闇医者



特に用事も無いので、再びうとうととし、




心地好く眠りに就いていると、




大きな声と共に揺さぶられ、起こされた。




「大変よ!!




熱が下がらないの!!!」




「何だ、、」




そこには女の姿があった。




女「お願い、、このままじゃ




あの子。死んじゃう、、」




涙目になり、それを隠すかの様に俯く。




「ごめんな。」




優しく頭を撫でる。






急いで支度をする。




街なら医者ぐらいあるのか??




「医者って何処にあるんだ?」




皆に聞いても誰も分からなかった。




犬「私。知っています。」




窓には犬が居た。




「おお!




流石。」




じゃあ、んー。




「私。行く。」




誰を連れて行くか迷って居たら、




女が自ら手を挙げた。




「お前。担げるのか?」




女「やる。」




女の目は真剣だった。




犬に持たせるつもりだったが、




自ら言うなら任せよう。






急いで街へ向かった。




女「大丈夫だからね。」




「犬はここの出身なのか?」




犬「いえ、




私はもっと遠い場所から来ました。






あの日。




私達はある場所に向かうはずだったんです、、」




「医者?」




犬「えぇ。




臓器を売られに、、」




「ヤブかい、、




まあ、薬ぐらいあるだろう、、」




そんな話をしながら急いで向かう。






昨日の裏路地を抜けた先に、そこはあった。




建物の並びにあり、特に変わった外見ではなく、




一見。病院だとは到底思わない様な場所。




女「すいませーん。」




中は静かでひんやりとしていた。




ヤブ「いらっしゃいませ?






ご予約ですか?






売却の相談でしょうか?






あらっ、、




一昨日来る予定だった子。」




女「怪我してるの、、




見てくれない?」




ヤブ「生憎、うちは医者は医者でも、




そっちの仕事はしていないのよ、、」




長い髪をくるくるとさせ、




めんどくさそうに長い爪を見る。




女「お願い!!!」




犬「お願いします。」




犬が入り、頭を下げると、




そいつは態度を変える。






ヤブ「あっらぁ、、






イケメンじゃない。




私。イケメンには弱いのよ、、






早く連れて来なさい。」




あからさまに態度の違う奴は、




多分、面食いである事を私は悟った。






ヤブ「ここへ」




奥に進むと、手術台の様なモノがあった。




ヤブ「何してるの?」




ん?




状況が理解出来ずに居ると、




犬と一緒に放り出された。




バンッ、






「あぁあ、、




とんだ1日だな」






とくにやる事も無く、犬は外でただじっと待つ。






月が照らし始めると、ゆっくりと扉が開く。




ギィ、




女はただ何も言わずに外へと出て行く。






ヤブ「アンタ?」




中から手招きをされ、中へと入る。






窓を開けると煙草の様なものに火を付ける。




ヤブ「アンタ。




"この世界のモノじゃないでしょ?"







そう、話を切り出された。






特に何も考えず、ただ普通に応えた。




「ああ、」




ヤブ「はあ、、やっぱりね、、」




煙は空気中でぐるぐると渦を巻く。




ヤブ「何か。ここの世界の者達とは




匂いみたいのが違う感じがしたのよね、、






アンタ何してるの?」




んー、、、




何をしているのだろうか、、






"私は何がしたいのだろうか"






言葉に詰まる。




ヤブ「まあ、どうでも良いわ。






他にも数人。見た事があるけれど、




皆。目がキラキラしていたわ、






"まるで、新しいオモチャを貰った子供みたいに"






転生したら、世界が良くなるとか、




もっと平等で、マシな世界とか、、






そんな理想を持ったけど、




あまり、前の世界とは、然程。




変わらない事が分かったわ、、






弱い者は食い物にされ、蔑まれ、






誰も"彼等"に手を貸そうとはしない、、」




そうかもしれない。




コイツらだって、、






ヤブ「あの子は死ぬわ。」






不意の言葉に唖然とする。




ヤブ「アンタが何処までこの世界の情勢や、




この世界の"アリカタ"を理解しているかは、




私には関係無いし、どうでも良いのだけれども、






医療的に言うのであれば、、






この世界はまだまだ不十分。






現状ではこうゆう子達は助からない。






あの子には悪いけど、




希望を持たせても仕方ないし、




嘘を付くのは嫌いだから、、」




そう言い、遠くを見つめた。






ヤブ「もし、アンタに、、




ほんの少しでも、良心があるなら、、






あの子を最後まで大切にしてあげなさい。






まだ眠ってるから




明日また来なさい」






部屋から出て、外へ出ると犬が居た。




「彼女は帰りました。」




「そうか。」




犬「家で小さい御方がケアをしています。」




「ん?




お前。送って、また来たのか?」




犬「はい。




彼女を連れて帰るのかと、、




それに、一人では危ないので、、」




イケメンか、、






「あいつは今日は帰らない。




明日また来る。






お前、良い奴だな。」




犬の頭を優しく撫でると、




犬は嬉しそうに尻尾を振った。


















































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