐ占えて一番当たるタロットBOOK』ジューン澁澤著/三空出版 税別1,800円


 この2冊は、それぞれカード1枚の意味が書いてあります。

 また後者の『一番当たるタロットBOOK』は正位置と逆位置の区別をしていません。

 だからワンオラクルで引いたカードが正位置でも逆位置でも同じ読み方をします。

 まったくの初心者にはとても助かる書籍のはずです。


 しかし小説に占い師を出したい、という方は前者の『いちばんていねいなタロット』を購入しましょう。こちらは正位置と逆位置の区別をして意味が書かれています。

 また、さまざまなスプレッドが紹介されているので、タロットに親しむにはうってつけの書籍です。


 以前ご紹介した書籍は、タロットカードに描かれた絵からその意味を読み解くための書籍であり、タロット占い師をリアルに書くためにはなくてはならない書籍でした。

 今回の2冊は、表面的なタロットカードの読み取り方が書かれているので、それほど重要なキャラクターではなく、話の流れでタロット占い師を出して、そのリーディングが主人公に影響を与える、ような使い方を想定しています。つまり脇役ですね。


 タロット占い師をメインキャラクターにするのか、脇役にするのか。

 それによって、どれだけタロットに詳しくなればよいのかが決まるといってよいでしょう。


 また、タロットに習熟すれば、物語の筋書きをカードが示してくれるようになります。

 つまり魅力的な物語はどのような構成にすれば生み出せるのか、がわかるようになるのです。


 大アルカナ22枚は物語の「原型アーキタイプ」を示し、コートカード16枚は「登場人物」を、数札40枚は「状況・出来事・状態」を表しています。

 この組み合わせとして使うとやや窮屈です。そこで慣れてきたら、すべてのカードを用いて「原型」にも「登場人物」にも「状況・出来事・状態」にも解釈できるのが、タロットカードのすぐれた点です。

 こうすることで、タロットはありとあらゆる物語の雛形を作れます。

 10枚のカードを用いる「ケルト十字」スプレッドの場合、生まれる解釈は兆を超える種類になるそうです。

 そうなると伝統的な「ケルト十字」だけでも面白い物語が生み出せそうな気がしますよね。


 しかし、いきなり10枚のカードからリーディングするのは難しい。

 そもそも「ワンオラクル」から進歩しようとしないかぎり、「ケルト十字」までたどり着けません。

 まずは誰でもいつでもできる「ワンオラクル」でカードの実績を積みましょう。

 カードが言わんとすることが聞き取れるようになったら、枚数を増やしていけばよいのですから。



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