"禁忌"
「これは、、
どうゆう事なの、、」
血液の採取を行い、
いつもの様に検査をした。
すると。
彼女の病気は完治し、それどころか、、
細胞ですらが。昨日よりも、良くなっていた。
「彼女、、治ってる、、」
女「やったあー!!
うふふふふっ。」
女は抱き付き、喜びの表情を浮かべた。
彼女は申し訳なさそうに、
照れながらも、俯く。
朝日が昇る様に。
彼女にも、光が差し込んだ。
「ちょっと、、。」
女は察したかの様に、部屋から出て行った。
「あなた、、
何をしたの、、?」
彼女「いえ、、何も。」
口をつぐむ様にして、ただ。視線を逸らされた。
「治るわけ、、。無いじゃない、、
アンタ?異世界人じゃないんでしょう、?
ねえ、、
何をしたの?」
探求心。いや、
"神の力に、近しきモノの力"に。
私は食い入る様に、彼女に問うた。
端くれでも、医者としての心理が。
ある訳のない状態が。症状が。
そして、結果が。
人知を越えた"それ"に恐怖すらも抱いた。
彼女「私は、、何も。」
彼女はただ。そう、繰り返した。
「どうして治るの??
何で、、。
だって、こんなの、、おかしいわよ!
ねえ、、。
お願い、、。
どうやったの、、。」
私は彼女にすがり付く。
彼女「すいません、、」
彼女は応えてすらくれない。
生物としての、過程が。
生き物としての、逃げられない死命が。
今。目の前で、覆されたのだ。
バタン!!。
在りもしない幻想を目の当たりにし、
自分に突き付けられた現実に。
目を逸らすかの様に、
逃げ出した。
人が。考えも付かない、
神の力を目の当たりにした時。
普通ならば、、一体。
どのような、反応をするのだろうか。
神に近しき力に震え。自らを恥じ。
そして、現実を直視出来なくなった。
私はそうなったのだ。
女「、、大丈夫?」
彼女「、、えぇ。」
女「ねえねぇ?
今度。一緒に出掛けましょう?
私が、案内するわ!!」
彼女「えぇ。
是非。」
「そんなはずは、、
だって、、確かに。。」
カルテを見返す。
日に日に状態は悪化し、
様々な合併症を引き起こし、
仮に、症状が落ち着いたとしても。
後遺症が残り、完治するなんて事は、、
"有り得なかった"
バン!
自分では、理解が出来ない。
どう考えても、そこへは、至らない。
手を叩き付けた痛みで、
これが嘘では無い事を知る。
しばらく冷静になり、頭を冷やす。
「医者の端くれとして。
患者が治ったのに、、
アレは無いわね、、。」
風に当たり、深く深呼吸をする。
もし。
医学以外のモノで、
人の災いが無くなったのなら。
それは、
『奇跡』
か。
『神の力』
しか、無い。
「自分の実力不足に。
うちひしがれている時間は無いの、、。
大丈夫。
まだ私にはやるべき事があるんだから、、。」
パシッ!
頬を叩き、気合いを入れる。
「ヨシッ!!」
気持ちを切り替え、やるべき事をする。
時間は待ってはくれない。
進んだら進んだだけ。
きちんと何かしらの結果が起きる。
その日の夜。
扉を叩く音で目が覚めた。
聞き慣れた声を聞き、鍵を開ける。
「こんな時間に何ょっ、、」
不意をつかれ、私は固まった。
目の前には、負傷した連中がわんさかと居た。
「何考えてんの、アンタ、、」
言われなくとも、状況を察し、頭を抱える。
女「はぁ、、、。」
後ろでは、私と同じような。
深い溜め息が漏れた。
ちっちゃいの「色々と、ありましてですね、、」
場の空気を変えるかの様にワンちゃんが話す。
ワンちゃん「ささ、こちらが。街で有名な、
美人姐さんの治療所であります!」
不安と緊張が漂っていたが、
ワンちゃんの気遣いに。
怪我人達は、安堵の表情を見せた。
あの子はそういう所まで、
繊細なんだから、、
「ありがてえ、、」
「助かるぜ、、」
「美人じゃっ、」
ゴキッ、、。
一瞬、変なのが聞こえた気がしたけど、
私の聞き間違えかしらねっ。
バタン、、
言い掛けたそれは、倒れた。
「もぉ。ワンちゃんったらっ、、
さあ。早く処置をして頂戴。
ここに居られると目立つの。」
症状が重そうなのは私が担当して、
大丈夫そうなのは、助手達に頼んだ。
粗方済んだ頃には、
文句を言おうとした相手は、
既に居なかった。
「ちょっと。
話があるんだけど、、。
良いかしら?」
ちっちゃいの「大丈夫でござるよ?」
部屋に呼び、2人きりで話をした。
「アンタ、、。
彼女に何をしたの、、?」
ちっちゃいの「何って、、。
何の事を言っているのか分からないのですが、」
「惚けないで!
あの子が治るわけ無いの!
アンタが特殊な力を使う以外。
彼女が助かるわけが無いのよ。
それに、、。
仮に、アンタがやったのだとしたら。
それは、間違っているわ、、。
アンタがやってる事は『禁忌』よ。
此処は確かに異世界で。
そう言った能力を持っているのも、
別に不思議なんかじゃないわ、、。
でもね、、。
それは、"生命"にとって。
生きる者にとっての、『悪』だわ。」
ちっちゃいの「えへへ、、。
そうでござるよね、、、。
私は、、、。」
彼の言葉。内容に、私は絶句した。
言葉が出ては来なかった。
彼等にとっての"それ"は、
自らの命を危険に晒す行為であり。
私の様な者に話しても良い内容では無かった。
人間は欲深い。
生きる者にとってのそれは、
永遠のテーマでもあった。
「、、、。
どうして、、。
どうして私に話したの、、。
それは、、。」
ちっちゃいの「別に良いでござるよ。
私達種族は。
そう、されて来たのですよ。
私達は、そう言った役割を持ち、
この世界に生まれてきてしまったのです。」
「ごめんなさい、、。
私、、」
聞いてしまった事を。
知ってしまった真実に、、
思わず膝を突いた。
そうするしか、、無かった。
小さく、弱々しい身体に。
きつく抱き付いた。
ちっちゃいの「あわわわ、、」
「本当に、、ごめんなさい、、」
自分で問い詰めて。
謝って、、。
何がしたかったのかしら、、。
結局。自分の自己満足。
私はこの子を傷付けただけ。
「他には、誰かに話したの?」
ちっちゃいの「いいえ。
私も、そこまで馬鹿じゃないですよ。
話す相手は、よく。わきまえてるです。」
「そう、、。
私も、聞かなかった事にするわ。」
優しく、彼の頭を撫でた。
「これを、、最後にしなさい。
あなたにとっても。良い事じゃないのよ、」
見た目には合わない内面。
それに、種族が背負って来た過去も。
私なんかが、背負えるモノではない。
それなのに、、。
辛いハズなのに、、。
ちっちゃいの「わかってるでござる、、
姐御は、優しいんですね。」
ただ。あの子は。
優しい笑顔で、そう。返した。
「馬鹿ね、、
でも。嫌いじゃないわよっ、」
ちっちゃいの「えへへ。」
この世界には、まだまだ、
私の知らない事が沢山あって。
そして、同時に。
醜い惨劇がある事を、改めて知った。
端的に言うのであれば。
人間は、
"恐ろしかった"
悪魔よりも、
それは、悍ましい。
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