命の使い途



トントントン。



「入りますね、、。」



ベッドの端で小さく。彼女は座っていた。



「まだまだ本調子じゃないですから、



ゆっくり。休むと良いです、、。




にしても、、



姐御を怒らせてしまったのですな、、。




フフフ。



でも。まあ。たまには良いですね。



姐御のあんな顔。初めて見たですよ。



フフフ。」



彼女「あなたは、、、。」



白い肌にくっきりと。赤くなった跡が残る。



それは痛々しくもあったが、姐御の愛を感じた。




「んん、、、。



申し遅れました。。



んー、。名前は、、



ちっちゃいのとか、ちびっことか、、



皆さんには、そう呼ばれているですよ。」



「私は、、、」



少し、強張る様な顔をして、



何かを言おうとする。



彼女のタイミングがあるのは分かっていた。



だが、今ではない。




「無理に名乗る必要は無いのですよ。



私も"あだ名"でしかないのですから。




皆。きっと、、。



自分の、ちゃんとした名前があって。



それでも、誰も名乗りたがらない。




それが、どうゆう理由なのかは、



人それぞれでいいと思うのです。




名乗れない訳がある。




それだけ。なのです、」



何かを理解したかの様に、



少しずつ緊張が解れる。




「沢山の後悔や絶望が。



私にもあったのですよ、、 




そうゆうのは、誰にでも。



絶対的なものとしてあるのかも



知れないですね?




そして。誰しもが、、。



過去の出来事や記憶に囚われてしまい、



自分を陥れてしまうです。




自らを責め、傷付け、時には、



命すらも投げ出してしまう。




あなたは今。生きたいですか?」




不意の投げ掛けに戸惑う。



聞いていれば良かっただけの話。



そうすれば、時間は過ぎてゆく。




どうせ、分かる訳が無い。



貴方と私では、"種類"が違うのだから。




自然な問いだった。



生きたいか、、?



、私は、、生きたいのか? 




死にたい。



こんなにも、辛いのなら、、。




『イキタイ。』



もう。辛いよ、




『イキタイヨ、』



何で?




素直に、目の前の出来事すら、



受け入れられなかったのに?



『ソレハ、、』




自分の都合の良い時だけ。



私を洗脳しないで、、。



『ワタシハ、、ワタシノタメニ、、』




、、、うん。




彼女「分からない、、。




もう。長くは無いと思うの、、



さっきの女の人が言ってたし。」



本心が、本当が。



私の中でごちゃ混ぜになっている。




「じゃあ、。もし、。




何も無かったら、、。




生きたいですか?、」




彼女「、、、生きたい。




沢山のモノを見て、聞いて、、。



それで、、




自分の好きな事をしたい、」



今更何も出来ないのは、分かっていた。



ただ。純粋に。僅かな希望に。



その時、久しぶりに手を伸ばした。




頬はまだジンジンと、痛んだ。



これは、きっと。



さっきの女の人のおかげ。



『勇気』とでも呼ぶのだろうか、




「それが良いです。



今からあなたに魔法をかけるのです。




良いなら目を瞑るですよ。」



彼女「うん、、。」



魔法、、、。



そんなもの、、



けれど、素直に目を閉じる。




信じてみる。




「はいっ、、。



もう、良いですよ?」



唇に何か湿った様な感覚がした。



何が起きたのかは分からない。




「今。ここでした事は、



他言無用でござるよ?




世の中には、



知らなくても良いこともあるのです。




さあ。もう。今は。新しいあなたですよ。」



彼女「、、うん。



ありがとう。。」



新しい私。いろいろと分からないが、



ただ。そう、切り替える事にした。




きっと何も変わってない。



だけど。私は私を変えられた。



私は、新しい。私。




「いいえ、。



後で姐御と女の人に、



ちゃんと御礼を言うですよ?




それと。角さんにも。



それに。。




主にも、、。」



彼女「主、、。」



いい人なのだろうか、



彼の瞳はキラキラと輝く。



それは尊敬するかの様に、




「主はとても優しい人です。



でも、怒ると、とても怖いです。



主が居なければ、私も皆も。



ここで、こうして、逢うことは無かったです。




まあ。もう少ししたら、動ける様になるので、



そしたら好きな所に居ると良いですよ。




でわ。」



彼女「うん、、。」




私は自由になった。



自由、、。



いろいろな事が出来る。



いろいろな場所に行って、



好きな事をして、、




好きな事、、。



行きたい場所、、。




彼女「、、私。



、、何をすれば。




良いの、、?」



『ドウスレバ。




イイノ、、、』




"ワカラナイ"




新しい私は、直ぐに。



元の私へと、引き戻された。




弱い。




「どうだったの?」



部屋を出ると姐御が居た。



「姐御も、素直じゃないのですね。」



姐御「うるさい。ちびっこ。



アタシは、アタシのやるべき事をしてるだけ。」



「そうでありますね笑」



姐御「何よ?おチビ。



何か言いたい事でもあるの?」



「いいえ、、。」



姐御「、、ありがとうね。」



「何か言ったでござるか?」



姐御「うるさいっ。」




姐御は優しく。有能なお医者様です。



彼女もまた。私達に必要な欠片なのです。



皆それぞれに、傷を抱えながら、



互いに寄り添い合い、傷を治して行く。




素直になれない。




素直とは、、なかなか。



難しいモノなのかも知れない。




時間が経てば、経つ程に。



関係が深くなればなる程に。



どんどん疎遠になってゆく。




きっと本当に信用出来る人が出来たら。



その人とちゃんと関係が築けたら、、。



正直に、自分の気持ちが伝えられるのだろうか、、。




「私も。



主になら、、。




素直になれるのでしょうか、、





































「こいつは、面白い。




まだ。生き残りが居たとはな、、




是非とも私達の為に。




『犠牲』




になってもらおうか。」






























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