第12話 体育祭の話し合い

9月に入り、夏の暑さもなくなり、涼しくなり始めた頃、僕の通う学校では、学校行事の目玉でもある、体育祭の準備に急がされていた。

クラスのみんなは、ものすごく盛り上がっているが、僕はこういう体育会系は苦手である。過去の記憶が蘇ってきた。

僕は足が速い方で毎年、リレーのメンバーに選ばれるほどだった。そして、中学2年の時、リレーのアンカーを任され、クラスは1位でこのまま逃げ切れば優勝できたけど、僕が、カーブを曲がる時に、足をくじき盛大にこけそのまま全員に抜かれ、僕のクラスは優勝を逃した。その後、影で悪口を言われるようになり、体育祭が嫌いになった。

1時間目はHRで、体育祭の種目決めなどの時間に割りあてられた。

「今から、種目決めをしたいと思います。」

先生は、体育員に進行を任せた。

「まず、リレーのメンバーを決めたいと思います。今から、投票用紙を配ります。」と、言い各列に白紙の紙切れが配られた。

「この紙に、リレーに出て欲しい人の名前を1名書いてください。書き終えたら、前に持ってきてください。」みんなは周りの席の人と誰にするか話し出した。

「リレーメンバーは学年リレーのメンバーは男女共に5名ずつ、団代表リレーは男女共に1名ずつ選びます。」

体育員の荒武あらたけ 悠生ゆうきは、黒板に紙に書かれた人の名前を書き出していった。

「投票の多かったこの12名にリレーメンバーとして、走っていただきます。」僕の名前は書かれず一安心した。

「俺は、暁輔の名前を書こうとしたが、多分中2の時のリレーがトラウマかなと思って書かなかったが大丈夫か。」僕と翔也君は小学校からの友達で中2の時は、クラスが違ったけど学年中で噂になり、その事を知っていた。

「翔也君、ありがとう。」僕は、嬉しかった。僕のことをわかってくれていた人がいてくれたことが。

「ずっと一緒にいたからなんか分かるんだよな。」翔也くんは僕に笑顔を見せた。

翔也くんは投票の結果、リレーメンバーに選ばれた。

「俺は、もう一度、暁輔と、走りたかったんだけどな」と、少し悲しそうに小声で呟いた。

「リレーの補欠を決めなければいけません。誰か立候補する人はいませんか。推薦でも構いません。」クラス中はざわつき始めた。補欠の押し付け合いが始まり、陽キャ達が立候補していく。

「男子はあと一人です。誰かいませんか。」

クラスは静かになった。そこであるひとりの男子が手を挙げた。

「俺は、暁輔を推薦します。」翔也くんは、僕の名前を言うと、クラスのみんなが僕に目を向けた。ここで逃げたらいけないと思い、

「僕、立候補します。」クラスはざわつき始めた。悠生君が、「男子の最後の1人を倉岡君に決定します、」そう言うと、拍手がなり始めた。

そのまま、順調に種目が決まっていき、無事に話し合いは終わった。

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