能力



角の遺体を家へと持ち帰る。




ここでも、、。




角が受けてきた仕打ちを想像する。






ここも。




嫌な事しか無かったのかも知れない。






本当は、花が綺麗な場所にでも、




埋めてやれば良かったのかも知れない。






私は、、、






角の事を何も知らない、、






少し前までは赤の他人。




どうでも良い様な存在。






目に映る物。






でしかなかった。






そこから数回話をしただけ。




何処に行く訳でも無く、部屋に居て、




唯一出掛けた先で、彼は死ぬ事になった。






それが、今や、、どうだろうか。




私の大切な。




"欠けてしまったピース"にまでなった。




彼は他のピースに干渉し、




終いには、ガタガタと震えだして、、






まるで、今にも音を立てながら




崩れそうにまで、、に。






女「ちょっと、、




それ。どうすんのよ、」




腐敗が進みかけている遺体を見て、




女は引きながらも話をする。




ちっちゃいの「、、、、」




何も言わず、心配そうに私を見つめる。




犬「主。」




「もう、仕方がないのですよ。」




と、言わんばかりに私を見る。






あれから街へと行き、




ヤブの所で患者を押し付けた。




ヤブ「こんな時間に何ょっ、、」




そう言いながらヤブは固まった。




ヤブ「何考えてんの、アンタ、、」




女「はぁ、、、。」




その後ろで頭を抱えながら深く溜め息を漏らす。




ちっちゃいの「色々と、ありましてですね、、」




場の空気を変えるかの様に犬は声を張る。




犬「ささ、こちらが。街で有名な、




美人姐さんの治療所であります!」




不安と緊張を抱え込んだ怪我人らは、




安堵の表情を見せた。




それら全てを。犬は、最初から、




感じ取っていたのだろう、






「ありがてえ、、」




「助かるぜ、、」




「美人じゃっ、」






ゴキッ、、




犬は出かけた言葉を止める様に、




言いかけた奴の息を止める。




バタン、、




ヤブ「もぉ。ワンちゃんったらっ、、」




犬はヤブを扱うのが上手くなっていた。






呆れながらも、慣れた様子で女は処置を始め、




ちっちゃいのと犬は、指示された様に動く。




その光景は、まるでコキ使われているかの様だった。






おっさん「じゃあ、、俺は、これで、、」




静かに去ろうとする肩を優しく掴む。




「角を私一人で運べと?」




おっさん「ははははぁ、、






やらせて頂きます。」




角はデカくて、重かった。




2人で運ぶには無理があったが、長い、




家までの帰り道を角と一緒に歩いた。






おっさん「はぁ、、」




バタン、、




倒れ込む様にしておっさんは腰を下ろす。




「ここじゃあ、食われちまうよ。」




家の中まで移動させたかったが、




おっさんは使えなかった。




おっさん「ダンナ、、




少し。休ませて下させぇ、」






「ふぅ、、」




犬と話した以来の場所。




おっさんと話すのもここなのか、、




ゲームの決まってる背景じゃねんだから、






私も疲れた。






こうゆうこと自体。




本当は無いのかと思っていた。






いろいろとイベントがあり過ぎだ、、




まあ、それもそうだよな、






だってここは"異世界"なんだから。






その中で。






私は、人間だった。






傷付けば痛みを感じ、




疲れれば、身体を休める。




腹が減れば飯だって食うし、、






そんな事をぼーっと頭の中で考えていた。






おっさん「ダンナ。




角さんはどうゆうお方だったんですか?」




夜空の星は綺麗に光り輝く。




「そうだな、、






ネクラな奴だな。




とか思ってたんだけどな、






、、、、。」




言葉が詰り、次の言葉が出てこない。




おっさん「そうですかぃ、、」




おっさんは察して、話を変える。






おっさん「ダンナは、




この世界に来る前には、何を?」




「大した事はしてないさ、、、






ん、、??




お前も転生した人間だったのか??」




おっさん「え、、えぇ。」




変な空気が流れる。




おっさん「それで、、なんですがね。




俺の『能力』の事なんですが、、」




「もしかして、生き返らせられるとか?」




期待して無かったと言えば嘘になる。




僅かな希望にすがる。




おっさん「いやいや。




したらあの場でやってましたよ。」




「だよな、、、」




風が虚しくも、優しく吹いた。






おっさん「すいませんね、




変な期待させてしまって。」




「いや、、こっちこそ悪かったな、、」




そろそろ角を家に帰そうとしたら、




おっさんはまだ休憩し足りないないかの様に、




また話を続けた。




おっさん「それでなんですが、、






『死ぬ間際の記憶を見る事が出来る』




っつたらどうします?」




一瞬。何を言っているのか分からなかったが、




頭を回し、自分なりに解釈をする。




「角の死ぬ間際の記憶か、、






そうだな、、




覗き見みたいで悪い気がするが、、




気にはなるな、、」




おっさん「この能力は、"ある条件"下で。




なんですが、、まあ、




多分。大丈夫でしょう、






じゃあ、やりますね。」




トントン拍子に進む話。






能力を見るのも、ましてや共有する事も。




私には初めての体験だった。




「頼んだ。」




そう、呆気に取られた様に返事を返す。






おっさんは角の頭の上の空間に手を置き、




私の方へと手を伸ばした。




おっさん「手を。」




「おぉ、、」




手を重ねると、目を瞑る様に言われた。




ゆっくりと目を閉じる。




おっさん「始めますよ?」




近くでおっさんの声がする。




「うん。」




緊張したのか、ごくりと唾を呑み込んだ。








































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