商談
「ほら!
起きなさい!!」
何処かで見たような光景を、
私は再びデジャブの様に繰り返す。
はあ、、、
もう少し寝かせてくれ、、
「だんなさまぁ、だんなさまぁ、
今日は私を連れて行って下さいましぃ」
ちっちゃいのは目をキラキラとさせる。
「そうだなあ、、」
女の顔を見る。
「別に、、良いわよ、、」
照れながらそっぽを向く。
「犬と角はどうする?」
犬「では、私は留守番を致します。」
角「行かない。」
「角。
お前はずっと家に居んじゃねえか、、
別に何しようが良いけど、、
金もあんだからたまにはどっか行けよ」
角はただ返事だけをする。
「はい。」
女とちっちゃいのに引かれる様に
私は外へと出る。
ちっちゃいの「ふふん、
ふふん、」
ちっちゃいの楽しそうだ。
女「随分と懐かれてるじゃない。」
歩きながら女は妬く様に言う。
「妬いてるのか?」
女「そんな、訳ないじゃない!!」
そう言い、先に行く。
ちっちゃいの「どうかなされましたか?」
ちっちゃいのは私を見上げる。
「いや。」
頭に手を置くとちっちゃいのは頬笑む。
「皆。主の事が好きなんですね」
そうなのか、、
皆が何を考えているのか、
私にはよく分からない。
ヤブ「いらっしゃ、、、」
出迎え早々残念な顔をされた。
ヤブ「今日はワンちゃんが居ないのね、、」
壁にもたれかかり項垂れる。
女「あの子は?」
ヤブ「大丈夫よ。
でもあまり無理させないでね。」
女は早々と奥へと進む。
ちっちゃいの「元気になって良かったですね」
ちっちゃいのは良い子だ。
ヤブ「アンタ、また変なの連れて、、」
腰を落とし、ちっちゃいのを見る。
ちっちゃいの「ぬぬぬ、、
変なのとは、、
失礼でござるよ、、」
「そうだな。
こいつは買い物上手だし、
結構すごいんだぞ?
"薬とか効かないらしいし"」
ヤブ「?
別になんでも良いけど、
少し話が。」
ちっちゃいのは察した様に奥に行く。
外に出ると顔を合わせずに話す。
ヤブ「あの子は昨日話したけど、
あまり長くはないわ、、
そうね、、
週一で連れてきて。
あと、、これ。」
そう言い、渡されたのは請求書だった。
それなりの金額がした。
「今、持って無いんだが、、」
すっかりと忘れてた。
昨日も払ってないし、、
どうするか、、
ヤブ「良いわ。
どうせ他に頼る宛が無いんだろうし、、
それに、お願いがあるの。」
「ん?」
何だか神妙な顔をしていた。
ヤブ「アンタ、さっき通ってきて、
何か感じなかった?」
そう言えば、、
変な奴等は居なかったし、
商売をやる奴等もあまり居なかったな。
「何かあったのか?」
少し体制を変えると小さく話す。
ヤブ「ここら辺を仕切ってる奴が変わって、
アンタなら分かるかも知れないけど、
今、見張られてるの、、
前もあまり良くはなかったんだけど、
それなりにはなってたのよ。
でも仕切る奴が変わったから
前の様にはならなくて、、
今日も手術の予定があったんだけど、
こんなんじゃ出来ないわ、、
少し騒ぎでも起こしてくれない??」
「分かった。」
ヤブ「話が早くて助かるわ。
とりあえずワンちゃんを
ボディーガード代わりに
使わせて貰えるぅ?」
話が終わると素に戻った。
借りがあるし、ここには
これからも世話にならなくちゃ
いけないからな。
「嫌がる事はするなよ?」
ヤブ「もぉ、、
そんなことは分かってるわよぉ、、」
そう言い、2人は中へと入る。
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