朝日
暗闇に光る無数の耀きは、
目を閉じていても感じる。
"ソレ"が何なのか、
どういったモノなのか、、
ソレはただ、心地よく、
安らかな気持ちをもたらした。
そして、少しずつ流れてくる。
ぼやけたものから?徐々に鮮明になってゆくと、
私の中に角の声が響き始める。
「何で私はこうなのか、、
どうして私はこんな扱いを受けるのか、、」
僅かな外の光から鳥の声が聞こえる。
「あぁ、私にもあの様に、翼が在れば、、
自由に、好きな所へと、
行く事が出来るのだろうか、、」
悲しくも、虚しい感情が渦を巻く。
「私の身体は鬱憤を晴らす道具ではない、、
この鎖も、拘束具も、私の角さえあれば、
壊して、逃げるのも可能だっただろう、、
毎日が絶望に近く、希望すらも薄れた。
何十年間、何万回傷付けられただろうか、、
私の身体はここにあったが、心は無い。」
まるで、自分が受けたかの様な経験。
その感情や痛みまで、、私は全てを体験する。
私が、、あの日の私が居る。
「皆は次々に解放され、
皆は自分の元の場所へと帰ってゆく。
帰る、、
私に、"帰る"場所があるのだろうか?
『ごめん』
と、謝まられた。
その時初めて、発言をしたのかも知れない。
それが正しかったのか、
ちゃんと対話になって居たのか、
それすらも、わからなかった、、」
表に出る事の無い感情は、次々と。
"言葉の欠片"として流れてくる。
「新しい主は私達に、
住処を与え、食事を与え、服を与えた。
その光景は"異様"に思えた。
皆が平等に、暴力を受けず、
同じ空間で、一緒に食事をする。
食べ物に慣れなく、吐く者も居た。
新しい主は怯える者に優しく接し、
汚物を片付ける。
暴力を振るわれて居たのだろう、
近付く新しい主にすら怯える。
だが、新しい主は優しく声をかけた。
すると、彼はただただ泣いて、泣き尽くした。」
涙が出ていた。
頬に伝わるものは、
私が感じているものなのだろうか、
断片的な映像は、
様々な感情を与え、
環境や場面を変える。
「痛い、痛い、痛い、痛い、、
こんな事なら、、
"あの場所に居なければ良かった"
そうすれば、、、
いや。
私には、、
そもそも、、
"帰る場所等無いじゃないか、、"
新しい主に。
新しい"普通"に。
私は憧れていた。
地獄の様な場所は、、
居座りたくなる程。
"かけがえの無い場所"
へと、変わって行った。
帰りたい、、
家に。
帰りたい、、
新しい主の場所に、、」
身体が震え、手には爪が食い込む程に、
"怒り"を与え、頭を熱くさせる。
心臓の鼓動が早くなるのを感じる。
角の感じる体の痛みを越える程に、
私の怒りは限界を越えた、
『新しい主「犬と角はどうする?」
犬「では、私は留守番を致します。」
「行き、たい、です。」
新しい主「あいよ。
まあ、たまには良いよな。
何か欲しいモノでもあるのか?」
「花を、育てて、、
動物を、飼いたい、、」
彼女「あんたには似合わないけど、
良いんじゃない??」
ちいさいの「素晴らしい事です。
食べ物を育てられれば、
お金が浮くですよ。」
新しい主「そりゃ、すげえや。
角。頼むぞ?」
「はいっ」』
現実とは違う結果。
在りはしない、無かった過去。
角の
"話したかった言葉"
出来たかも知れない未来。
「そうやって話をすれば良かった。
皆と仲良くしたかった。
翔べないと思い込む私には、
"例え、翼が生えて居たとしても"
自由に空を翔ぶ事等、
到底出来なかったのであった。」
おっさん「、、ダンナ。」
ダンナが何を感じて、
何を思ったのか、、
なんと言う言葉をかければ良いのか、
俺には分からなかった。
世界には、ゴミ以下の奴なんて沢山居る。
生きてる価値のねえ人間が沢山、、
"俺も、その一人だったな、、"
ダンナ「なあ、、。
この世界にも建築出来る奴ぐれえ居るよな、、」
「えぇ。」
ダンナの考えが、少し分かった気がした。
ダンナ「花や食い物や、動物とかさあ、、
飼えたり育てたりしてよお、、」
おっさん「はい。
俺で良ければ、、
お手伝いさせてもらいますよ。」
本当に、、
ダンナはいい人だ。
俺なんかが傍に居れるのが
"嘘みてえに、、"
ダンナ「そうか、、
おっさんも変わったよな。」
角さんの遺体を家へと運ぶ。
全部、ダンナのおかげですよ、、
日が昇る頃。
角さんを運ぶダンナの背中から、
眩しい光が俺の目に入る。
ダンナの背中は眩しいな、、
角さんはダンナと一緒に帰宅した。
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