初めての



「ここは、、。」



沢山の断片的な映像。


私に触れる沢山の手。


身体が。


声が。


意識が、、



いろいろな事が、一気に


フラッシュバックする。



「うぇっ、、、」


「大丈夫??」


知らない女性。


知らない場所。


また。別の所に居る。。



「ごめん。なさい、、今。綺麗に、、」


女性「私がやるから。


あなたはゆっくり休んで?」


そうか、、。


私は『商品』だから、、。


"だから"優しいんだ。



暗い。怖い。。嫌だ、、。


気持ち悪い。。やめて、、、



痛い。


嫌だ。嫌だ。



誰か、、お願い、、


"ダレカ"


、、助けて、、。



「誰か、、、。」


「もう。大丈夫ですよ。」


さっきとは違う、小さな方。



起きて、寝て。を、繰り返す。



また、知らない場所。


移動しているのだろうか、


意識が朦朧とし、ハッキリしない。


「あらっ。起きたの?


調子は??」


次々に変わる世界。次は女の、人、、


「はぃ、、。すいま、、せん、」


女の人「いやいや。


だから。調子は、どうなのよ?」


額に細い指が触れる。


「調子は、、。


大丈夫です、、。」


俯く私に、女性は近寄る。


女の人「、、アンタ。


いい加減にしなさい?


大丈夫な訳無いのよ。



極度の栄養失調。


おまけに、性病の末期よ?


何が大丈夫なのよ、



ボロボロじゃないのよ。」


「えっ、、。」


知らない人に突然に。


強く、優しく。抱き締められた。


しかも。きちんと、服を着て、、。



ただの抱擁。



女の人「もう、、。


良いのよ。



辛かったら辛い。


嫌だったら嫌。



あなたを蝕むモノは、もう。


何も無いの。」


「、、、、、。」



誰かの本当の優しさ。


身体が震え、拒絶を示す。


けれど。この人が離さない。



女の人「大丈夫。もう。大丈夫。」


ドクドクとこだます心音が外へと響く。


やめて、、。



沢山の希望に、"神"に。すがった。


だけど。そんな者は居なかった。



たすけて。



やめて、、、、。


強く抱き締められた身体に。


力のこもった腕に。


必死に心が抵抗する。



『チガウ。


マタ、"クリカエスダケ"ダ。


シンヨウ、シテハ、イケナイ、、



ハナレロ、。』


嫌、、。



女の人「駄目よ。


もう、アンタは自由なの。」


嘘だ。


『ウソダ。』



ん、ん、ん。ん、んっ、、。


全力じゃない抵抗を続ける。


分かってる。


『ドウセ、クリカエスダケ。


クチダケダ。


シンヨウスルナ。』



目の前の愛情に。


言葉の魔法に、、。


知らない温もりに。



"惑わされる"



心と体と頭がめちゃくちゃになる。


助けて。



助けて。



女の人「アンタから手を差し伸べなければ。


アンタ自体。変わる事は出来ないのよ。」



、、、、。



『ダメヨ、、。


マドサレチャ、、』


うん。


でも、、、。



『ドウセ、ステラレル。』


うん、、。


分かってるよ。



『ワタシハタダノ。


"ドウグ"』


そうね、、。



『"アイガング"デシカナイノヨ。』


この人は、、。


『ナマエモ、バショモワカラナイ。


タダノカラダメアテノカワリモノヨ、、』


そうね、、。



『イツマデヒタッテイル。


フクヲヌギ、アイテヲヨロコバセナキャ。


ハツジョウシ、タノシマセルノ。


ワタシハ。



ソノタメノモノナノダカラ。。




うん。


頭に手を伸ばし、優しく撫でる。



パシン!。



痛みと共に我に返る。


ドスの効いた深く重い声が私を捉える。


女の人「きもちわりんだよ。


アタイに触っていいのは、いい男だけ。



、、もう。優しくするの、、飽きたわ、、。


勝手にすればいい。



アタシ。中途半端が一番嫌い。



生憎。そんなに相手には困ってないの。


じゃ、



ふん、。」


バタンッ。


その人は、怒って部屋から出て行った。



姐御「はぁあ!


ムカつく!!!



私は男にしか興味が無いの!!



何なのあの子は!!」


「すっ、、すいません。」


姐御「アンタが謝ってどうすんのよ!?



今まで辛かったのは分かるわよ、、。


けどね!!?


そんな暗闇に、いつまでも居たって


しょうがないじゃない!!



終いにはアタイを"相手"だと勘違いして。


気持ち悪い、、


はあ。気持ち悪い。



"アレ"のせいで、アタシまで、、。


後でたっぷり請求してやる!


あー、、、!!!


もう。あの子知らない!!!



何かあったら起こして頂戴!!?」


あの子の部屋から出て来るなり、


姐御は血相を変え、怒って


自分の部屋に行ってしまった。



「はっ、はい、。」


ちっちゃいの「おっ、、怒ってる、、」


「何したんだろ、、あの子、、。」


ちっちゃいの「自分が見てくるですよ。」


「うん、、。



ちょっと、、私。


分からないかな、、。」


ちっちゃいの「きっと疲れてるですよ。


最近。ドタバタし過ぎてましたからね、、。」



この時、、初めて。


ちっちゃいのが、逞しく思った。


私は、、弱い、、。


こんな時にどうしたらいいのかなんて、


そんな答えを持ち合わせてはいなかった。



自らを見ている鏡の様に。


私の過去が脳裏に過る。



腕に爪を立て、震えを圧し殺す。


「大丈夫、、



大丈夫よ。」












































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