第13話 体育祭本番~過去を乗り越えて~

話し合いがあった日から数日が経ち、本格的に練習が始まった。一応補欠メンバーである僕は、リレーの練習に混ざっている。

体育の授業は行進練習や団技の練習などに費やされた。

体育祭当日、雲ひとつない快晴で夏のような暑さを感じた。開会式が始まり、各団行進でグラウンドに集まり、校長先生の話が始まった。よくあるテンプレの話をして、準備運動をして、開会式は終わった。

各団の演舞が始まった。それぞれ違ったパフォーマンスで会場が盛り上がっている。

次々と競技が進み、1年女子の借り物競争が始まった。天草さんの番になり、勢いよく走り、お題の書かれた紙を持って僕の名前を呼んだ。僕は、天草さんに連れていかれそのまま、1着でゴールした。

「借り物競争のお題はなんだったの? 」

「それは、秘密です。」顔を少し隠しながら小声で言った。

リレーメンバーの1人が欠席して話し合いの結果僕が出ることになり、リレーの招集が掛かった。

「暁輔、過去のことなんか忘れて思いっきり走ってこい」翔也君は僕にそう伝えた。

アンカーを任され、バトンを受け取り、翔也君の言ったことを思い出して、思うがままに走り、次々と抜いていき、見事、1位を取った。団の方から歓声が上がった。一緒に走ったメンバーから祝福され、僕は嬉しかった。

無事に体育祭は終わり、僕の団は優勝することができた。

教室に戻ると、クラスのみんなが僕の周りに集まり、褒めまくった。

クラスはざわついていた。そこに先生が入って来てクラスは静かになり、みんな自分の席に戻った。

「今日は、お疲れ様。多分、打ち上げとかすると思うけど、店とかでする場合は他の客に迷惑をかけないように。そして、早く寝るように。」先生は、嬉しそうだった。

打ち上げの話でクラスは盛り上がっていた。

「俺の家、居酒屋だからもしかしたら使えるかもしれない。」翔也君はクラスのみんなに伝えた。スマホを起動し、慣れた手つきで電話をかけアポを取ってくれた。

「今日は、店が定休日だから、使っていいらしい。」喜びの声が止まなかった。

「18時に俺の家に来てよ。」翔也君は、グループラインに家の位置情報を送った。

「暁輔も来いよ。打ち上げ、絶対楽しいから。天草さんも来るらしいし。」

みんな帰宅の準備をし、それぞれ教室を後にした。打ち上げは、長時間行われ、約2時間程度行われた。翔也君と天草さんと僕の3人で後始末をし、翔也君の家を後にした。

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