崩れない奴



「おいっ!」




「さっきの奴等と。




何を話してたんだ?」






そこら辺の奴等より、




身なりの良い格好をしている。






俺の見立てじゃあ、、




貴族の下っ端ぐらいが、妥当か。




さっきの奴等がここへ来た時から、




下手くそな尾行で付けてやがったのか、、






にしても、、




いつの時代になっても、




威勢の良い『崩れねえ奴』




ってのは、居るもんだな、、






何が目的かは分からねえが、




わざわざ管理院を敵に回す様な事をするとはね。






奴等に後を付けられるとは、、




面白い奴等じゃねえか。






それに、ある程度の"スキル"は、




持ち合せてるみてえだしな、、






もしかすると、『異世界』とか言う。




違う世界から来た奴なのかも知れねえな、






下っ端A「貴様。




聞いてるのか!」




下っ端B「まさか。






隠すつもりか、、?」






懐に"オモチャ"でも




入ってるのかねぇ、、




じいさん「ほれっ。」




手を差し出す。




下っ端A「何でお前みたいな者に、




わざわざ金をやらなきゃならぬのだ。」




下っ端B「ここは、お前等みたいのが、




居て良い場所じゃねんだよ。






生きてられるだけで有難いと思いな?」






年寄りひとり。絡まれているのに、




誰一人として。気に掛ける奴すら居ない。






見ない様に、、まるで。




"無い"




かの様に。






そりゃ、そうだ、、




こんな老耄を助けた所で。




自分がこいつらに、




目をつけられる事を考えれば、、






じいさん「国ってのはよ、




民が居てからこそ成り立つんじゃねえのか?






上が無駄遣いする為に、




俺等が生きている訳じゃねえんだ。」




下っ端A「じいさん、、さっきからよぉ。




黙って聞いてりゃ。何を選らそうに、、






そうゆう事は払うもん払ってっから言えや。」




下っ端B「この世界はなあ。




貴族以上の地位に生まれなかった時点で、




人生の負けなんだよ?






それ以下は黙って納めるもん納めて、




頭へこへこさせて生きていけば良いんだよ?






お前みてえなゴミは、生きてる価値もねえよ。」






下っ端A「あー。うぜ、、




見逃してやろうとしたのによ。






やっちまうか、、」




下っ端B「こんな奴。




死んだ所で笑」






こんな奴等しか。この世界に居ないのか、、




誰も。管理院の言った事や、




決まった事には反論せず、、




それらが全て正しいと。洗脳され、




間違った情報に踊らされている。






"人としての在るべき姿や、尊厳"は、






遠の昔に、無くなってしまった、、のか。






「あーあ、、




どいつもこいつも、、




"だから人間は"






『嫌い』






なんだよ、、?」






あーあ。




来ちまったか。




わざわざ、、






『放って置けば良かったのによ、、』






「なあ。知ってるか??




前世ではよぉ。






『民事不介入』ってのがあるんだよ?」






下っ端A「馬鹿だな。






まんまと乗りやがったな笑」




下っ端B「何だそりゃ、、






糞みてえなくだらねえ事。






言ってんじゃねえよ!!」






じいさん「あぶっ、、」




それは、一瞬の出来事だった。






血飛沫と共に。




悪魔の様な、笑みが溢れた。






おっさん「じいさん。




わりんだけど、、






家。






俺達の為に、、




建ててくんねえかな?」




下っ端A「お前らはとことん馬鹿だなあ、、






何を余裕でくっちゃべってんだ!!






、、、。




グハッ、、」






グチャッ、、。






おっさん「残念だったな、、




お前らみてえのに、俺が出る幕はねえのよ、、






お前は所詮。




ダンナの相手にすらなんねんだからな、、






ダンナ。




ありがとうございました。」






「おっさん、、




せめて、避けろよ。」




おっさん「ダンナの事。




信じてますんで、、」




「きもちわりいな、、






んで。じいさんよ。






ひとつ。




頼まれてくれないかね。」






頼まなくても。恐喝すりゃ良いのに、、




わざわざその男は、、




ボロボロで、小汚ない。




こんな年寄りに深々と頭を下げた。






「お願いします。。」






じいさん「、、、。






何で、、そんなに。






家が建てたいんだ、、」






こいつらなら。




街を襲撃して、乗っとる事等。




容易いだろうに、、






何故。






「私は、、。






皆が笑って過ごせる様な。




皆が笑顔で帰って来れる様な、、






そんな居場所が欲しいんだ。」






さっきまでの顔は、別人の様に、




何かを懐かしんで、悲しい表情で、




そう。言った。






おっさん「言うまでも無いが。






種や、地位等関係無く。






ですよね?ダンナ。」




じいさん「ふはははははは!!






ふっ、ははははは、、、






ぐっ、、っ。」




おっさん「だっ、、大丈夫、か?」




じいさんは急に泣き出した。






分からなくもねえ、、




俺もダンナには泣かされたぜ、、






じいさん「くっ、、。




すまねえ、、、。






こんな老耄で良ければ。。






是非とも。家を建てさせてくれ!!!」






じいさんの土下座は。




硬い意志を象徴させるかの様に、




じっと。重みのあるものだった。






「じいさん。




やめてくれ、、






私はそんな、者じゃないよ。」






差し伸べられた手は、唯一。




こんな私に出された。






最後の希望だった。








































































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